一級建築士合格のためのエスキス方法のご紹介をしています。
“ウラ指導流”のエスキス方法に
自分でアレンジを加えた内容になっています。
※この記事ではエスキスの手順を
重点的にご紹介していますが、
エスキスを進めていくための
基本的な考え方やプランニングの判断基準、
その考え方を元にした、
2018年,2019年の試験課題を実際に解いた記事も
ご用意しています。
そちらも併せてご覧いただければ幸いです。
一級建築士製図試験|エスキス方法を画像を交えてご紹介します。
毎回毎回エスキス方法が
違っているなんてことはありませんよね?
もしそうなら危険信号です。
是非とも自分なりの型を見つけて、
あとはひたすら
反復練習をして手順を
固定させてくださいね。
エスキスを効率よく行うには”型”が必要です。
エスキスは
思考をアウトプットする事ですが、
それは武術と似ていて、
みなさんそれぞれの資格学校や講座などで
身に着けた流派があると思います。
私の場合は金額と時間の関係で
資格学校に通いませんでした。
そんな中で利用させてもらったのが
製図のウラ指導さん です。
資格学校に通うことを思えば
金額的にもぐっと抑えられますし、
通信講座だから時間の都合がつけられるし、
なにより製図試験の合格への考え方が
しっかりしていると感じたからです。
エスキスのベースは”ウラ指導流”
ウラ指導さんは
特にエスキス方法に力をいれてました。
ですので
私のエスキスはウラ指導流が
ベースになっており、
それを若干アレンジしたものになっています。
このような流れでエスキスを行います。
- エスキス用紙に8等分に折り目をつける
- 問題を読む
- 1/400の敷地を記入する
- SKYT|敷地に建てられる建物の限界値とターゲットにする面積を調べる。
- 構造|構造形式と階数を確認する
- 設備チェック|利用する機械設備と機械室の必要の有無を想定する
- その他|屋外施設を確認し、視覚化する
- 断面|建物の断面を確認するとともにゾーニングも少し考える
- P図|部門のつながりを確認するとともに出入口の数も確認しておく
- P図|6の解像度をあげて各部門の各部屋および屋外施設を列記してそれぞれの部屋のつながりや出入口、動線を視覚的に表現し、”重要な部屋”をチェックしておく。にあたりをつけておく
- APZ|敷地外からエントランスへのアプローチを考える
- ウツワ|敷地にふさわしい建物のフレームを考える
- 注意事項|プランニングの前に課題の注意事項を列挙する
- 階フリ|各階にどの居室をいれるか考える
- バイコマ|7m×7mを4マスで表現してプランニング
- 4バイコマ|1/400でプランニング
- レイアウト|(集合住宅などの場合居室のレイアウトをプランニングしておきます)
- 面積|面積を拾い出しチェック
※きちんとしたウラ指導さんのエスキスを身に着けたい方は、
ウラ指導さんの講座を受けるか、
こちらの書籍で学習してください。
製図試験時を再現したエスキスを公開
ここで実際に私が描いたエスキスをご覧ください。
平成29年度の製図試験時に記入したものを清書しました。
本当は原紙をお見せできればよかったのですが、
字が荒れていて見れたものではありませんのでご容赦ください。
初めにエスキス用紙に8等分に折り目をつける
エスキス用紙が大きくて邪魔なのと、
これからエスキスを順番に行っていく中で
それぞれの記述できる範囲を決めることで
記入する情報を整理することができ、
エスキス用紙になるかなと思って
いつも折り目をつけていました。
ただしこの時はエスキス用紙に敷地図が
描かれていたので
本来の書き方から少し
変更せざるを得ませんでした(汗)
問題用紙の読み取りをする
問題用紙の読み取りは非常に重要です。
敷地を記入する
折り目を付けた後は
一番右側の4倍コマに
敷地だけ先に記入しておきます。
これは敷地や周辺環境を
頭にインプットする作業にもなっています。
特に近年は周辺環境とのフィットのさせ方が
多様化してきています。
ここで読み解きを失敗すると、その時点で不合格が決定
する事にもなりますので十分注意してください。
また道路車線制限も要チェックです。
ではここから折り目毎に紹介していきます。
①から④の記入をしていきます。
目次に戻る
①SKYT(敷地・建ぺい・容積・ターゲット)
敷地に建てられる建物の限界値と
設計する上で目標となる面積を把握します。
与えられた敷地の中で
どれくらいのものが最大限そして最小限で
建てられるのかを確認することで、
特に建ぺい率や容積率オーバー
による一発失格を防ぐようにします。
また指定された容積の真ん中の数字を調べて、
その数字を設計のターゲット面積とすることで、
面積過少や超過のリスクを最小限におさえます。
数字の横の〇で囲まれた数字は
7m×7mの柱スパンで構成した空間を
1コマにした場合に何コマ可能かを
わかりやすくしたものです。
□で囲まれた数字は
必要になった時に7m×8mの柱スパンや
7m×6mの柱スパンで調べるときに
記入しています。
②構造|階数を確認する
構造形式はRCラーメン構造を
中心に考えておき、
大スパンが必要になった部分だけ
プレキャスト梁や鉄骨梁を使用するように計画し、
この部分に記述しておくようにします。
階数はこれまでしてきた練習課題と混同して、
階数間違いなどを
しないよう念のため確認しておきます。
③設備チェック|利用する機械設備と機械室の必要の有無を想定する
記述問題を先にチェックした上で、
どういった設備を建物のどこに置けそうかを
事前に考えておくことで
あとの記述と齟齬がないようにします。
当然ですが
問題で求められなければ図面や記述が一番
簡単なものを選択するようにします。
④その他施設(外構施設)をチェックする
その他施設は
ただ図面に描けばよいというものは少なく
駐車場を始め、
エントランスや内部居室とのつながりや
階数指定がかかっているものが多く重要です。
平面だけでなく断面でもチェックしておきます。
⑤断面図を記入
地盤面が平たんでない場合は特に注意が必要です。
決め打ちするのは良くないですが、
私の場合、この時点で
外部要因から制限される建物形状を計画
していました。
たとえば、
道路車線制限や敷地に高低差がある場合、
道路車線検討や異なる敷地レベルからの
アクセスに対する検討
(上に載せた画像のようにあくまで可能性の検討)
もしておきます。
- 建物高さ、階高
- 屋根形状
を検討しておくことで、
道路斜線制限などの
高さ制限に引っかかる一発アウトを防ぐ
ことができるほか
屋根形状を指定されている場合の
見落としが少なくなると思っています。
内部の断面構成の検討にも使えます。
主にエントランスや大ホールなどの
吹き抜けがある部分の
パッシブデザインの採用方法
(天窓や高窓が可能かどうかなど)
さらに、
各階にどの部門が入りそうかとかも
この時点でなんとなく考えていました。
※ただし決め打ちをするわけではありません。
実際、本試験では地下一階が
この断面図どおりにはいきませんでした。
⑥⑦プログラム図を記入
⑥で部門ごとのつながりと出入り口の数、
⑦で全ての要求室の条件把握と
動線の確認をしています。
このプログラム図を
作り込む方も多いようですが、
私は
各居室の
重要条件を把握できているかと
各居室同士のつながりを確認する
ためだけに利用しています。
そしてプログラム図を描いてみて
動線が多数集まってくる部屋や
大きな気積をもつ居室などは
王冠マークなどをつけて
自分の中で重要認定をします。
基本的には課題文読み取りの段階で
いくつか重要な居室の
目星がついていますので、
そこを再確認するようにしています。
先ほども紹介しましたが、
そこは課題文読み取りの部分で説明しています。
当時の試験の時に
重要だと考えた居室は
建物の顔である
エントランスホールと
やはり宿泊部門は
外せないと考えていて、
重要認定をしていました。
重要認定することによって、
プランのどこかで
犠牲にしなければならないときに
その部屋は死守すると確認するためです。
居室にマークがついているのは
“眺望”や”吹き抜け”など
求められているものに、
自分なりのアイコンをつけることで
わかりやすくしています。
青色の線をつなげているのは
同じ部門同士のつながりで、
赤色の線でつなげているのが
他部門同士のつながりで
特に注意をする必要のある動線を
チェックしています。
⑧アプローチ図
敷地外から敷地に
どういう風に侵入するかを考えます。
2面以上の接道の場合、
駐車スペースなど
大きくスペースを取る項目がある場合は
この項目が重要になります。
当時の試験では
隣の駐車場へのアプローチと
車回しが必要だったので注意が必要でした。
また令和2年も車回しや車寄せが登場するでしょう。
⑨ウツワ出し
建物に可能なフレームを考えます。
建築面積と延床面積を確認し、
それぞれが超過しないよう注意します。
私は特に制約が無いなら、
隣地境界線から
最低3mは離すように考えています。
理由は2方向避難が取れない時に
外部階段を取って付けるためです。
建築面積を最大限確保したい場合でも、
最低どこか1つは3m残すようにします。
この項目は
後で出てくる階振り分けと行き来しながら
考えることも多いです。
⑩注意事項
ここで一度、
自分が感じた試験内容の中の
注意するべき事項を
思いつく限り列挙します。
プランを描き始める前に
要求事項を洗い出し
注意事項を集めておくことで
後戻りの必要ないプランニングができます。
⑪階振り分け
諸室の階振り分けは
問題用紙を折り曲げ、紙の裏側でします。
理由は、
要求室を書き洩らす恐れがあるのと、
名称記入の時間がもったいないからです。
ゾーニングを意識しながら
各居室をはめていき、
合計面積に対して
宿泊部門がある場合は1.3倍、他は1.2倍して
先ほどウツワで指定した面積で
各階が収まるのかどうかを判断します。
あとは画像の中の問題用紙上部に書いているのですが、
コア・ト(利用者用トイレ)・吹(吹抜け)を
書いてそれぞれコマを使用します。
ここで明らかに無理がある場合は、
問題の読み取りを間違っている可能性があるので、
もう一度問題文を読み直してください。
ただし、試験は基本的に
素直に振り分けができないようにしている場合が多いです。
受験時は宿泊部門を1フロアに集めることが
難しいようにしてありました。
そのあたりの対応力を見る試験だと考えて、
試験元が求める優先順位を外さないように
注意して階振り分けをしてください。
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⑫(コマプラン)倍コマプラン
プランを考えていきます。
プランはざっくりとしたボリュームどりから
徐々に計画の解像度を上げていきます。
コマプランは1つのグリッドを1つのマス目
(7m×7m柱スパン)
として考えていきます。
倍コマは先の7m×7mを2×2のマス目を使って
考えていきます。
ウラ指導流では
コマプランからはじめるのが普通ですが、
当時のように基準階タイプの試験であれば
基準階のコアと部屋割を決めて、
そのあと他の階のプランを進めた方が
やりやすかったので、
倍コマプランから始めていました。
普通はコマプランから始めた方が
計画からチェックまで
速く回すことで、
検討数を増やすことができるので、
良いと思います。
⑬4倍コマプラン
4バイコマプランで最終的なプランの完成です。
ここで什器まで描く方もおられますが、
私は窓や各居室の出入口、什器は作図段階で
適当に描いていくため、ここでは描きません。
⑭宿泊室レイアウト
宿泊室がある場合はレイアウト表記を求められるので
ここでレイアウトを確認しておきます。
⑮面積算定
最後に面積算定をしておきます。
試験用紙に記入するのは後にしていますが
面積オーバーになっていないかは把握しておきます。
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ここから先、製図方法についてもできるだけわかりやすく
説明をしています。
https://halu-ie.com/drafting-method-firsthalf/
ほか
これまで一級建築士製図試験の合格に役立つ記事を色々とご紹介してきました。是非ご覧ください。
コメント
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