一級建築士製図

一級建築士製図試験は【していいミスとダメなミス】があります。減点方式の試験で生き残る方法をこれまでの試験結果を考察してまとめました。

これまでも有象無象のブログでは一級建築士製図試験のエスキス方法や作図方法の細かい内容をご紹介してきました。

この記事はその前段階の、

一級建築士試験を合格するために知っておく必要がある課題文のとらえ方と

過去の試験の合否結果を考察したうえで感じた

“何を優先させて、何を犠牲にするか”

の判断基準になる採点ポイントを考察しております。

ですので具体的なエスキスの手順や製図の手順などすぐにご覧になりたい場合は目次からリンクに飛んでください。

この記事は私が書いている製図試験の記事の中でも、一番重要な

製図試験自体の考え方や優先事項を考察している

記事になっています。

この記事の要約

  • 採点は減点方式なので課題文に書いていない余計なことは控える
  • 課題文はややこしいお施主様のよう。逆らえば不合格一直線
  • 試験の合否の肝は全体構成、ゾーニング、動線である【森】。まずは【森】を満足させないと個室【木】を全て解ききっても不合格になる。
  • 【森】が解けていれば、【木】のいくつかが解けていなくても合格になる可能性は残されている。

一級建築士製図試験合格するために必要なこと/課題文で頼んでいないものは必要ありませんという試験

この試験の採点方式は減点方式です。

課題文の要求事項に違反している度に減点され、最後まで土俵に残っていた人が合格するという方式ですね。

課題文の要求を忠実にそして卒なく答えていれば、あとは作図の方でミスが無ければ合格できるわけです。

しかし中には課題文に要求されていない場所の眺望やサービス部門の居心地、さらには周辺環境の裏設定など勝手に想像し試験を難しくして答えようとする人がいます。

ですが自分で課題を追加したことで素晴らしいプランになっていても加点されることはありません。加点方式の試験ではないのですから。

しかもその裏設定が違っていると逆に不合格のリスクが高まります。

課題文は頑固で自分の意見を曲げない施主様のようなもの

私は普段注文住宅の設計の仕事をしているのですが、

製図試験を勉強しているうちにふと思ったのが、

課題文の要求事項に対応していく事と

施主様の要望に善処する事は同じことだなぁと思いました。

試験課題に書いている要求事項は施主様の要望なわけです。

しかもかなり自分の意見を通してくるタイプ。

このようなタイプの方は

「私が言ったとおりにしてもらえばそれでいい、余計なことはしないで欲しい。」

と言ってきます。

お風呂が2階に欲しいと言われればお風呂は2階に設けなければなりません。

「こちらの方が私はいいと思うので1階に設けました」

では、たとえプランが劇的に良くなっていても不合格です。

ところがなぜかそういった要求事項をおろそかにして不合格になる人がいます。

課題の要求事項を守らない=不合格という現実

私は製図のウラ指導のユーザープランニングというものに参加していました。

ユーザープランニングとはその年の受験者が自身の再現図を描き上げてウラ指導さんに送ることで、全てのプランと合否結果を無料で全て見ることができるという素晴らしい企画です。

平成29年度の試験の再現図を30案以上目を通しましたが、

平成29年度の試験の不合格ポイント

  • 宿泊部門が3フロアに分散されている案【ゾーニングが悪い】
  • 宿泊部門の全ての客室は各峰や眺望に配慮すると問題に明記されているのにできていない案(1か所でも北側の樹林に向けている)=【北にある樹林の眺望が良さそうだという裏設定を自分で作り自爆。】
  • エントランスホールに吹き抜けや上部光庭などから採光や通風をとるなどパッシブデザインを取り入れてない案【課題要求に書かれているパッシブデザインの取込み方が不十分】

上記に該当されていた方はみなさん漏れなくランク2以下になっていました。

30案も見ていると細かな答案内容はどうでもよくなって、

上記のポイントに絞って目を通すことになるのですが、

そうなると1案1分以内に不合格であることの判断ができ、100%あてることができました。

課題の要求事項からはずれたことをすると、たとえそのプランがどれくらい良くなってようが、不合格になるというのが現実です。

プランニングで優先させるべきは【木】(個室)よりも【森】(全体)

試験に合格するための絶対条件

一級建築士製図試験で合格をつかみとれる方の条件をエスキスの部分と作図の部分で分けて私なりに考察してみました。

試験合格の絶対条件

  • エスキス|空間構成やゾーニング、動線などの【全体構成=森】がまず解決されていて、かつ重要な部屋【部分=2~3本の木】の要求条件を満たしていること
  • 作図|チェック時間をしっかり確保し、ミスをできるだけ多く回収すること

上に書いたとおり、近年の一級建築士試験は特に建物全体のの空間構成(特に断面構成)やゾーニングである【森】の部分に重点が置かれていると思います。

私がやらかした平成28年度の試験結果から採点の重点項目を考える

これは私自身が経験したことなのですが、

平成28年度の製図試験でランク2になりました。

各居室の要求事項を全てみたしていて、

ゾーニングもまとまっていて

かつ利用者とサービスの動線もきっちり分離できていたのです。

ですが私は

吹き抜けのある大きな空間を3階建ての3階にもってきていたのです。

そして他の低い高さの部分とのズレにハイサイドライトを設け、明るさとともに排気のことも考えたパッシブデザインの計画としました。

利用者が3階にいくまでの動線は他とは分離していたので、使い勝手は悪くないようにしていたので平面図でみているときには特に思わなかったのですが、

課題文をあらためて見ていて、これかっ・・・

と気づきました。

この年の計画にあたっての留意事項の中の構造についての記述の中で

“「経済性」にも十分配慮する。”

とあり私はそこに抵触していたのだと思います。建物が断面的に凸凹していると経済的であるとはいえませんからね。

案の定、ランク1で合格している方でこんなプランニングをしている人は一人もいませんでしたし、試験元が出している標準解答例にもそのようなプランはありませんでした。

ちなみに2階にこの居室を設けていた人は合格しています。

以上の事から

個室の要求事項が満たされていても全体の構成が悪ければ不合格になると考えられます。

何かを犠牲にしなければいけない時も【森】を優先させる

しかし、試験課題には必ず簡単に納めさせない工夫がしてあります。

そんな時には迷わず、

全体構成やゾーニングなどの【森】部分を優先させてください。

そして犠牲にする順番はサービス空間→利用者空間(その中でも優先順位があります)の順です。

【森】さえクリアしていれば生き残る可能性があります!

さきほど、課題の要求事項を満たしていないと不合格になりますとお伝えしましたが、

実は割と大きなミスを犯していても生き残り合格をしている人もいます。

平成29年度の試験で

  • 屋外施設のリラクセーションスペースとトレーニングルーム+大浴場は動線について特に配慮せよとされていたのに特に専用動線があるわけでもなく、それぞれ地下1Fと2Fに完全にわかれていた案
  • 設備スペースの電気室や機械室のしつらいを一切記入していなかった(私です)
  • 1階のPSを一つしか描いていなかった(私です)
  • 階段の矢印が上下階で不整合

といったモノは生き残りました。

平成29年度試験はエントランスと宿泊部門が重要な【木】で、この2つが満足できていて【全体構成=森】ができていれば多少の減点はあったにせよ合格できたと考えています。

以上で終わりです。

全てを満足させることができなさそうな場合は必ず全体構成を優先!

と決めておいてください。

私はこれまで一級建築士製図試験の合格に役立つ記事を色々とご紹介してきました。是非ご覧ください。

一級建築士製図ブログ
【エスキス、製図、チェックまで】一級建築士製図の合格に役立つ記事をまとめました。資格学校に通うことなく一級建築士製図試験に合格した製図手法を一挙にまとめました。...