令和1年(2019年)の一級建築士製図試験の標準解答例から合否ポイントを検証します

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一級建築士製図2019標準回答例総評

2019年の一級建築士製図試験は

ランク2が3%、ランク3とランク4で60%を占めたり

と大荒れでした。

公開されている標準回答例をスケッチしながら

どのあたりがポイントだったのか?を見ていき、

令和2年の試験にむけた、

参考になればよいなと考えています。

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目次

令和1年(2019年)一級建築士製図試験標準回答例を描いて確認した感想

前年に引き続き今年も標準回答例を1/400にしてみてみました。

標準回答例1はこんな感じです。

一級建築士製図2019年令和1年標準解答例1

正直1の方は?が多い標準回答例だと思いました。

  1. カフェが南西・・・”本館からも出入り”はどうするの?
  2. 利用者用なのに無窓居室・・・自分の中ではタブーとしている無窓。展示室BとCはまぁ、という気もするがアトリエCとDはさすがに恐くて配置できない。
  3. エントランスホールの吹抜け面積・・・過去にもあったが、風除室上部の面積も入れている。この決断ができていれば今回のプランニングの難易度はもっと下がっていた。

この他

  • 1F,2Fに展示室とアトリエが混在している。(ゾーニングを意識していない)
  • 多目的展示室へのサービス動線が無い

 

なども気になる点です。

標準回答例2はコチラ

一級建築士製図2019年令和1年標準解答例2

標準回答例2の方は概ね私にとって、

納得感のあるプランニングといえました。

しかしコチラでも

  1. 多目的展示室の壁ずらし・・・間仕切り壁をずらすだけで面積をクリアしている荒業
  2. 多目的展示室へのサービス動線・・・こちらも搬入などのサービス動線が無い
  3. 小柱の利用・・・3FのアトリエDと講師控室部分のために用意されているが2Fの展示室Cに柱型が大きく出てきている

この辺りがやや気になる所です。

私自身も別記事でエスキスをしています。

その都度考えていたことを文字にしていますので、

考え方の流れの参考になるかと思います。

https://halu-ie.com/way-of-thinking-standards-for-judgment/

標準回答例でやっている”飛び道具”、利用は慎重にしたい

製図試験でやってよいことと、

やってはいけないことは

標準回答例を参考にすることがおススメです。

https://halu-ie.com/ikkyu-seizu-kakomon-nyusyu/

しかし、今回ピックアップしたような

ある種“飛び道具的な技”

今後の試験で安心して採用できるか?と

考えると、

やっぱり採用は慎重にするべきだろうなと思います。

例えば2015年の標準回答例には

問題文のどこにも記載されていない、

頼まれてもいない公園との出入口を

わざわざ公園の管理者と協議をして設けています。

リスクを冒してまで、

出入口を増やしたい人が

どれだけいるのでしょうか?

標準回答例は

「こんなプランニングでも今年は合格できました。」

です。

カフェの場所・無窓居室・吹き抜け面積を無理してでも合格ができる・・・

つまり合否の重要ポイントは別のところにありました。

という解釈です。

製図試験の解説文に書かれている重要ポイント、”法的又は実際に建物を利用できない不適合は一発アウト”

試験元の合格基準等の採点結果の区分の文章には、

例年にはない

“受験者の解答状況”

という説明書きが追加されています。

この文章を見ているだけでも

色々と考えられます。

ランクIII及びランクIVに該当するものが多く、具体的には以下のようなものを挙げることができる。

・設計条件に関する基礎的な不適合:「要求されている室の欠落」や「要求されている主要な室等の床面積の不適合」

・法令への重大な不適合:「延焼のおそれのある部分の位置(延焼ライン)と防火設備の設置」、「防火区画(特に吹抜け部の1階部分の区画)」や「直通階段に至る重複区間の長さ」等

・その他建築計画に基本的な問題があるもの:「吹抜けの計画(吹抜けとなっていないもの)」等

「要求されている室の欠落」については

一発不合格でも仕方ないかと思いますが、

今回はPS/DS/EPSも必須となっています。

私が試験に合格した2017年当時は

PSを1フロアほとんど

書き忘れていた(0ではなかったです)ので、

本年度の試験だとアウトだったかもしれませんね・・・

https://halu-ie.com/drafting-test-reproduction/

このほかランク3、4の要因になった原因として書かれている

防火設備の設置や防火区画の不備、避難経路の重複距離など

法令不適合に対して非常に厳しい採点をされていると思います。

標準解答例2つの中の解説文にも

防火に対しての説明がみっちり書かれていて、

今後の学習の参考にしてくださいとも書いてあるので、

令和2年(2020年)は要注意です。

製図試験は【ゾーニングや空間構成の理解度をみるテスト】から【実現可能性のある建物を作れるかを見るテスト】へ変わっている?

私の感覚では

これまでの試験で合格できる図面は

「ゾーニングや空間構成が綺麗にまとまっているな。

重要居室の配置などポイントも押さえられていて

問題への理解度が高い。

PSが無い、吹抜けに防火設備も無いけど

どれも細かい部分。

問題意図を十分汲んでるな、良し合格!」

という感覚でいました。

実際合格した当時の私の図面には

1フロアのPSが極端に少なかったほか、

防火設備については一切記入してません

でしたが合格できましたし、

周りの方に聞いても

防火設備の記載は合否に影響していなかったと思います。

しかし

今年のランクの解説を見ていると、

「いや、どれだけ良いプランニングでも、

法令違反の建物(又は利用できない建物)

してるような建物は建てられないでしょ?」

つまり

【現実の世界で建てても問題のない建物を設計できているか?】

ここが結構大事な点になってきているのかなと。

PSやEPSの不備に対する厳しいペナルティも

そう考えると腑に落ちます。

「PSやEPSが無かったら、建物として成立していないから不合格。」

という感じですね。

2020年の製図試験までに身に着けたいのは製図スピードとチェック能力向上!

2019年の合否判断でいくと

プランニングが上手な人よりも

凡例なども含めて早く製図が完了出来て

法令違反やPS等不備のチェックまできっちりできている人が断然有利!

です。

そういう意味では

初年度受験者よりも準備期間の長い受験者の方が

強いのではないかと思いますので、

昨年残念な結果だった方も気を落とさずに

製図スピード、チェック能力を中心に鍛えてください。

https://halu-ie.com/ikkyu-seizu-blog-matome/

偶然ですが本年度より、

学科合格者は当年の製図試験の受験を避けて、

翌年以降に製図試験を受験できるように変わりましたね。

建築士受験制度の変更についてはコチラの記事で書いています。

https://halu-ie.com/ikkyu-schedule/

このような点も

「実際に建てられる建物ができるよう、

ちゃんと勉強してからきてね。」

という意味に感じられます。

法令遵守を意識しながらエスキス、製図を頑張ってください。

私はこれまでに

製図合格に必要不可欠だと思う5つの能力について

記事を網羅して書いてきましたので

是非ご覧ください!

https://halu-ie.com/ikkyu-seizu-blog-matome/

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