一級建築士製図

一級建築士製図試験/私が行っていたエスキス時の考え方や優先順位の判断基準をご紹介します。

一級建築士製図エスキス設計考え方

初年度の一級建築士製図受験者や独学者の方向けに、

私が行っていた、

エスキス作業中のその場その場での考え方や判断基準

平成30年の製図試験を例にして

ご紹介したいと思います。

この記事は次のような方にお役に立てると思います。

  • 他の人のエスキスの考え方を参考にしたい。
  • 全体の空間構成がまとまらず、不成形な形状が出てきたり、動線がいびつになりがち
  • エスキスの最中でつまづく部分が多く、時間がかかる

平成30年の製図試験を使いながら、エスキスのその場その場での考え方や設計する上での判断ポイントをご紹介します。

以前、エスキスの具体的な進め方を

記事にしており、

そちらではウラ指導流をベースとした

具体的なエスキスの順序・作成方法を

ご紹介しました。

一級建築士製図エスキス事例
【画像で解説】一級建築士製図試験の具体的なエスキス方法や手順をご紹介します。ウラ指導流のエスキスをベースとして"まず初めに下書き用紙に折り目をつける"など、自分でアレンジを加えたエスキス手順を画像で詳しくご紹介しています。...

具体的に書いていますので、

そちらも参考になるかと思います。

エスキスや設計の判断基準でつまづいている人は最近の合格者に積極的にアドバイスを受けましょう。

さて、エスキス方法は分かった。

でもいざ進めていくと、なぜか躓いてしまう。

「こんな時はどういう風に考えればよいのだろう?」

「どうまとめていけばいいのかわからない。」

初年度受験者や独学者の方は

自分なりの判断ポイントが出来上がっておらず、

まとまらない、重要な点をはずしてランクを落としてしまう。

ということもまだあると思います。

そんな時に、

周りの受験者や最近の合格者の考え方を

積極的に聞く

または、

その人のやり方を見る

ということも良いと思います。

Twitterではかなり有益な情報が

飛び交っていますので、

アカウントを作って

是非積極的に交流をしてみてください。

人のアドバイスを自分の中で醸成して、自分の判断ポイントを作り上げることが合格への近道

先ほどの話の続きですが、

私自身が人からアドバイスを受けたときに、

一番大切だと考えていたことをお伝えします。

アドバイスを受けた、感心した。

それで終わっては何の意味もありません。

そのアドバイスを自分の中で醸成して自分のモノにしていく

事がなによりも大切です。

本番の製図試験では何が出題されるかわかりません。

そして、

あなたの隣でアドバイスをしてくれる人は誰もいないのですから。

もうひとつ理由があります。

それは、

自分の判断まで他人に委ねてはいけないということです。

ひょっとするとアドバイスを受けた時とは

多少条件やその項目の重要度が

異なっていることもあるかもしれません。

それなのに、

「あの人がこういってたから、こうしよう。」

と安直にすすめた結果、合格できなかった。

「アドバイスどおりにしたのに・・・」

と文句を言ったってはじまりません。

自分の中に適切な判断基準=軸

を持っている人は、

プランの中の重要度を自分で判断できて

場合によっては、

アドバイスの部分は切り捨てて、

自分がより重要だと考えたポイントを選ぶ、

ということができます。

結果、

どんな難しい設問が出てきても

ダメージを最小限にすることができます。

これが自分の判断基準を作り上げるということです。

少し耳の痛い話をしましたが、

実は一度、私自身が経験したことなんです。

同じ轍を踏まないように気を付けてほしいと思い、

書かせていただきました。

ご紹介するエスキスをご参考いただく前の注意事項

さてここから本題に入りたいと思います。

私がエスキス作業中に

どのように判断して進めていくのかを

平成30年のスポーツ施設の製図試験を使ってご紹介したいと思います。

エスキス手法はウラ指導さんの進め方で、

バイコマまでを取り上げたいと思います。

  1. 私は平成30年を受験したわけではありませんので、
    「こうしたら合格できた!」
    「これが合格プランです!」
    というものではありません。
    あくまで、エスキスの考え方のご参考にご覧ください。
    (平成29年の宿泊施設で合格していますので、
    そちらでエスキスの考え方をご紹介しても良いのですが、
    宿泊階のあるプランだと少し本年の試験と
    考え方が違うと個人的に思っていますので
    平成30年でしました。)
  2. エスキス手法はウラ指導さんの進め方が中心となっていますが、
    記載している用語や一部進め方はウラ指導さんと異なっています。
    キチンとしたウラ指導さんのエスキスを理解したい方は講座の受講や書籍をご購入ください。
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私が実践していたエスキス時の設計の考え方と判断ポイントを順番にご紹介します。

私が設計時に大切にしていたこと

まず初めに

私が設計をする上での自分の中の決め事を

書いておきます。

※繰り返しますが、こうでなくてはいけない!というものではありません。

1、難しいこと、アクロバティックなことはしない。

構造的に厳しい梁をもたせるために

下階に小柱を設けたり

□.5がつくような周り階段を使ったり

地上階にある居室の面積を調整するために

躯体面よりも居室の外周が外に出したりと

技を色々使って

難しいプランを成立させている方もおられますが、

私の場合、

そんな難しいプランになってしまっている時点で、

設計が間違っていると考えて別のプランに変更します。

建物の外形は長方形の立方体を原則にします。

そしてその立方体のボリュームの中で

できる事を考えます。

よほどのことが無い限り、これでプランをまとめること

が出来ます。

また虫に食われたようなポーラスな建築物にならないようにも、

気を付けます。(個人的には好みです。)

当たり前の手法で設計できるプランが合格プラン

というのが私の考え方です。

2、設計の優先順位を守る

設計の優先順位は

建物形状や構造>重要居室=動線>その他利用者居室>サービス用居室

です。

建物形状はさきほどお伝えした

ようかん型が基本です。

居室の外周部は躯体の外周面から出ないように納めます。

(半屋外空間を設けるために引っ込めることはあります。)

柱スパンは6~8mで、

長スパンが出てくる場合は

プレストレスト梁で、

その梁の上には

できるだけ居室を設けないようにします。

構造的にも面積算定する上でも

シンプルな計画にするのが一番です。

スケルトンを決めた後、

内部の他の空間に影響を与える

気積や天井高さがある居室、

又は

他の居室からの動線が一斉に集まってくる

ような居室の配置と

建物内外部のシンプルな動線計画

同時に考えます。

動線がシンプルにまとまったら、

残りのボリュームに

どの居室をあてはめるかを

考えていきます。

私の場合はその他居室よりも

動線計画(廊下)が

いびつにならないことを優先させています。

問題用紙を読みとく

この部分は別記事で取り上げていますので、そちらをご参照ください。

要求室のチェック方法
私が実践していた要求室と計画の要点の読み解き方とマーカーの引き方をご紹介します。/一級建築士製図試験課題文今回はマーカーを引いた時点で各要求室の重要度をざっくりと把握でき、 計画の要点がまとめやすくなる、要求室の表と計画の要点の読み解き...

1/400の敷地をエスキス用紙に記入する

この記事では説明は省きます。

詳しい方法はこちらの記事で取り上げています。

一級建築士製図エスキス事例
【画像で解説】一級建築士製図試験の具体的なエスキス方法や手順をご紹介します。ウラ指導流のエスキスをベースとして"まず初めに下書き用紙に折り目をつける"など、自分でアレンジを加えたエスキス手順を画像で詳しくご紹介しています。...

建蔽率、容積率、ターゲット延べ床面積を把握する

エスキス建ぺい

 

感想としては

「常套手段の

7mスパンの”6×4″コマが使えないのか~」

「建ぺい注意しないと一発アウトありそ~」

です。

構造・設備計画

エスキス構造・設備計画

設備室が必要なものはどれか、

屋上に設けないといけない設備はどれかを

確認します。

その他(外構計画)

エスキス屋外施設

屋外テラスが地上に必要だということ、

カフェとつなげる

(必須ではないけどできるだけ隣接させて設けたい)ということ、

そして桜並木側に寄せようか?と考えています。

断面計画

エスキス断面計画

プールと多目的室エントランスの吹抜けが

建物全体に影響が大きいので

何階にもってくるか検討しています。

プールは1階か2階どっちにするか・・・

多目的が1階にくると上階がプランしにくいから、

これは2階にもっていこうと考えました。

少なくともこの2つの部屋は3階は無いなと考えています。

※居室の中のマークは私の中で吹抜けを表しています。

この時点で建物高さと基礎深さにアタリをつけています。

各居室のつながり

エスキスプログラム図

温水プールに王冠、多目的室はそれに次ぐ冠マークを付けて

この建物で重要度が高い居室と

認定しています。

あとは

インストラクター控室は

サービス動線から行けた方が良いかな?と考えています。

※青線は同部門のつながり、赤線は別部門、外部施設とのつながりを

示しています。

建物へのアプローチ

エスキスアプローチ

利用者出入口の位置と内部動線(1Fのみ)と

それによるボリュームの切り取られ方

3パターンを検討しました。

アクセスは

北は外せないし、西も欲しいところ。

東は悩みました。

でも東にも出入口つくると、

内部のボリュームが切られてプランしにくそう・・・

そこまでして必要だろうか?

あと、いちおう南に出入口を設けた場合を検討しとこ。

という感じです。

建物外形の大きさ(ウツワ)を決める

エスキスウツワ

建蔽ギリギリなので

庇や外部階段注意しないと

アウトになるなと思っています。

敷地周囲は

敷地内通路と屋外施設がどこに来ても良いように

考えています。

計画するうえでの注意点

エスキス注意点

プランするにあたって

気を付けないといけないところをここで挙げています。

部屋の階振り分け

問題用紙を折る

問題用紙の裏側に線を引いて、

表の上に決めた”ウツワ”の各階で可能な

最大床面積を記入

エスキス居室階振り分け1

 

1Fに入れる居室検討

まずは温水プール室を1階に

配置するように考えています。

後の工程で計画が難しそう

だったら2階にもっていく予定でした。

エスキス居室階振り分け2

温水プールと更衣室×2は

大きな空間だから廊下係数は×1.1で抑えました。

エスキス居室階振り分け3

設備スペースの機械室は

搬出入の事を考えて1階に置きたい。

さらに

今回の管理・共用部門は

全部1Fにおけそうだけど、

プランをしたかんじで

難しければ救護室は上階に

上げようと考えています。

この居室は

通常の廊下係数×1.2を掛けました。

(1枚目の画像の表上で計算)して

今選んだ分全部とコアを足しても

1コマ分余りそうな感じです。

見学コーナーに使うか様子見。

とりあえず

これで決定して上階に移ります。

2階,3階に入れる居室検討

1階にプールを置いたため

エントランスとプールの吹抜け部の分

2階の使える面積が減るので、

先にひいておきます。

(スマホの方は下の画像をスワイプで移動させてください)

エスキス居室階振り分け5
エスキス居室階振り分け6

2階に多目的スポーツ室を

入れることにしているので、

多目的スポーツ室の天井部と

エントランスの吹抜け分を

先に3階の床面積から引いておきます。

2階と3階の、

残り使える床面積を出してみました。(ここまで1枚目画像の説明)

多目的スポーツ室と

更衣室Bは同じ階の方が良さそう、

他の居室はどちらの階でも問題なさそう。

適当に居室を仮決めしといて、

プラン時に考えようと思っています。(2階3階の各居室については下の全体画像でご確認ください。)

あと全ての階で多機能トイレと便所を用意して

全体の面積計算します。(2枚目画像の説明)

エスキス居室階振り分け7

各階面積、延べ床共に問題なし!とりあえずこれでプランに入ります。

コマプラン

(スマホの方は下の画像をスワイプで移動させてください)

エスキスコマプラン2

まずはオーソドックスな6×4で検討を始める。

アプローチを北と西に、

サービスも北に設けるよう考えます。

合わせてコアと

それをつなげる動線を検討(1Fのみ)します。

今回のようにアプローチが2か所で

L字に動線ができたときは、

L字で分断されたボリュームに

何を入れるかをはじめに考えます。

まずは

千切られるボリュームを最小限で済まして、

他が計画しやすいように

するところからはじめます。

そのボリュームが1コマならコアにあてて、

2つ以上になりそうなら

カフェを考えても良いかと思案。

コアを仮決めしたあと、

残りのボリュームをどう使うか検討する。

まずは全体計画に大きな影響を与える

“重要居室認定”したプールを1Fに入れて

次に多目的スポーツ室を2階に入れることにします。

上階に影響のある居室はできれば

角にもっていきたいところ。

プールは横長におくと、

北東角に機械室を入れられそうなので

まずはこれで仮決定。

プールを横長に置くと2階の南西部に

4コマ空間ができる。

この4コマ空間に多目的スポーツ室を入れて、

あとはエントランスの吹抜けを作って動線が

通るかどうか・・・

各階の動線がシンプルに東西に引けて、

千切られたボリュームも使いやすそう!

(くにゃっとした線で確認してます。)

よし、ということで次に進みます。

バイコマプラン

エスキスバイコマプラン1

コマプランをベースにして

居室を具体的に配置していきます。

ベースにはしましたが、

最終的には3階を

もっとシンプルにまとめる事が

できました。

2階、3階の居室の中で

場所を特定しなくても

よさそうな居室達は、

動線でちぎられたボリュームに

要求床面積でしっくりくる居室を

あてこんでつくっていきます。

(階の居室振り分けから変更されている事が多い。)

コンセプトルームは2階でも3階でも

どちらでも良いが

アクセスがしやすく、

目立ちやすい所に

設けるように考えていました。

あと、

カフェの厨房用出入り口は

コマプランではとっていなかったが

簡単に設けられそうなので設けました。

あとは柱割で居室の面積を調整。

条件漏れがないかチェックして、

OKであれば

1/400図面にすすみます。

バイコマプラン(2Fプールの場合)

ちなみに2階にプールを置く場合は

こんな感じになりました。

エスキスバイコマプラン2

 

まとめ

色々なテクニックを見ると

心動かされますが、

大切なのは以下の2点だと思います。

  • 合格するためには自分の中でしっかりとした優先順位や判断ポイントをもつことが重要
  • シンプルな形状、シンプルな動線etc…一般的な手法のみを使った無難なプランを考える。

エスキスの具体的な手法はコチラの記事をご参照下さい。

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