一級建築士学科/構造分野

【過去問10年分に対応】建築士試験で出題される層せん断力Qiや係数Ci(Z.Rt.Ai.C0)をわかりやすくまとめました。

一級建築士試験層せん断力

この記事は

建築士試験で点をとることを目的として

層せんだん力とはそもそも何のことなのか?

各係数がどのようなものなのか?

をできるだけわかりやすく説明しています。

また

層せんだん力に関わる過去10年分の設問をまとめていますので、

この記事だけで、

十分な知識を取り込むことができるようにしています。

私は当初、構造分野の問題が苦手だったので、

そういう方に読んでいただいて

学習の参考にしていただければ幸いです。

※過去問のみご覧になりたい方は目次から飛んでください。

一級建築士試験 構造分野で出される層せん断力Qiや層せん断力係数をわかりやすくまとめました。

一級建築士学科試験の構造分野で毎年の頻度で出題されている文章問題、

層せんだん力関連の設問は

 

Q i(i 階の層せん断力) = C i (i 階の層せん断力係数) × Σ W i(i 階よりも上層の建物重量)

 

そしてその中のCiを求める式である、

 

C i(i 階の層せん断力係数) = Z (地震地域係数)× R t( 振動特性係数)× A i (地震層せん断分布係数)× C 0(標準層せん断力係数)

 

が理解できていれば解くことが出来ます。

次に

 

Q i(i 階の層せん断力) = C i (i 階の層せん断力係数) × Σ W i(i 階よりも上層の建物重量)

 

については以下のように考えてください。

建物重量(W)は建物の質量(m)と重力加速度(g)の積で求まります。

つまり

W=m×gです。

ですので

建物質量(m)を求めるには

m=W/g

つまり建物重量を重力加速度で

割れば良いですね。

次に慣性力は

質量(m)と加速度(a)の積なので

ma=W/gとなって

ある層の水平外力(P)は

P=a/g×Wといえます。

1層建物の場合の層せんだん力(Q)は

水平外力Pと等しくなります。

よって

Q=a/g×Wとなります。

一方多層建築物の場合は

簡単ではありません。

Qi=Ci×ΣWi

という式になります。

Ciは層せん断力係数、

ΣWiは指定した階よりも上の建物重量すべてです。

層せんだん力Qiのイラスト

地震で、

ということを考えなければ例えば

“机に接着剤でくっつけた、

3層の箱(3階建て)を前後にゆすった場合”の

2層目(2階の床)にかかる水平外力は

P2(2層目にかかる水平外力)=

a(加速度)/g(重力加速度)×Wi(2・3階+屋上の建物重量)

ということで式に現れている通り、

 

  1. 机を速く動かす(aが大きい)ほど2層目の床に強い力が加わる
  2. 重いモノ(Wiが大きい)ほど2層目の床に強い力が加わる

 

のはわかりやすいと感じます。

地震の検討をする場合は、

a(加速度)/g(重力加速度)というところがCiに変わったという感じでしょうか。

次にそのCiの中身、

Z,Rt,Ai,Coについてみていきたいと思います。

地震地域係数Zは地域によってあらかじめ決められている

Zで覚えてほしいのは以下のポイントです。

  1. Zは地震の影響を受けやすい地域かどうかによって、あらかじめ1.0~0.7の間で数字が決められている。
  2. 地震の影響を受けやすい地域が1.0、受けにくい地域ほど低い

地震による影響が大きい地域が高く設定されています。

自分の住んでいる地域がどうなのかを調べておくと、

記憶への定着が良いかもしれません。

実際はこまかく分かれているのですが

ざっくりいうと、

関西から関東、東北、北海道にかけて太平洋側の地域はだいたい1.0、

九州の一部・中四国だいたい全域・東北(日本海側)・北海道(中央部)とが0.9、

北海道の北端付近と九州の南端付近が0.8、

沖縄だけが0.7になっています。

振動特性係数Rtは地盤と建物の特性の組み合わせで決まる。

このRtはその建物がもつ固有周期と地盤の硬軟の組み合わせで決まる係数です。

構造の計算問題にも出題される部分なので、

よく理解しておきたいところです。

“Rt”と聞けばグラフが頭に出てくるようにしておきましょう。

振動特性係数Rtグラフ

建築士試験で出題される部分で重要なポイントは以下です。

Rt(振動特性係数)の特徴

  1. 振動特性係数は大きくても1.0で、それより以下の数値にしかならない
  2. 第1種~第3種地盤の線の形状と順番(上から3.2.1)
  3. 建物の固有周期が長いほど係数Rtは小さくなる

 

地震層せん断力分布係数Aiは一階が1.0で上階に行くにしたがって高くなる

地震層せんだん力係数Ai

細かい数字は必要ありませんが、

このグラフの形状を覚えておきましょう。

高層の建物が地震を受けると、同じ建物でも上階ほど大きな力を受けます。

その大きな外力を、靭性のある建物が受け流して建物が崩壊するのを防ぐ、

というのが地震大国日本の基本的な対地震対策です。

 

Aiに関して覚えておきたいのは、

以下のポイントです。

Ai(地震層せん断力分布係数)の特徴

  1. 最下層(1階)は1.0
  2. 上層(階)に行くにしたがって係数Aiは高くなる
  3. 固有周期が長い建物ほど係数Aiは高くなる

標準層せん断力係数C0は0.2と1.0を覚える

標準層せん断力係数は

中地震動に対しては0.2を使用し、

大地震動には1.0を使用します。

(保有水平耐力計算をする場合も同様)

この係数は、

一番初めに弁当箱を置いた机を揺らす話をしましたが、

P(受ける水平外力)=a(加速度)/g(重力加速度)×W(建物重量)

この式でいう”a(加速度)”の部分に対応する係数です。

つまり、

中地震動が起こった場合は建物重量の0.2倍(2割)が、

大地震動(極めてまれに起こる大きな地震)が起こった場合は建物重量の1倍

つまり建物重量そのものと同じだけの力が

水平方向にかかるという意味です。

以上で各係数の説明はお終いです。

層せん断力Qi等の過去問で理解度チェック

過去10年間に出題された、

層せんだん力関連の設問が解けるかチェックしましょう。

1.建築物の地上部分における

ある層に作用する地震層せん断力は、

その層の固定荷重と積載荷重との和に、

その層の地震層せん断力係数 C i を

乗じて算出する。H30/7

※”その層の固定荷重と積載荷重”

だけでなく、その層から上の層全ての荷重が足されます。

よって誤答肢

2.地震地域係数 Z が1.0、

振動特性係数 Rt が0.9、

標準せん断力係数 C0 が0.2のとき、

建築物の地上部分の最下層における地震層せん断力係数 C i は

0.18とすることができる。H30/7

Ci=Z・Rt・Ai・C0です。

Zが1×Rtが0.9×Aiは

最下層の場合1×C0は0.2なので0.18です。

正答肢です。

3. 建築物の固有周期が長い場合や

地震地域係数Zが小さい場合には、

地震層せん断力係数Ciは、

標準せん断力係数C0より小さくなる場合がある。

H26/8+R1/8

※設問のように

“CiがC0より小さくなる場合”は

どんな場合か、

つまり

ZとRtとAiをかけたものが1を切ることがあるか

どうかですね。

Zの数値の幅は原則1.0~0.7です。

Rtも最大で1.0で場合によって

0.2程度まで下がります。

Aiは最下層の場合は1です。

(上層に行くにしたがって高くなる)

よって

CiがC0よりも低くなることもありえます。

よって正答肢です。

4.建築物の地上部分における各層の

地震層せん断力係数Ciは、

最下層における値が最も大きくなる。H27/7

5. 建築物の地上部分における

各層の地震層せん断力係数Ciは、

最下層における値が最も小さくなる。H24/8

※計算式の内、

建物の高さと関係のない部分を省いていくと

Ci=ZRt・Ai・C0となって、

結果Aiだけが関係してきます。

Aiは最下層が1で

上層に行くにしたがって高くなります。

つまり、

上層に行けば行くほどAiが上がるので、

結果Ciも比例して上がります。

よって問4は誤答肢/問5は正答肢

6.地盤種別が第二種地盤で、

建築物の設計用一次固有周期が0.6秒以上の場合は、

一般に、高層になるほど

地上部分の最下層の地震層せん断力係数Ciは

大きくなる。H22/8

※”高層になるほど”と問われています。

建物の高さが

関係してくるのはAiのみでした。

固有周期がTが大きい=Aiが大きくなりますが、

地上部分の最下層のAiは必ず1ですので、

高層になっても関係ありません。

“高層になるほど”という部分で誤答肢です。

ちなみに固有周期Tが大きい=Rtは

低くなるので結果Ciは小さくなりそうです。

7.建築物の地上部分における

各層の地震層せん断力Qiは、

最下層の値が最も大きくなる。H29/8

※この問題は気を付けたいところです。

層せん断力係数である、

Ciは最下層の値が最も低くなるのですが

そのCiを利用して最下層のQi=Ci×ΣWiを計算すると、

最終的には最下層のQi値が最も大きくなります。

結局ΣWi(その層より上の重量を含む)が

一番大きくなるからでしょうか。よって正答肢

8.建築物の地下部分の

各部分に作用する地震力は、

一般に、当該部分の固定荷重と積載荷重との和に

水平震度を乗じて計算する。H25/8+R1/8

9.地下部分の地震層せん断力は、

「地下部分の固定荷重と積載荷重との和に、

当該部分の地下の深さに応じた

水平震度kを乗じて求めた地震力」と

「1階の地震層せん断力」との和である。H22/8

10.地下部分の地震層せん断力は、

「地下部分の固定荷重と積載荷重との和に、

当該部分の地盤面からの深さに応じた

水平震度を乗じて求めた地震力」と

「地上部分から伝わる地震層せん断力」との和である。H27/7

※微妙に言い回しが変わっていますが、

言っていることは同じです。全て正答肢です。

地震地域係数Zは、

1.0から0.7の数値として

地域ごとに定められている。H28/7

地震地域係数Zは、

その地方における過去の地震の記録等に基づき、

1.0から0.7までの範囲内において

各地域ごとに定められている。H24/8

共に正答肢です。

建築基準法における

地震層せん断力係数Ciの計算に

用いる振動特性係数Rtは、

建築物の設計用一次固有周期Tと

地盤の種別に応じて定められている。H29/7

11.建築物の設計用一次固有周期Tが長い場合、

第一種地盤より第三種地盤のほうが

建築物の地上部分に作用する

地震力は大きくなる。H27/7+H24/8

12.第一種地盤で、建築物の設計用一次固有周期Tが長い場合、

振動特性係数Rtの値は、

Tが長くなるほど小さくなる。H27/7

13. 建築物の固有周期及び地盤の種別により

地震力の値を変化させる振動特性係数Rtは、

一般に、建築物の設計用一次固有周期Tが

長いほど大きくなる。H25/8

※グラフを思い出せるようにしておきましょう。

振動特性係数Rtグラフ

Rtには下記のような特徴がありました。

Rt(振動特性係数)の特徴

  1. 建物の固有周期Tと第1~3種の地盤の種類の組み合わせによって決まります。
  2. 同じ建物でも軟弱な地盤ほど数値が高く(地震の影響を強く受ける)なります。
  3. 建物の固有周期Tが長いほどRtは低くなります。

ということで

言い回しがそれぞれ違いますが

全て正答肢です。

14.地震層せん断力係数 C i の

建築物の高さ方向の分布を表す係数 A i は、

建築物の上階になるほど大きくなる。H30/7

15.地震層せん断力係数の

建築物の高さ方向の分布を表す係数Aiは、

一般に、建築物の上階になるほど大きくなり、

建築物の設計用一次固有周期Tが

長いほど大きくなる。H25/8

※共に正答肢です。

Aiは下記のような特徴がありました。

Ai(地震層せん断力分布係数)の特徴

  1. 最下層(1階)は1.0
  2. 上層(階)に行くにしたがって係数Aiは高くなる
  3. 固有周期が長い建物ほど係数Aiは高くなる

16.建築物の地上部分の

必要保有水平耐力を計算する場合、

標準せん断力係数Coは1.0以上と

しなければならない。H28/7,H25/8

※正答肢です。

Co1.0は極めてまれに起こる大地震でした。

そんな地震が来ても大丈夫な

建物にしなさいということでしょう。

17.鉄骨造又は木造の建築物の

地震力を算定する場合に用いる

設計用一次固有周期 T (単位 秒)は、

建築物の高さ(単位 メートル)に0.03を乗じて

算出することができる。H30/7

18.地震力を算定する場合に用いる

鉄骨造の建築物の設計用一次固有周期T(単位:秒)は、

特別な調査又は研究の結果に基づかない場合、

建築物の高さ(単位 m)に0.02を乗じて

算出することができる。H24/8

鉄骨の場合は0.03です。

よって問17は正答肢/問18は誤答肢です。