一級建築士学科/環境分野/用語解説

一級建築士学科試験の環境分野で出題される温熱指標【OTやPMVやSETなど】を総ざらいします。

温熱指標

学科試験の環境分野で毎年選択肢の中ででてくる、温熱の指標【PMV,ET,SET等】ですが、過去問題集だけで勉強しているとそれぞれ単独で目にする事はあってもまとめて書かれていることが無いので、頭にすっと入ってこないということがありました。

その辺を一度まとめたことがあったので、そちらのご紹介をします。

温熱指標とは人間の温熱的快適性を調べる評価法のこと

さっそく温熱指標のそれぞれの単語を覚えていきたいところですが、

その前に温熱指標がどのような時に使われるかを考えていきたいと思います。

PMV,ET,ET*,SET,DIなど様々な指標がありますが、共通するのは

人間がその温熱環境で快適かどうか【人間の温熱的快適性を調べるための評価法】だということです。

そして、その評価をするためには何か判断できる要素(気温が高い、湿度が低いなど)が必要ですね。

ですので評価法を覚える前に、まずは

  1. 評価の元となる各要素がどのようなものか把握して、
  2. 次にその要素をどのように評価している評価法があるか

を見ていくと内容が理解しやすいと思います。

温熱的快適性を評価をするために必要な6つの要素

人間が感じる温熱快適性の要素は全部で6つありますので、

このあと覚える評価法はこの6つの項目のどれか、または全部を使って快適性を評価することになります。

6つの温熱的快適性の内訳は以下の通りです。

環境側が①~④の4つと人間側が⑤~⑥の2つの計6つです。

温熱的快適性を調べるための要素

  1. 気温・・・説明不要かと思います。
  2. 湿度・・・梅雨の時期や過乾燥の時期など特に気になりますよね。
    基本的に湿気があると気温を高く感じ、乾燥していると気温を低く感じます。
    ここでいう湿度というのは相対湿度の事をいいます。
  3. 気流・・・体に風が当たると夏は涼しく、冬は寒く感じます。
    当たる瞬間に人間と風の双方向で熱が移動しますが、
    基本的に外気の風は人間の体温よりは低いことが多いので、
    気流速度が大きいと人間の体から風に熱が多く逃げていきます。
    また気流により汗など水分が移動するのも涼しく感じる特徴です。
  4. (熱)放射・・・ある物質から放出された熱が電磁波の形で別の物質に到達して熱を届けることを(熱)放射といいます。このとき、周囲の空気の温度は変化しないということが特徴です。人間と放射の関係で代表的なものは太陽の熱です。
    太陽はとても熱くて、人間は日射にあたると暑かったり暖かったりするわけですが、その間にある宇宙はどうかというと、もの凄く寒いですよね。宇宙には電磁波を受け取る物質が無いため、太陽から放射された電磁波は宇宙を温めることなく地球まで到達し、そこで物質に当たって初めて熱の受け渡しがあるからです。
    またこの世にある全ての物質は太陽と同様にそれぞれの温度に見合った電磁波を放射しています。たとえばストーブと人間を例に出すと、ストーブをつけて温かいと感じるとき(ストーブが人間に電磁波を放射している時)、実際は人間もストーブに電磁波を放射しています。この時ストーブの方が人間より与える熱量が多いので、結果人間を体を温めることになっています。※自分が出している放射を体感するには手の平をこすって、そのこすった手をほっぺなどに触れない程度に近づけてください。ほんわりと温かさを感じることができます。それがあなたの放射している電磁波です。
  5. 代謝量・・・基礎代謝などの言葉があるとおり、人間が生み出す熱量です。単位はMET(新陳代謝=メタボリズムからきているのか?)です。安静に座ったままテレビを見ている時を1METとして、運動をすると3METなど増加します。
  6. 着衣量・・・衣服を変化させることで人間に対する断熱性能を増減させることができます。単位はclo(衣服からきているのか?)です。着衣量が増えるとcloが増えます。
    ただ、1cloは”気温が21℃で相対湿度50%気流0.1m/sの条件で、椅子に座り安静な状態で快適と感じる着衣量の事”となっていて、なんだかよくわかりづらいですね。シャツを羽織っているぐらいでしょうか。

試験に出てくる温熱指標を簡単な表にしました。

温熱指標

 

 

 

 

温熱指標が出てくる問題は単語とその内容が合っているかというのがほとんどです。

そして単語の説明として湿度やら気流やら放射やらを使ってきます。

たとえば【OT作用温度】の説明は問題によく出てきますが、”作用温度は、空気温度、放射温度及び湿度から求められる。”

上の表を覚えられたら、作用温度と湿度が出てきた時点でバツできます。

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各温熱指標の説明をします。

ここでさらっと上記指標の説明をします、が適当ですので環境工学系の本を読んでもらった方が安全です。(汗)

OT(作用温度)

OT(作用温度)・・・”発汗の影響が小さい環境下における熱環境に関する指標として用いられ”や”気温平均放射温度対流熱伝達放射熱伝達重み付け平均(加重平均)した感覚温度”とあれば正解ですが解説を見たとき理解が難しかったです。
とりあえず下線を引いたキーワードだけ注意しましょう。
ただ対流があまりない空間での作用温度は気温と平均放射温度を足して2で割ったものとなり幾分わかりやすくなります。
またこの場合、作用温度≒体感温度となります。実際、室温が低くても平均放射温度が高ければ室温の割りに暑く感じますし、その逆も言えます。これは体感温度の簡易的な考え方と同じですね。

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MRT(平均放射温度)

MRT(平均放射温度)・・・OTの計算上必要になるのが平均放射温度(MRT)です。
平均放射温度は試験では”平均放射温度は、グローブ温度空気温度及び気流速度から求められる。”という出題(正答肢)がされていますので、そのまま覚えておけばとりあえずよいです。
試験には必要ないかもしれませんが理解を深めるために調べると、
平均放射温度=”周囲の全方向から受ける熱放射を平均化した温度表示”の事で、
例えば人間が凄く熱く暖められた(或いは冷えた)壁、天井、床に囲まれた部屋に入ったときに部屋のあらゆる面から、人間にむかって熱が放射されてきて、とても暑く(寒く)感じるのは想像できますが、
人の立っている位置や各面の暖められ方によって各面から影響を受ける熱エネルギーにはばらつきがあります。その各面から不均等に放射された熱エネルギーを全て足した合計の放射熱エネルギーを面で割って平均化した場合の熱放射温度が平均の放射の温度(MRT)というわけです。

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ET(有効温度)

ET(有効温度)・・・ある温度と湿度と気流がある実在環境を湿度100%無風の場合という仮想環境に置き換えた場合の温度です。数値は適当ですが、室温21度で湿度50%、風は微風の状態を湿度100%で無風の場合(有効温度)に置き換えると26度になりました。という感じでしょうか。湿度100%というのが無理すぎますね。

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ET*(新有効温度)

ET*(新有効温度)・・・過去の試験では
“新有効温度ET*は,人体の熱負荷に基づき,熱的中立に近い状態の人体の温冷感を表示する指標のことである。”と出題(誤答肢)されています。上記はPMVの説明です。
正しくは、湿度50%を基準とし、気温、湿度、気流、放射熱、作業強度(met)、着衣量(clo)の6つの因子により計算された環境を総合的に評価した温度のことで、ETが仮想環境すぎたものを、もう少し実在する環境に近づけた指標ということのようです。
ただし、同一代謝量、着衣量でないとET*の大小で温冷感覚が比べられないので比較が難しいという欠点があります。

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SET*(標準新有効温度)

SET*(標準新有効温度)・・・過去の試験では
“SET*(標準新有効温度)が20℃の場合,温冷感は「快適、許容できる」の範囲内とされている。”と出題(誤答肢)されています。
正しくは22.2〜25.6℃が快適・許容できる範囲内で20℃は「やや涼しい、やや不快」になります。
SET*は椅座静位(代謝量1.0Met)着衣量(0.6clo)静穏気流平均放射温度=空気温度相対湿度50%とした場合を標準としたET*の事です。
後で説明するPMVとは違い、着衣量や代謝量を修正することによって、様々な代謝量における温冷感や快適感評価を可能にしています。汗をかくような暑いところや凍えそうな寒いところも評価できるのが良い点ですね。

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PMV(予測平均温冷感申告)

PMV(予測平均温冷感申告)・・・先ほどET*の誤答肢として出てきた”人体の熱負荷に基づき,熱的中立に近い状態人体の温冷感を表示する指標のことである。”というのが説明です。
また、”ISOにおいては、PMV(予測平均温冷感申告)が-0.5<PMV<+0.5に収まり、かつ、PPD(予測不快者率)が10%未満となる温熱環境を推奨している”という正答肢がありました。
結果を-3から3までの7段階で評価します。上記のように数字が0に近いほど快適になります。またPPD(予測不快者率)と対応していて数字が0から離れていくと、PPDが増加します。この指標の欠点は事務所内の室内空間など比較的快適な空間でしか利用できないというところです。

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DI(不快指数)

DI(不快指数)・・・不快指数(DI)は蒸し暑さを表す指数で温度湿度を使い評価します。65~70が快適で、数字が上がるとだんだんと暑く感じ、数字が下がるとだんだん寒く感じる体感だといえます。

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最後までお読みいただきありがとうございました。この記事の他に環境分野や計画分野の細かい知識から勉強法など幅広い知識まで色々と記事にしていますので、お時間がありましたら是非ご覧ください。

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