一級建築士製図

平成30年の一級建築士製図試験の総評/標準解答例と資格学校の模範解答例を通して合格条件を考えました。

平成30年一級建築士製図試験標準解答例主要居室

昨年の試験は大きな変化があり、選択肢の自由度の高さと細々とした作図上の注文に手こずった方も多いと思います。では実際に合格できるプランはどういったものだったのでしょうか。

それは試験元が出す、標準解答例を参考にするのが一番です。この記事では標準解答例とインターネットで公開していた資格学校(サイト)2社の全体プランと空間構成を分析し、合格できるプランの条件を整理したいと思います。

※一部追記しました。目次から飛べるようにしています。

この記事を特にご覧いただきたい方

  • 昨年受けて不合格だった方で、まだ自分のプランの敗因をチェックしていない方
  • 本年製図試験に合格するための参考とされたい方

平成30年一級建築士製図試験の総評/標準解答例他から合格条件を検証します。

平成30年の試験は問題用紙のサイズや情報量の多さ、アプローチの自由度の高さ、延焼範囲、防火設備の指示など昨年と大きく異なりました。後日試験課題を見た私はびっくりしました。

しかし、この試験でやることは毎年一緒です。

課題文に書かれたことに素直に対応し、空間構成、全体の動線計画がまとまっていて、かつ作図上の大きなミスが無ければ合格です。

一級建築士製図試験の合格条件を知るには標準解答例を分析するのが一番です。

標準解答例の意義

試験元は毎年標準解答例を公開しています。この標準解答例で合格条件を考えるのが良い理由は、

“標準解答例であって模範解答例ではない”ところだと思います。

模範解答例は模範となるべき回答、すなわち100点満点の図面だと考えています。

標準解答例は”一級建築士を志す者に対して、習得すべき知識及び技能の目安を示すために行うもの”とされています。意訳すると「こんな感じの図面ができていたらまあ合格できますよ」というものであり、及第点の図面が掲載されていると考えられます。

及第点の図面=落としてはいけない条件が書かれているということ

及第点の図面がどうして役に立つのか?

それはここだけは落としてはいけないというエッセンスが描かれているからです。

毎年4割程度の合格率ですが、そこになんとか入っているような図面。部分部分に粗があるが肝心なところだけは落としていない図面。

そういう図面を分析することで自分のプランのどの部分が合否を分けたか理解できるのだと思います。

一級建築士製図試験の標準解答例2つ+資格学校(サイト)の模範解答例2つを分析して合格プランの特徴を探ります。

先ほどもお伝えしましたが、

私は空間構成、全体の動線計画がまとまっていて、かつ作図上の大きなミスが無ければ合格できると考えています。

ですので、標準解答例を含む4つの図面を空間構成と全体の動線計画がわかる程度の縮尺に変えてチェックしていきます。(ウラ指導さんでいう倍コマです。)

※標準解答例は複写や転載が禁止されているので、試験元からダウンロードして、併せてご確認ください。

注目したのは全体の動線計画と空間構成に影響の大きい部屋

毎年そうですが、空間構成に多大な影響をもつ部屋(吹き抜けのある部屋)と配置指定やつながり指定を受けている部屋は重要度が高いです。ですので

  1. 外部アプローチと上下足の切り替え
  2. 温水プール室
  3. 多目的スポーツ室
  4. エントランスホールの吹抜け
  5. カフェ
  6. 機械室

上記を検証することで、だいたい合格できるプランの分析ができると考えました。

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外部アプローチと上下足の切り替え

自分でも今回の試験を解いてみましたが、一番悩んだのが建物へのアプローチでした。

どこからでもアプローチしても良いという条件でしたが、そうはいってもこれまでの経験で道路(東)からのアプローチが必ず必要だろうと思っていたのです。

最終的には内部のプランがまとまらなかったため東側道路からの出入り口をあきらめましたが、

標準解答例他を見ていると東側にエントランスを設けているプランが無かったので、結果的に正解だったという感じです。

あと今回は道路や歩行者通路までの避難経路をねじ込んできたので、外部アプローチの時点でストレスが溜まりました。

さて標準解答例2つはこのようになっていました。

標準解答例の外部アプローチと上下足場所図面

30年一級建築士製図試験標準解答例動線計画

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

標準解答例のアプローチの特徴

  • 利用者用敷地出入口は西、南、(北)でサービス用敷地出入口は北と東から
  • 主出入口は標準1は西のみ、標準2は西と北となって東側に設けていない
  • 通用口は北側
  • 利用者動線とサービス動線を分離はきちんと対応
  • 上下足の切り替え(青は利用者、オレンジはサービス)は部屋別で対応しても良いし、入り口で切り替えても良いがそこまで厳密でなくてもよさそう
  • 2つとも1階の部屋から南側に抜ける避難経路を設けている。(緑)

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外部アプローチについて

試験問題で求められていた作図表現では▼が利用者用▽がサービス用とされていたので

標準解答例1も標準解答例2も▼(利用者動線)のための敷地の出入り口は西と南からとしています。

私は北に駐車場があるから「北にも利用者用の敷地の出入口がいるだろう」

思っていました。

しかし、標準解答例2を見ると利用者用の敷地の出入り口は北側にはないのにも関わらず建物に利用者出入口が設けられています。

こうなると怪しいのが北側駐車場側の▽とともに描かれている”出入可”の文字です。これは”利用者も通っていいよ”ということなのか?

いまいちしっくりきませんが、標準解答例2は利用者用の敷地出入り口が北側にも設けられているものと考えられます。

上下足の切り替えについて

利用者の上下足の切り替えですが、標準解答例1は各部屋で対応、標準解答例2は出入り口でまとめて対応していました。

少し気になったのは標準解答例1の3Fインストラクター控室の前の廊下と標準解答例2の1Fのカフェです。どちらも利用者とサービスの人で上下足が交わっています。

このことからも上下足はそれほど気にしなくても良かったのだと思います。

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1F南側の避難経路

あと2つの解答例とも1階南側に避難するときに使うような通路が記載がありました。今後もこういうものを求められる可能性があるということでしょうか。

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資格学校(サイト)の模範解答例の動線計画

平成30年一級建築士製図試験模範解答例動線計画

 

資格学校(サイト)の2案の利用者用の敷地出入口はこんな感じでした。

B社は利用者動線に、A社はサービス動線に少し違和感を覚えました。

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空間構成

今回はエントランスと他2室で吹抜けが出てくることもあり、断面の空間構成力を求められた試験だったと思います。
一方で、部門分けが少ないため主要な居室以外の室は極端な話、どこにもってきてもよかったので主要な居室さえまとまればあとは比較的すんなりまとめられる内容でした。

内部動線は上下足の切り替えと吹抜けによる動線の確保に少し頭を使いますが、こちらも部門分けの少なさから主要な居室がまとまればあとは流れでまとめられたと思います。

標準解答例の空間構成

 

 

標準解答例の空間構成の特徴

  • プールは1階でも2階でもよい※追記 3階でも良い?
  • 多目的室は2階がセオリー
  • 機械室は1階東の機器更新がしやすい位置
  • カフェは敷地西側に配置
  • 従業員が通用口から入って服を着替えるところまできちんと計画している

※追記

この間日建学院さんが内部で統計を取られた結果をアップされていたので見てみたら

3階にプールを持ってきている方が意外に多く、合格比率も悪くない

という結果がでていたので驚きました。自然採光を求められていたからでしょうか?私だと間違いなく選択肢には入れないプランです。

また標準解答例1で掲載されているプール1F長辺横方向(私もこれを選択していました)を選択している受験者が日建学院ではわずか2%というのも驚きです。この試験の奥深さを再確認しました。

参照:https://www.ksknet.co.jp/nikken/guidance/architect1q/road/resultsSeizu.aspx

従業員の着替えについて

実際の標準解答例を見ていただきたいのですが、

従業員の着替えをどこでするのかが問題文の中では出てきていないのですが、標準解答例をみていると

問題文には求められていない更衣室を事務室の中に設けたり、

インストラクター控室の必要スペースである更衣スペースを抜き取ってインストラクターと事務員が兼用で利用する室を勝手に設けています。

私はこれまで文中に求められていない室は、リスクがあるので描かないほうがよいと思っていましたが、

今後は必要だと思われる室を自分で創っていかないといけないのかもしれません。

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資格学校(サイト)の模範解答例の空間構成

 

こんな感じでした。やはりプールはどちらの階でもよいという判断と多目的スペースは2階がセオリーといったところです。

従業員の着替えも片方は事務室内に、もう片方はおそらくインストラクター控え室を使って着替えるような計画をしており、そこに至る内部動線もきちんと考えられていました。

気になったのはA社は機械室が南西に来ています。機器更新はそちらでも大丈夫ですよということでしょうか。

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まとめ

平成30年の一級建築士製図試験は用紙のサプライズや凡例の記述の強制のほか、自由度の高いアプローチなどの要求項目があり、選択肢が多くてプランを悩む要因になる一方、主要居室と動線を納めれば、あとは諸室適当にあてがっていくだけでよいので簡単に進めます。

今年の製図対策に生かしたい事としては、

自由度の高いプラン要求がでてきた場合は、優先順位をまず決めて大事だと思われる居室を最優先する姿勢で臨むということと、

問題文で問われていなくても自分で考えて創っていく姿勢が必要だと思います。

あと今回でてきた凡例記載は覚えておく必要がありますので、今年の試験を受ける人は確実に描けるようにしたいところです。

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私はこれまで一級建築士製図試験に関する色々な情報をお伝えしてきましたので、そちらもご覧ください。

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