念のため一級建築士製図試験はどうやったら合格できるか?
それは試験元が出す
標準解答例を参考にするのが一番の近道です。
他にも検証していますので合わせてご覧ください。
令和1年(2019年)の標準回答例も検証しました。
令和1年検証記事はコチラ
平成29年(2017年)の標準回答例も検証しました。
平成29年検証記事はコチラ
この記事では
標準解答例とインターネットで
公開していた資格学校(サイト)2社の
全体プランと空間構成を分析し、
合格できるプランの条件を
整理したいと思います。
この記事を特にご覧いただきたい方
- 昨年受けて不合格で、まだ自分のプランの敗因をチェックしていない方
- 本年製図試験に合格するための参考とされたい方
平成30年(2018年)一級建築士製図試験標準回答例と資格学校模範解答例を見て感じた事
平成30年の試験は
- 問題用紙のサイズや情報量の多さ
- アプローチの自由度の高さ
- 延焼範囲、防火設備の指示
など昨年と大きく異なりました。
後日試験課題を見た私はびっくりしました。
しかし、この試験でやることは毎年一緒です。
課題文に書かれたことに素直に対応し、
空間構成、全体の動線計画がまとまっていて、
かつ大きなミスが無ければ合格です。
一級建築士製図試験の合格条件を知るには標準解答例を分析するのが一番です。
標準解答例の意義
試験元は毎年標準解答例を公開しています。
この標準解答例で合格条件を
考えるのが良い理由は、
“標準解答例であって模範解答例ではない”
ところだと思います。
模範解答例は模範となるべき回答、
すなわち100点満点の図面ですが、
標準解答例は
“一級建築士を志す者に対して、
習得すべき知識及び技能の目安を示すために行うもの”
とされています。
意訳すると
「こんな感じの図面ができていたら
まあ合格できますよ」というものであり、
及第点の図面が掲載されていると考えられます。
及第点の図面=落としてはいけない条件が書かれているということ
及第点の図面がどうして役に立つのか?
それは
ここだけは落としてはいけないというエッセンス
が描かれているからです。
毎年4割程度の合格率ですが、
そこになんとか入っているような図面。
部分部分に粗があるが
肝心なところだけは落としていない図面。
そういう図面を分析することで
自分のプランのどの部分が
合否を分けたか理解できるようになってきます。
一級建築士製図試験の標準解答例2つ+資格学校(サイト)の模範解答例2つを分析して合格プランの特徴を探ります。
先ほどもお伝えしましたが、
空間構成、全体の動線計画がまとまっていて、
かつ大きなミスが無ければ合格
できる試験ですので
標準解答例を含む4つの図面を
空間構成と全体の動線計画がわかる程度の
縮尺に変えてチェックしていきます。
ウラ指導さんでいう倍コマです。
過去問をお持ちでない方、手に入れたい方は
コチラの記事をご覧ください。
注目したのは全体の動線計画と空間構成に影響の大きい部屋
毎年そうですが、
空間構成に多大な影響をもつ部屋
(吹き抜けのある部屋)
と
配置指定やつながり指定を受けている部屋
は重要度が高いです。
ですので
- 外部アプローチと上下足の切り替え
- 温水プール室
- 多目的スポーツ室
- エントランスホールの吹抜け
- カフェ
- 機械室
上記を検証することで、
だいたい合格できるプランの分析ができると考えました。
外部アプローチと上下足の切り替え
自分でも今回の試験を解いてみましたが、
一番悩んだのが
建物へのアプローチ
でした。
https://halu-ie.com/way-of-thinking-standards-for-judgment/
どこからでもアプローチしても良い
という条件でしたが、
そうはいってもこれまでの経験で
道路(東)からのアプローチが必ず必要だろう
と思っていたのです。
最終的には
内部のプランがまとまらなかったため
東側道路からの出入り口をあきらめましたが、
標準解答例他を見ていると
東側にエントランスを設けている
プランが無かったので、
結果的に正解だったという感じです。
今回は
道路や歩行者通路までの
避難経路も考慮に入れる必要があり
外部アプローチの時点で
ストレスが溜まりました。
さて標準解答例2つはこのようになっていました。
標準解答例の外部アプローチと上下足場所図面
標準解答例のアプローチの特徴
標準解答例のアプローチの特徴はこのような感じでした。
- 利用者用敷地出入口は西、南、(北)でサービス用敷地出入口は北と東から
- 主出入口は標準1は西のみ、標準2は西と北となって東側に設けていない
- 通用口は北側
- 利用者動線とサービス動線を分離はきちんと対応
- 上下足の切り替え(青は利用者、オレンジはサービス)は部屋別で対応しても良いし、入り口で切り替えても良いがそこまで厳密でなくてもよさそう
- 2つとも1階の部屋から南側に抜ける避難経路を設けている。(緑)
外部アプローチについて
試験問題で求められていた作図表現では
▼が利用者用▽がサービス用
とされていたので
標準解答例1も標準解答例2も
▼(利用者動線)のための
敷地の出入り口は西と南からとしています。
私は北に駐車場があるから
「北にも利用者用の敷地の出入口がいるだろう」と
思っていました。
しかし、
標準解答例2を見ると
利用者用の敷地の出入り口は
北側にはないのにも関わらず
建物に利用者出入口が設けられています。
こうなると怪しいのが
北側駐車場側の▽とともに描かれている
“出入可”の文字です。
これは”利用者も通っていいよ”
ということなのか?
いまいちしっくりきませんが、
標準解答例2は利用者用の敷地
出入り口が北側にも設けられて
いるものと考えられます。
上下足の切り替えについて
利用者の上下足の切り替えですが、
標準解答例1は各部屋で対応、
標準解答例2は出入り口で
まとめて対応していました。
標準解答例1の
3Fインストラクター控室の前の廊下と
標準解答例2の
1Fのカフェです。
どちらも利用者とサービスの人で
上下足が交わっています。
このことから
上下足はそれほど気にしなくても良かった
のだと思います。
1F南側の避難経路
2つの解答例とも
1階南側に避難するときに使うような
通路が記載がありました。
今後もこういうものを
求められる可能性がある
ということでしょうか。
資格学校(サイト)の模範解答例の動線計画
資格学校(サイト)の2案の
利用者用の敷地出入口はこんな感じでした。
B社は利用者動線に、
A社はサービス動線に少し違和感を覚えました。
空間構成
今回はエントランスと他2室で
吹抜けが出てくることもあり、
断面の空間構成力を求められた
試験だったと思います。
一方で、
部門分けが少ないため
主要な居室以外の室は極端な話、
どこにもってきてもよかったので
主要な居室さえまとまれば
あとは比較的すんなりまとめられる内容でした。
内部動線は
上下足の切り替えと吹抜けによる動線の確保
に少し頭を使いますが、
こちらも部門分けの少なさから
主要な居室がまとまれば
あとは流れでまとめられたと思います。
標準解答例の空間構成
標準解答例の空間構成の特徴
- プールは1階でも2階でもよい※追記 3階でも良い?
- 多目的室は2階がセオリー
- 機械室は1階東の機器更新がしやすい位置
- カフェは敷地西側に配置
- 従業員が通用口から入って服を着替えるところまできちんと計画している
日建学院さんの検証記事の中で
3階にプールを持ってきている方が合格している
という結果がでていたので驚きました。
ごく少数派プランだと思います。
皆さんは多数派プランを選択できるよう判断していってください。
従業員の着替えについて
実際の標準解答例を見ていただきたいのですが、
従業員の着替えをどこでするのか
が問題文の中では出てきていないのですが、
標準解答例をみていると
問題文には求められていない
更衣室を事務室の中
に設けたり、
インストラクター控室の
必要スペースである
更衣スペースを抜き取って
インストラクターと事務員が兼用で利用する室
を勝手に設けています。
私は
文中に求められていない室は、
リスクがあるので描かないほうがよい
と思っていますが、万が一プランがまとまらなければ
こういう飛び道具も考えておく必要がありそうです。
資格学校(サイト)の模範解答例の空間構成
こんな感じでした。
やはりプールはどちらの階でもよい
という判断と多目的スペースは
2階がセオリーといったところです。
従業員の着替えも片方は事務室内に、
もう片方はおそらくインストラクター控え室を使って
着替えるような計画をしており、
そこに至る内部動線も
きちんと考えられていました。
気になったのはA社は
機械室が南西に来ています。
機器更新はそちらでも大丈夫ですよ
ということでしょうか。
コメント
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