一級建築士学科試験の施工分野で
出題の地盤補強・地盤改良工事の設問(毎年7問目あたり)を
9年分まとめてカテゴリーに分類しています。
一級建築士学科試験/施工分野/地盤補強・地盤改良工事過去問題まとめ
7問目の地盤補強と地盤改良の出題の割合は、
ほぼ9割方地盤補強工事が出題されています。
ですのでまずは地盤補強工事の各工法を
おさえていきましょう。
地盤補強工事と地盤改良工事について
地盤補強工事と地盤改良工事は
同じような効果がありますが、
アプローチが微妙に異なります。
- 地盤補強工事は鋼管やコンクリートの柱を支持地盤まで下して建物の荷重を直接支持地盤に伝える工事
- 地盤改良工事は地盤そのものを改良する工事で、セメント系固化材と現場の土を混ぜて表層、又は柱状にしたり、砂利や砂などを柱状に固化させて、地盤の状態を良くしたり、強度を上げる工事
試験勉強をしていた頃は、
色々な工法の名称や
使用する道具の名称が存在しているため、
混同しながらなんとなく覚えて、
微妙なところをつつかれる問題が
出ないよう祈りながら
試験に臨むという辛い経験をしました。
ですので皆様には
少しでも効率よく学習していただきたいと思います。
そこで、私が施工分野を学習するうえで欠かせなかった
『ゼロからはじめる~』シリーズの
施工編に出てくる内容と試験の出題範囲を照らし合わせて、
ざっくりと全体像を把握するための一覧を作ってみました。
細かい内容は上記の本がわかりやすいので、そちらと合わせての学習をおすすめします。
杭工事全般
1.予定の掘削深度になっても支持地盤が確認できない場合は、土質調査資料との照合を行いながら掘削を続けて支持地盤を確認し、杭を施工した後に監理者に報告する。h23/7
杭を施工する前に、まずは監理者と協議します。
誤答肢
2. 杭工事で発生した建設汚泥の処理については、建設汚泥の性状、発生量等を考慮し、発注者自治体等と調整したうえで、セメント系の改良材等の混合 により安定処理した改良土とし、埋戻し材として再利用した。h25/7
正答肢です。
現場(場所)打ちコンクリート工法
現場打ちコンクリート全般
1. 場所打ちコンクリート杭の鉄筋かごの組立てに補強リングについては、主筋に断面欠損を生じさせないように注意し堅固に溶接した。h22/7
2. 場所打ちコンクリート杭の鉄筋かごの掘削孔への吊込みにおいて、組み立てた鉄筋かご相互の接続については、一般に、重ね継手とする。h23/7
3. 場所打ちコンクリート杭において、鉄筋かごの帯筋の継手は重ね継手とし、その帯筋を主筋に点溶接した。h24/7
問1、問2は正答肢、
問3は誤答肢です。
- 主筋と補強リングは溶接
- 帯筋の継手は溶接
- 帯筋と主筋は鉄線で結束
- 鉄筋かご相互の接続は重ね継手
4.場所打ちコンクリート杭工事において、鉄筋かごの主筋間隔が 10cm以下になると、
コンクリートの充塡性が悪くなるので、主筋を2本重ねて配置し、適切な主筋間隔を確保した。h29/7+h25/7
正答肢です。
5.場所打ちコンクリート杭工事において、特記がなかったので、本杭の施工における各種管理基準値を定めるための試験杭を、最初に施工する1本目の本杭と兼ねることとした。h30/7
正答肢です。
6. 場所打ちコンクリート杭工事において、安定液に打ち込む杭に使用するコンクリートの単位セメント量については、310kg/m3とした。h26/7
水中では330kg/m3(空気中では270kg/m3)
の単位セメント量が必要です。誤答肢
7.寒冷地における場所打ちコンクリート杭において、地中温度が低くなることを考慮
して、コンクリートの養生温度による調合強度の補正を行った。h28/7
正答肢です。
8. 場所打ちコンクリート杭において、コンクリート上面の打上がり高さを、コンクリートの運搬車の打終わりごとに、また、ケーシング及びトレミー管の引抜き時に測定した。h24/7
正答肢です。
9. 場所打ちコンクリート杭工事において、コンクリートの打込みに際し、杭頭部に余盛りを行い、コンクリートが硬化した後、余盛り部分を斫り取った。h25/7
正答肢です。
杭上部にはレイタンスや
泥水・スライムなどの悪影響を受けるので、
あらかじめ斫ることをみこして
コンクリートを少し高めに打っておきます。
10. 場所打ちコンクリート杭工事において、特記がなかったので、最初に施工する本杭を試験杭とし、その杭の位置は、地盤や土質試験の結果から全杭を代表すると判断される位置とした。h26/7
正答肢です。
オールケーシング工法
1. オールケーシング工法において、コンクリート打ち込み量による杭径の把握については、打込み時にコンクリートミキサー車1台ごとにコンクリートの上昇高さを計測しておき、打ち込み量から杭径を計算することによって行った。h22/7
正答肢です。
2.オールケーシング工法による場所打ちコンクリート杭工時において、トレミー管及びケーシングチューブの先端は、コンクリート中に2m以上入っていることを確認した。h27/7
正答肢です。
アースドリル工法
1. アースドリル工法において、表層ケーシング以深の孔壁の保護に用いられる安定液については、「孔壁の崩壊防止」と「コンクリートとの置換」を考慮して コンクリートと比べて高粘性かつ高比重のものとした。h22/7
コンクリートの置換を考慮して、
低粘性で低比重のものが良いです。誤答肢
2.アースドリル工法において、近接する杭については、連続して施工しない。h23/7
正答肢です。
3.アースドリル工法による場所打ちコンクリート杭工事において、孔壁の崩落防止に
安定液を使用したので、杭に使用するコンクリートの単位セメント量を 340kg/m3
とした。h29/7
正答肢です。
先ほども出題されました、
水中では330kg/m3(空気中では270kg/m3)
の単位セメント量が必要したね。
4.アースドリル工法による場所打ちコンクリート杭工事において、支持層の確認については、ケリーバーの振れや掘削機の回転抵抗等を参考にしつつ、バケット内の土砂を近傍のボーリング調査における土質柱状図及び土質資料と比較して行った。h30/7
正答肢です。
5.アースドリル工法による場所打ちコンクリート杭工事において、コンクリート打込み直前に行う二次スライム処理については、底ざらいバケットにより行った。h26/21
底ざらいバケットは一次処理で使用します。
二次スライム処理は水中ポンプや
エアーリフト方式などで除去します。誤答肢
6.アースドリル工法による場所打ちコンクリート杭工事において、鉄筋かごの建込みの際の孔壁の欠損によるスライムや建込み期間中に生じたスライムの処理を行う二次スライム処理については、コンクリートの打込み直前に、水中ポンプ方式により行った。h30/21
正答肢です。
既製杭工法
既製杭工法全般
1.既製コンクリート杭の継手部の溶接において、仮付け溶接は、本溶接と同等なもの
とし、その長さを 40mm以上とした。h28/7
仮付け溶接といっても
本溶接と同等の完全な溶接をします。
正答肢
2.プレストレストコンクリート杭工事の杭頭処理において、ダイヤモンドカッター方
式で杭頭を切断するに当たり、補強する範囲を当該切断面から 350mm程度とした。h28/7
正答肢です。
打込み工法
1. 既製コンクリート杭の打込みにおいて、一群の杭の打込みは群の外側から中心へ向かって打ち進められていることを確認した。h27/7
最後に中心を残すと、
外側の杭の圧力で中心が締め固まるため、
杭が入りづらくなります。
そのため中心から外に向かって
打込んでいきます。誤答肢
2.打込み工法による既製コンクリート杭工事において、打込み完了後の杭頭の水平方
向の施工精度の目安については、杭径の1/4以下、かつ、100mm以下とした。h29/7+h26/7
正答肢です。
プレボーリング工法
1. 既製杭のプレボーリング拡大根固め工法において、掘削した孔に杭を挿入し、自重や回転により所定深度に定着させ、根固め液と杭周固定液の硬化によって杭と地盤とを一体化させた。h22/7
正答肢です。
2. セメントミルク工法において、掘削終了後のアースオーガーの引上げは、吸引現象により負圧が発生しないように、できるだけゆっくり行った。h24/7
3.セメントミルク工法において、掘削時にはアースオーガーの心を杭心に鉛直に合わ
せ正回転させ、引上げ時にはアースオーガーを逆回転させた。h28/7
アースオーガーを速く回したり、
逆回転させると掘った土が
孔の下に落ちてしまうので、
正回転のままゆっくり引上げます。
よって問2は正答肢、問3は誤答肢
4. セメントミルク工法に用いるセメントについては、地下水に硫酸塩を含む場所であったので、高炉セメントを使用した。h24/7
正答肢です。
5.セメントミルク工法による既製コンクリート杭工事において、特記がなかったので、
アースオーガーの支持地盤への掘削深さについては 1.5m程度とし、杭の支持地盤への根入れ深さについては 0.5m程度とした。h29/7
杭の支持地盤への根入れ深さは
1m程度は必要です。誤答肢
6.セメントミルク工法においては、一般に、試験杭により、掘削時のオーガー抵抗電流値や支持層と想定される深度の土質等を確認し、本杭の設置深度、 その設置管理方法等を決定する。h23/7
7.セメントミルク工法による既製コンクリート杭工事において、アースオーガーの支持地盤への到達については、アースオーガーの駆動用電動機の電流値の変化及びオーガーの先端に付着した排出土と土質標本との照合により確認した。h27/7
8.セメントミルク工法による既製コンクリート杭工事において、支持層の出現深度の確認については、掘削機の電流計の値から換算した N 値によることとした。h30/7
“アースオーガーの駆動用電動機の電流値の変化”
に加えて
“オーガーの先端に付着した排出土と土質標本との照合“
による確認が必要です。
また電流計の値から換算したN値では、
現場の状況が違う事があります。
よって問6.問7は正答肢、問8は誤答肢
9.セメントミルク工法による既製コンクリート杭工事において、根固め液及び杭周固定液の管理試験に用いる供試体を作製するに当たり、根固め液についてはグラウトプラントで混練した液を、杭周固定液については杭挿入後の掘削孔からオーバーフローした液を、それぞれ採取した。h30/7
正答肢です。
中堀り工法
1. 既製コンクリート杭の中掘り工法において、杭先端に円筒状のフリクションカッタを装着して、杭外周面と地盤との摩擦力を大きくした。h25/7
摩擦力を小さくして
杭を沈めやすくします。誤答肢
地盤改良
締め固め工法
2. 液状化のおそれのある地盤の改良方法として、土中に締め固められた砂杭を形成するサンドコンパクションパイル工法を採用した。h26/7
正答肢です。
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一級建築士学科試験の施工分野9年分の過去問題をまとめました。他の設問へもこちらからリンクできます。
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一級建築士試験の施工分野の出題傾向と、私が過去問題での学習を勧める根拠をまとめています。こちらもご覧ください。
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設問7/地盤補強・地盤改良工事
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