一級建築士学科/施工分野/過去問集

一級建築士学科試験/施工分野/土工事・山留工事

一級建築士学科試験の施工分野で出題の山留工事の設問(毎年6問目あたり)を9年分まとめてカテゴリーに分類しています。

一級建築士学科試験/施工分野/土工事・山留工事過去問題まとめ

山留めの方法、地下水位を下げる方法などを問われる中で、色々な用語が出てきますが、出題自体は基本的な問題が多いです。各工法、名称がごっちゃにならないように整理しておきましょう。

山留め工法の分類

よく出題される山留め工法は大きく分けて4パターンあります。

  1. 山留壁無しで山留め・・・オープン工法
  2. 山留壁のみで山留め・・・親杭横矢板工法・ソイルセメント工法・鋼矢板工法
  3. 山留め+支保工で山留め・・・地盤アンカー工法・切ばりプレロード工法
  4. 山留壁+支保工(建物構造体利用)で山留め・・・場所打ち鉄筋コンクリート地中壁工法、逆打ち工法、トレンチカット工法等

それでは順番に押さえていきます。

山留壁無しで山留め

ここに分類されるのは“オープンカット工法”です。広い敷地がある場合は山留壁を設けず、法面で対応できます。費用も安いです。

1. 砂質地盤の法付きオープンカット工法において、安全確保のため、地下水位を根切り底面以下に下げるとともに、法面勾配の角度は地盤の内部摩擦角より大きくした。h27/6

法面勾配の角度は内部摩擦角以内とします。ちなみに地下水位を根切り底面以下に下げるというところは正しいです。誤答肢

2. 根切り平面に対して敷地に余裕があったので、掘削部周辺に安定した斜面を残し、山留め壁や支保工を設けない法付けオープンカット工法を採用した。h23/6

正答肢です。

山留壁のみで山留め

掘削深さ、地質など与条件がそれほど悪くない場合、一般的に用いられます。

山留壁の中でも透水性のもの、遮水性のもので分かれます。

  1. 透水性のもの・・・親杭横矢板工法
  2. 遮水性のもの・・・鋼矢板工法・ソイルセメント工法

1.親杭横矢板壁の施工において、矢板を設置し、その裏側に裏込め材を十分に充填した後、親杭と矢板との間にくさびを打ち込んで裏込め材を締め付けて安定を図った。h27/6

正答肢です。

2.親杭横矢板工法の親杭をプレボーリングにより設置したので、受働抵抗を十分に発
揮させて水平方向の変形を抑制するために、杭の根入れ部分はセメントベントナイ
ト液の注入を行い、根入れ部分より上の杭まわりの空隙は存置した。h28/6

杭まわりの空隙にも充填します。誤答肢

3.粘性土地盤に設置した山留め壁の撤去に当たり、地盤沈下を引き起こすおそれがあったので、鋼矢板を引き抜いた跡に直ちに砂を充塡した。h30/6

正答肢です。山留め壁撤去後の孔に粘性土を入れてはいけません。

4.ソイルセメント壁の施工において、掘削対象土がロームであったため、撹拌不良に注意し、入念に原位置土とセメント系懸濁液との混合撹拌を行った。h27/6

正答肢です。

5.ソイルセメント壁の芯材としての形鋼に新品を用いたので、芯材の許容応力度は、
短期許容応力度の値を採用した。h28/6

正答肢です。

山留+支保工で山留め

“切ばりプレロード工法”“地盤アンカー工法”が該当します。

切ばりプレロード工法の特徴

  • 市街地など土地に余裕がない場所でも採用可能。
  • 掘削部に工作物が出てくるため工事がしにくい。

地盤アンカー工法の特徴

  • 敷地の高低差が大きくて偏土圧が作用している。
  • 掘削面積が大きい。
  • 掘削する部分よりさらに外側に土地の余裕がある。
  • 掘削部に工作物が出てこないので工事がしやすい。

切ばりプレロード工法

1. 切りばりプレロード工法は、切ばり架設時に切ばりに設置した油圧ジャッキによって、切ばりに作用する荷重を山留め壁にあらかじめ導入することにより、 山留め壁の変形や応力を小さく抑える効果がある。h22/6

正答肢です。

2.切ばりにプレロードを導入するに当たって、切げりの蛇行を防ぐために、上段切ばりと下段切ばりとの交差部の締付けボルトを堅固に締め付けた。h23/6

※堅固に締め付けるのではく、切ばりの浮き上がりやずれ止めを取り付けます誤答肢

3. 切ばり支柱が平面的に切ばりの位置と一部重なってしまったので、柱の一部を切り欠いて補強を行ったうえで、切ばりをまっすぐに設置した。h26/6+h29/6

正答肢です。

4.切ばり支柱と乗入れ構台支柱をやむを得ず兼用するに当たり、切ばり支柱としての
荷重とともに、乗入れ構台上の重機や構台自重等の合計荷重に対する支持力を確認
した。h28/6

正答肢です。

5.水平切ばり工法における切ばりの継手は、応力を十分に伝達できる構造とし、できる限り切ばりの交差部の近くに設ける。h24/6

正答肢です。切ばりの継ぎ手は切ばり交差部の近くに、腹起しの継ぎ手も曲げ応力の小さい位置に設けます。

6.山留め工事における腹起しの継手は、火打材と切ばりとの間の曲げ応力の小さい位
置とし、補強プレートとボルトとを使用して連結した。h29/6

正答肢です。

7. 山留め支保工において、火打材を用いない切ばりに作用する軸力の計測管理に当たっては、盤圧計を腹起しと切ばりの接合部に設置する。h25/1

正答肢です。

地盤アンカー工法

1.地盤アンカー工法は、土圧や水圧を山留め壁背面の地盤中に設けた地盤アンカーで支える工法であり、敷地の高低差が大きくて偏土圧が作用する場合や掘削面積が大きい場合等に有効である。h24/6

正答肢です。

2. 仮設地盤アンカーの引張材については、一般に、緊張・定着装置を取り付けるために、1.5m程度の余長を確保して切断する。h22/6+h25/6

正答肢です。

3.山留め支保工の地盤アンカー工法において、地盤アンカーの引抜き耐力が、全数について設計アンカー力の1.1倍以上であることを確認した。h30/6

正答肢です。

4.山留め壁・支保工の検討を行うに当たり、山留め壁外周上への掘削土の仮置きや大型の重機械を据え付ける作業がない範囲については、作業荷重及び資材仮置き時の積載荷重として考慮する上載荷重を 10kN /m2とした。h30/6

正答肢です。

山留+支保工(建物構造体)で山留め

1. 山留め工事において、水位の高い軟弱地盤であったので、場所打ち鉄筋コンクリート地中壁を採用し、構造上の検討を行ったうえで、この地中壁を建築物の一部として利用することとした。h25/6

正答肢です。場所打ち鉄筋コンクリート地中壁は施工費用も高いので、せっかく作るなら構造物としても利用可能にしたいです。

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地下水の問題について

土地を深く掘削していると地下水の問題が発生し、最悪の場合山留した掘削部が崩壊してしまうこともあります。そのため、地下水位を下げるためにポンプでくみ上げる等の方法を取らなければなりません。

まずは試験で頻出の山留工事の際に生じる問題を3点挙げます。

山留工事の際に生じる問題
  • ボイリング・・・掘削部周辺が砂質土でおこる
  • ヒービング・・・掘削部周辺が粘性土でおこる
  • 盤ぶくれ・・・掘削部より下層が上から被圧滞水層、難透水層の順番で構成されている

わかりやすい解説を載せているサイトがありましたので引用します。

参照:http://dk-net.co.jp/tech/yamamoto-petit/14-14
これらの問題に対する改善方法

3種の問題の解決策はだいたい同じようなものです。
ヒービング

  • 山留壁の根入れを深くする
  • 周辺地盤の土のすきとりを行う
  • 地盤改良を行う

ボイリング

  • 山留壁の根入れを深くする
  • 周辺の地下水位を低くする

盤ぶくれ

  • 山留壁の根入れを深くする
  • 周辺の地下水位を低くする
  • 地盤改良を行う

1.砂質地盤の掘削工事において、ボイリングの発生する可能性が高いと判断したので、
動水勾配を減らすため、止水性のある山留め壁の根入れ長を延長した。h29/6

2. 軟弱地盤の掘削において、掘削位置の外周に余裕があったので、山留め壁の周囲地盤のすき取りを行い、ヒービングを防止した。h23/6

3.軟弱な粘性土地盤の掘削工事において、ヒービングの危険性が高いと判断されたの
で、その対策として、剛性の高い山留め壁を良質な地盤まで設置し、背面地盤の回
り込みを抑えることとした。h28/6

※全て正答肢です。

4.掘削工事において、盤ぶくれの発生が予測されたので、止水性のあるソイルセメント壁を、盤ぶくれの原因となる被圧滞水層の砂礫層に延長して根入れした。h30/6

※盤ぶくれを防止するためには、被圧滞水層、のさらに下の粘性土質(又は細粒分の多い砂質土)の難透水層まで根入れする必要があります。誤答肢

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地下水の排水工法

試験で出題されるものは大きく分けて3種類です。

  1. ディープウェル工法・・・井戸管+ポンプで地下水をくみ上げて地下水位を下げる/深いところもくみ上げられる
  2. ウェルポイント工法・・・集水管+ポンプで地下水をくみ上げて地下水位を下げる/浅いところをくみ上げる
  3. 釜場工法・・・大きなバケツのようなもの+ポンプで掘削部から出てきた地下水をくみ上げる/地下水位を下げる目的には使用しない

それぞれの工法でわかりやすい画像と解説を載せているサイトがありましたので引用します。

参照:http://www.sato-suiko.co.jp/gijyutu/sekkei/haisuikouhou.htm

 

1.ディープウェル工法を採用するに当たり、周辺の井戸枯れや粘性土地盤の圧密沈下等、地下水位の低下に伴う周辺への影響を検討した。h27/6

※ディープウェル工法他、地下水をくみ上げる工法を採用する場合は、周囲の井戸枯れなどの影響を検討しなければなりません。正答肢

2. ディープウェル工法におけるディープウェルとは、地下水を真空ポンプにより強制的に吸い上げるために地中に打ち込む集水管のことである。h22/6

※記述はウェルポイントです。ディープウェルとは直径400~1000mm程度の孔を掘った中にフィルター付きの井戸管+ポンプを設置するものです。誤答肢

3. 排水工法を用いる掘削において、地下水位が計画のとおりに低下していることを、ディープウェルのケーシング内の水位により管理した。h26/6

※地下水位の測定は、観測井戸により管理しなければいけません。誤答肢

4.リチャージ工法におけるリチャージウェルについては、対象とする帯水層だけに注水ができるような構造とするために、井戸管と削孔壁との間の空隙部の遮水を確実に行う。h22/6

5.ディープウェルから揚水(排水)した水を同一帯水層に復水するリチャージエ法においては、ディープウェル排水工法を採用する場合に比べて、必要揚水 (排水)量は多くなる。h24/6

※共に正答肢です。

リチャージ工法の特徴
  • ディープウェルを行うことにより、周辺地下水位の低下が問題となるときに使用
  • ディープウェルの揚水量が多く、公共排水への放水量を確保できないときに使用
  • 井戸管と削孔壁との間の遮水が確実に行えていない場合、せっかく吸い上げた部分に水が返ってくることがあり、その分揚水量が増える可能性があります。

6.土工事において、ボイリングの発生が予測されたため、掘削場内外の地下水位をウェルポイント工法によって低下させた。h25/6

正答肢です。

7.釜場工法は、床付け面から発生する湧水を集め、ポンプで排水する工法であり、湧水に対して安定性の低い地盤において、ボイリングを防止する効果がある。h24/6

釜場工法はボイリングを助長させるため不適です。対処方法は、山留壁の根入れ長さを深くする、地下水位を低下させる、地盤改良により透水性を少なくするなどを行います。誤答肢

8. 砂質土地盤の床付け面を乱してしまったので、転圧による締固めを行った。h23/6

9.粘性土地盤の床付け面を乱してしまったので、礫・砂質土に置換して締め固めた。h26/6

10.土工事における根切りについて、粘性土地盤の床付け面を乱してしまったので、掘
削土を使用して直ちにローラーによる転圧や締固めを行った。h29/6

※問8,9は正答肢、問10は誤答肢です。粘性土を使用してはいけません

11. 粘性土の地盤における鋼矢板による山留めの撤去において、鋼矢板の抜き跡
については、周辺への影響を考慮して、その地盤の粘性土により埋め戻した。h25/6

※埋め戻しは砂やセメントベントナイト、モルタルなどを充填します。誤答肢

12. 構台杭を引き抜くことが困難であったので、地下水の止水対策を十分に施し、その杭を圧版内で切断し、以深を土中に残した。h26/6

正答肢です。

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