この記事では
一級建築士学科試験で出題されている
鉄筋工事の設問(毎年8問目あたり)を9年分
まとめてカテゴリーに分類しています。
一級建築士学科試験/施工分野/鉄筋工事問題過去問題まとめ
鉄筋工事の出題頻度は
鉄筋の継手(機械式/ガス式)に関する設問が多いです。
また全体的に出題されている数字が違っているものの、
設問趣旨は重複しているものが多いので、
数字を覚えておくと点数がとりやすいと思います。
鉄筋種別の見分け方
1. JIS規格品のD19の異形鉄筋について圧延マークを確認したところ、突起の数が1個であったので、SD295Aと判断した。h22/8
2.日本工業規格(JIS)のD25の異形鉄筋の受入れ検査において、搬入時に圧延マーク
を確認したところ、突起の数が2個であったので、SD345と判断した。h28/8
3. JIS規格品の異形鉄筋の種類の確認については、SD345の場合、圧延マークによる表示が「突起の数2個(・・)」であることを目視により行った。h25/3
鉄筋種別の見分け方は下図のようになります。全て誤答肢
継手、定着
機械式継手
1.径が異なる異形鉄筋の重ね継手の長さについては、太いほうの鉄筋の径を基準とした。h24/8
2.D13とD16との鉄筋の重ね継手の長さについては、D13の呼び名の数値である13に所定の数値を乗じて算出する。h25/8
3.鉄筋の重ね継手において、鉄筋径が異なる星形鉄筋の継手の長さは、細いほうの鉄筋の径を基準とした。h27/8
細い径の鉄筋と太い径の鉄筋に
継手をもうける場合は、
いくら大きい径を基準に
継手長さを設けても、
結果的には耐力の少ない細い径の方が
先に降伏してしまいます。
よって細い径の鉄筋を基準に継手長さを決めます。
よって問1は誤答肢、問2,問3は正答肢
4. SD345のD29の鉄筋に180度フックを設けるための折曲げ加工を行う場合、その余長は4d以上とする。h25/8
折り曲げ加工について
鉄筋の種類、径は関係ありません。
180度フックなら4d、
135度フックなら6d、
90度フックで8d以上とします。正答肢
5.普通コンクリート(設計基準強度27N / mm2)の耐力壁の脚部におけるSD295Aの鉄筋の重ね継手については、特記がなかったので、フックなしとし、その重ね継手の長さを 40dとした。h30/8
正答肢です。
SD295×コンクリート基準強度
24~27の場合の重ね継手は
フックなしで35d以上、
フックありで25d以上となっています。
6. D10のスパイラル筋の重ね継手については、長さを500mm とし、その末端については、折曲げ角度を90度、余長を60mm とした。h23/8
重ね継手の長さは50d以上かつ300mm以上、
末端の折曲げ角度90度の場合は、
余長を12dとします。
余長が少ないです。
ちなみに折曲げ角度が135度の場合は6dで
済むので60mmでも大丈夫でした。誤答肢
7.大梁の主筋の定着に当たり、所定のフックあり定着の長さを確保することができなかったので、大梁の主筋を柱仕口内に 90度縦に折り曲げて定着することとし、柱仕口面から大梁の主筋の鉄筋外面までの投影定着長さを柱せいの1/2とした。h29/8
誤答肢です。
投影定着長さは3/4以上は必要です。
8. 機械式継手を用いる大梁主筋の配筋において、隣り合う鉄筋の継手位置をずらして配置するに当たり、カップラーの中心間で400mm以上、かつ、カップラー端部の間のあきが40mm以上となるように組み立てた。h26/8+h30/8
正答肢です。
ガス圧接継手
ガス圧接継手外観検査
1.鉄筋のガス圧接継手の外観検査において、圧接部の膨らみの直径が鉄筋径の1.4倍以上であったが、膨らみの長さが鉄筋径の1.1倍未満であったので、再加熱し、圧力を加えて所定の膨らみの長さに修正した。h24/8
2.大梁の主筋のガス圧接継手の外観検査において、圧接部の膨らみの直径が母材の鉄
筋径の 1.4倍であったが、膨らみの長さが母材の鉄筋径の 1.1倍未満であったので、
再加熱し、圧力を加えて所定の膨らみの長さに修正した。h29/8
3. ガス圧接継手において、圧接面のずれが鉄筋径の一を超えた場合、その圧接部については、再加熱して修正する。h25/8
4.D22の主筋のガス圧接継手の外観検査において、鉄筋中心軸の偏心量の合格基準値を5mmとした。h30/8
問3,4は誤答肢、問1,2は正答肢です。
下記に図示しましたので確認してください。
“1.1d以上”などの数字も大切ですが、
最低限、継手部分に所定の数値を満たさず異常がある場合
「ふくらみや折れ曲がりは再加熱」で済む、
「ズレは切り取り」が必要ということを覚えておいてください。
また問4の中心軸の偏心量は
D22×1/5=4.4mmまでとなり5mmは不合格です。
ガス圧接継手施工他
1. SD345のD19の鉄筋とSD345のD22の鉄筋との継手については、手動ガス圧接とした。h23/8
2.鉄筋相互の接合に当たって、「SD345のD25」と「SD390のD29」との継手をガス圧接継手とした。h28/8
3.ガス圧接継手において、SD345のD22とD29との圧接は、自動ガス圧接とした。h27/8
問1、問2は正答肢、問3は誤答肢です。
下記の解説をご覧ください。
鉄筋継手にガス圧接を利用する場合の諸注意
- 鉄筋種別により圧接可能な組み合わせが限られる(丸鋼(異形)は丸鋼(異形)のみ、近い強度の鉄筋同士なら可など)
- 鉄筋径が7mmを超える場合、圧接継手は使えない
- 自動ガス圧接は径の異なる継手には使えない
4. ガス圧接継手において、加熱中に火炎に異常が生じたが、鉄筋の圧接端面相互が密着した後であったので、火炎を再調節して作業を継続した。h22/8
5.ガス圧接において、加熱中にバーナーの火炎に異常が生じたため加熱を中断したが、
圧接端面相互が密着した後であったので、再加熱して圧接作業を続行させた。h28/8
共に正答肢です。
なお圧接面が密着する前なら
切り取り+再圧接が必要です。
6. SD345のD25の鉄筋の手動ガス圧接については、技量資格種別2種の手動ガス圧接技量資格者が行った。h23/8
正答肢です。
7.溶接継手を用いる大梁の主筋は、隣り合う鉄筋の溶接継手の位置を 400mm以上離
れるようにずらして配筋した。h29/8
正答肢です。
“400mm以上の離れ”は
機械式継手でもでてきた数字ですね。
鉄筋相互のあきとかぶり厚さ
1.径が同じ異形鉄筋の相互のあきについては、「呼び名の数値の1.5倍」、「粗骨材の1.25倍」、「25mm」のうち、最も大きい数値以上とした。h26/8
2.粗骨材の最大寸法が20mm のコンクリートを用いる柱において、主筋がD25の鉄筋相互のあきは、40mm とした。h27/8
共に正答肢です。
問2は”呼び名”25×1.5=37.5mm、
“粗骨材”20×1.25=25mm、
“25mm”なので37.5を超えていればOKです。
3.柱におけるコンクリートのかぶり厚さは、せん断補強筋の表面からこれを覆うコンクリート表面までの最短距離とした。h27/8
正答肢です。
せん断補強筋(帯筋)が配筋の中で
一番外側にあるので帯筋の外側が
かぶり厚さの計測場所になります。
4. 構造体の計画供用期間の級が「長期」の建築物において、耐久性上有効な仕上げを施す屋外側の鉄筋の設計かぶり厚さについては、耐久性上有効な仕上げを施さない場合の鉄筋の設計かぶり厚さから10mm 減じた。h23/8
正答肢です。
他の年度ではプレキャストコンクリート工事で
出題されている内容ですね。
結束
1. スラブの主筋と配力筋との交差する鉄筋相互の結束については、その交点の半数以上について行うことを標準とした。h22/8
2.スラブ筋の結束は、鉄筋の交点の半数以上とする。h25/8
3.鉄筋工事の配筋検査のうち、壁の検査においては、交差する鉄筋相互の結束箇所が、
交点の半数以上でバランスよく結束されていることを確認した。h28/8
4. 矩形柱の主筋と帯筋の交差する鉄筋相互の結束については、四隅の交点において全数行い、その他の交点において半数以上行った。h24/8
全て正答肢です。
鉄筋相互の結束について
- 帯筋、あばら筋では四隅の交点で全数結束する
- スラブ、壁などその他の交点で1/2以上結束する
その他
1.構造体の計画供用期間の級が「標準」の建築物において、地中ばりのあばら筋の加工については、特記がなかったので、幅、高さの加工寸法の許容差をそれぞれ±5mmとした。h24/8
正答肢です。
なお計画供用期間はなんであろうと関係ありません。
2. ガス圧接継手の超音波探傷試験において、試験の箇所数については、1検査ロットに対し30か所とし、検査ロットから無作為に抜き取ることとした。h22/8
正答肢です。
継手部の検査は2段階です。
まず初めに外観検査を全数おこない、
次に設問の要領で抜き取り検査をします。
3.片持ち庇のスラブ筋に用いるスペーサーについて、材質を施工に伴う荷重に 対して耐えられる鋼製とし、型枠に接する部分には、プラスチックコーティングの防錆処理を行ったものを使用した。h26/8
正答肢です。
4.大梁にU字形のあばら筋とともに用いるキャップタイについては、梁天端と段差の
ないスラブが取り付く側を 90度フックとした。h29/8
正答肢です。
5.スラブの配筋において、特記がなかったので、上端筋、下端筋それぞれにスペーサーをスラブ 1m2当たり1.3個程度配置した。h30/8
正答肢です。
6.鉄筋工事において、鉄筋の表面に発生した錆のうち、浮いていない赤錆程度のものについては、コンクリートとの付着を阻害することがないので、除去しなかった。h30/3
正答肢です。
一級建築士学科試験の施工分野9年分の
過去問題をまとめました。
他の設問へもこちらからリンクできます。
https://halu-ie.com/gakka-sekou-roundup-article/
また一級建築士試験の施工分野の出題傾向と、
私が過去問題での学習を勧める根拠をまとめています。
こちらもご覧ください。
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設問8/鉄筋工事
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