一級建築士学科/計画分野/過去問集

一級建築士学科試験/計画/都市計画、まちづくり、交通政策まとめ(毎年1~2問出題)

地区計画等、都市計画にまつわる設問や、”コンパクトシティ”等の都市計画の用語をまとめています。毎年1~2問出題されています。

都市計画、まちづくり、交通政策の過去問をまとめました。

都市計画&まちづくり

市街地再開発事業、土地区画整理事業

・市街地再開発事業は、市街地の土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るために、都市計画法及び都市再開発法で定めるところに従って行われる建築物及び建築敷地の整備並びに公共施設の整備等を行う事業である。H26/問11

・都市再開発法の規定による第二種市街地再開発事業は、市街地の土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るために、管理処分方式によって公共施設の整備と併せて建築物及び建築敷地の整備を一体的に行う事業である。H27問11

※市街地再開発事業は第一種と第二種とあります。国土交通省のサイトで以下のような文言の記載とわかりやすいイメージが掲載されていました。H26/問11、H27問11ともに正答肢

・第一種市街地再開発事業<権利変換方式>
権利変換手続きにより、従前建物、土地所有者等の権利を再開発ビルの床に関する権利に原則として等価で変換する。

・第二種市街地再開発事業<管理処分方式(用地買収方式)>
公共性、緊急性が著しく高い事業で、一旦施行地区内の建物・土地等を施行者が買収又は収用し、買収又は収用された者が希望すれば、その対償に代えて再開発ビルの床を与える。

参照:国土交通省hp

 

・地方自治体が都市計画の案を作成する際には、必要に応じて、住民の意見を反映させるために公聴会等を開催する。H23問10

正答肢です。

・土地区画整理事業は、都市計画区域内の土地について、公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図るために行われる、土地の区画形質の変更及び公共施設の新設又は変更に関する事業である。H26/問10

正答肢です。
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総合設計制度、連担建築物設計制度

・総合設計制度は、敷地規模が大きく、敷地内に広場等の公開空地を有し、建築物の形態も良好な建築計画について、都市計画法に基づき、容積率及び形態の制限を緩和し、市街地環境の整備改善を促進する制度である。H26/問11

・総合設計制度/敷地が一定規模以上で、敷地内に公開空地を有し、総合的な配慮がなされた良好な建築計画について、容積率及び形態の制限を緩和し、市街地環境の整備改善を促進する制度である。H22/問9

※共に正答肢です。国土交通省ホームページには”500㎡以上の敷地で敷地内に一定割合以上の空地を有する建築物について、計画を総合的に判断して、敷地内に歩行者が日常自由に通行又は利用できる空地(公開空地)を設けるなどにより、市街地の環境の整備改善に資すると認められる場合に、特定行政庁の許可により、容積率制限や斜線制限、絶対高さ制限を緩和。”とされています。またわかりやすい画像がありましたのでそちらも引用します。

参照:国土交通省hp

 

・建築基準法に基づく、いわゆる「連担建築物設計制度」は、都市機能の更新や、優れた都市空間の形成・保全を図ることを目的に、都市計画法と建築基準法による制限の一部を適用せず、街区単位に都市計画を定め、建築物等を個々に認定する制度である。H29問11

・連担建築物設計制度/複数敷地により構成される一団の土地の区域内にある複数の建築物において、既存建築物の存在を前提とした合理的な設計により、容積率や日影規制等の特例対象地区を、同一敷地内にあるとみなして、適用する制度である。H22問9

※普通は1敷地に1つの建築物が原則なので、敷地は細かく分断されてしまい環境整備が難しいけど、一定以上の敷地面積があって公開空地を設けるなど周辺環境に配慮してもらえたら、個々の建物に制限を適用せずにまとまりのある1つの建築としてみなすようにして、色々制限を緩和しますよ、という内容です。よってH29問11は誤答肢、H22問9は正答肢
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高度地区、高度利用地区

・高度地区は、都市計画法に基づく地域地区の一つであり、用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区である。H26/問11

・高度利用地区/市街地の合理的かつ健全な高度利用を図るため、都市計画に建築物の高さの最高限度又は最低限度を定めることができる地区である。H22/問9

※高度地区と高度利用地区を混同しないように注意したいです。ざっくりいうと高度地区は建物高さの限度を制限するもので、高度利用地区は容積率、建ぺい率や建築面積、敷地面積、壁面位置などを制限するもので建物高さの制限はしません。高度利用地区は「細々した敷地を統合して一つのまとまった建物を建ててもらいたい、そして敷地いっぱいに建物を建てるのではなく、まわりに公開空地を用意して気持ちの良い市街地にします。」という考えがあるので容積率は最低、最高限度の制限、建ぺい率は最高限度の制限、敷地面積と建築面積は最低限度の制限、壁面位置の制限を定めるので少しややこしいです。よってH26/問11は正答肢、H22/問9は誤答肢
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その他都市計画の地区やまちづくり政策

・都市再生特別措置法による都市再生特別地区は、都市の再生に貢献し、土地の合理的かつ健全な高度利用を図る特別の用途、容積、高さ、配列等の建築物の建築を誘導する必要があると認められる区域について、都市計画に定めることができるものであり、建築物等の誘導すべき用途、建築物の容積率の最高限度及び最低限度、建築物の建ぺい率の最高限度等を定める地区である。H26/問11

正答肢です。

・文化財保護法の規定による伝統的建造物群保存地区は、都市計画区域又は準都市計画区域内においては、市町村が都市計画に定めることができる。H27問11

正答肢です。

・文化財保護法に基づく登録有形文化財登録基準」の建造物の部では、原則として、建設後50年を経過し、かつ、一定の基準に該当する建築物、土木構造物及びその他の工作物が、文化財登録原簿への登録の対象となる。H29問11

正答肢です。

・景観地区/市街地の良好な景観の形成を図るため、都市計画に建築物の形態意匠の制限等を定めることができる地区である。H22問9

正答肢です。意匠の制限の他、建物高さの最低又は最高限度の制限、壁面位置の制限、敷地面積の最低限度の制限をします。

・都市緑地法に基づく「緑化地域」は、緑地が不足している市街地等において、一定規模以上の建築物の新築や増築を行う場合に、敷地面積の一定割合以上の緑化が義務付けられる地域である。H29問11

正答肢です。

・地方自治体が作成した都市計画の案に対する住民の意見は、案の縦覧期間後に意見書を提出することにより、都市計画審議会において検討される。H23問10

※縦覧の期間は案の公告の日から2週間の義務付けがされています。この設問、正しくは縦覧期間満了の日までに意見書を提出する必要があります。誤答肢

・都市計画法に基づく「地区計画」は、地区の課題や特徴を踏まえ、住民と市町村とが
連携しながら、地区の目指すべき将来像を設定し、その実現に向けて「まちづくり」を進めていく手法である。H29問11

正答肢です。

・地方自治体が定めるまちづくり条例において、近年では、住民発意の計画を実現化する仕組みを設ける自治体が増えている。H23問10

・法律に基づかない任意のルールであるまちづくり協定やまちづくりガイドラインは、一般に、地域の独自性を反映させやすい。H23問10

※近年では地方で問題になっている空き家問題の解決を目指すワークショップやアイデアコンペなども多いですね。共に正答肢

・エリアマネジメントは、行政主導により地域における良好な環境や地域の価値を維持・向上させるための取組みのことである。
H28問11

・タウンマネジメントは、市民、行政、商店街等の地域を構成する様々な主体が参加し、広範な問題を内包するまちの運営を横断的・総合的に調整・プロデュースする、
市街地の活性化と維持に関する取り組みである。H27問11

※両者は同義です。行政主導ではなく、住民・事業主・地権者等が一体化した組織を結成して地域の活性化を目指す取組みです。よってH28問11は誤答肢、H27問11は正答肢

・ダウンゾーニングは、都市計画で定められた容積率の引下げや建築することができる用途を住宅などに限定する等、規制を現行に比べて厳しいものに変更することである。H28問11

正答肢です。無秩序な開発を規制したいときに使います。

・ニューアーバニズムは、住民参加を原則とした計画手法であり、アメリカをはじめとする諸外国や日本の住宅地開発で採用されている。H26/問10

※郊外へと無秩序に広がった都市を、伝統的なコミュニティの価値とともに再構築しようとする都市計画手法で、”コンパクトシティー”、”スモールタウン”などの動きと似ています。具体的には公共空間の創出、公共交通機関の活用、バリアフリーで歩行者にやさしいまち、歴史的遺産を大切にし、住民同士の交流促進を図っていくことを目指し、人間が住みやすい街にしましょう、という考え方です。ただし住民参加は原則ではありません。誤答肢

・コンパクトシティは、市街地の無秩序な拡大を抑制しながら、都市地域の環境整備に重点を置き、環境的・経済的持続性を高める都市モデルである。H25問11

正答肢です。

・近隣住区は、一般に、小学校が一校成立する程度の人口を単位としたものである。H24問9

正答肢です。

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都市公園

・街区公園は、主として街区内の居住者が利用することを目的とした公園であり、誘致距離250m、面積0.25haを標準としている。H23問9

・近隣公園は、主として近隣住区計画における2~3住区の居住者が利用することを目的とした公園であり、誘致距離1km、面積4haを標準としている。H23問9

・総合公園は、都市住民全般を対象とし、休息、観賞、散歩、遊戯、運動等に利用することを目的とした公園であり、都市規模に応じて面積10~50haを標準としている。H23問9

・運動公園は、都市住民全般を対象とし、主として運動に利用することを目的とした公園であり、都市規模に応じて面積15~75haを標準としている。H23問9

※札幌市のホームページにわかりやすい画像が掲載されていますので引用します。誤答肢は”近隣公園は~”の部分で、正しくは地区公園です。

参照:札幌市hp

 

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その他用語

・レジリエンスは、一般に、自然災害等により、社会基盤やそれが支える社会及び経済が一時的に大きなダメージを受けても、速やかに復活できること等を意味する。H28問11

正答肢です。復元力、持久力などと訳されます。

・スマートグリッドは、インターネット等の通信回線を活用し、複数の建築物のエネルギー設備を一元的に管理・制御することによって地区単位で行われる、エネルギーの集中管理システムである。H27問11

※記述はCEMS(地域エネルギー・マネジメント・システム)です。スマートグリッドはIT・制御技術を強化して、電力需要と電力供給をリアルタイムに一致させる先進的な電力網です。誤答肢

・CPTED(Crime Prevention Through Environmental Design)は、心理学的効果を考えた設計によって、犯罪抑止効果を高める計画手法である。H25問11

※環境デザインによって犯罪予防しよう、という計画手法です。具体的には道路や家周りの見通しをよくしたり、明るくすることなど人の目が届きやすい工夫をしたり、他色々組み合わせて犯罪をしようと思わせないようにする手法です。近年増えている青色の街灯もこの計画手法に則っています。(効果の真偽は不明ですが)正答肢

・ストリートファニチャーは、街路や広場等の屋外空間で使用されるベンチ・柵・水飲み場等の工作物等の総称である。H25問11

正答肢です。
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交通政策

中心市街地の交通政策

・フリンジパーキングは、都心部周辺に駐車場を整備し、都心内への車の流入の抑制を目的としたまちづくりの手法である。H26/問10

正答肢です。施設を都心部に集中させる集約型の都市構造にしようとすると、中心部への車の流入が増大してしまい環境や利便性が損なわれるため、できるだけ都心部に入る前に車からおりてもらいましょう、といった手法です。

・パークアンドライドシステムは、一般に、郊外の鉄道駅等に設置された駐車場を利用し、都心部まで公共交通機関を利用することによって、中心市街地へ流入する車の交通量を抑制する仕組みである。H24問10

正答肢です。少し手法が違いますが先のフリンジパーキングと同じような狙いですね。また都心部ではない観光地などへの利用も盛んです。

・タウンモビリティーシステムは、中心市街地をバリアフリー化して車いすや電動スクーター等を貸し出し、歩行困難者の外出機会の拡大だけでなく、市街地の活性化を促す仕組みの一つである。H24問10

正答肢です。市街地のバリアフリー化は歩行者困難者にとっても、街の経済にとっても有効、というわけですね。

・LRTは、低床式車両の活用や軌道等の改良による乗降の容易性、定時性、速達性、快適性等の面で、優れた特徴を有する軌道系交通システムである。H26/問10

・LRT(Light Rail Transit)は、都市内の交通渋滞の緩和や環境問題の解消を図るうえで有効な公共交通機関として、欧米を中心に導入されている新しいタイプの路面電車システムである。H24問10

※共に正答肢です。カッコいい名前ですが要は市街地を走る路面電車です。

・TOD(Transit Oriented Development)は、明確な歩車分離に基づき、自動車交通の効率化を最大限に活かす計画手法である。H25問11

※TODは公共交通優先型開発で路面電車やバスなどの公共交通機関を利用した都市づくりの概念です。誤答肢
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郊外の交通政策

・ラドバーン方式は、住宅地計画における人と車を分離する設計手法である。H24問9

・クルドサックは、車の折り返し場所を終端部にもつ袋小路である。H24問9

・ボンエルフは、自動車の速度を低く抑え、厳密な歩車分離をせずに歩行者と自動車が共存できるようにした外部空間である。H23問5

・住宅地まわり等の道路において設けられるハンプは、車の速度を歩行者と同じ程度までに落とすことを目的としている。H22問11

※4問とも正答肢です。ラドバーン方式では人と車を明確にわけ、人は緑道などの歩道を利用することで、自動車道路を通らずに学校や公共施設に行けるようしています。ラドバーン方式でクルドサックが利用されます。これに対してボンエルフ方式は歩車共存を目指す手法で、ハンプを利用します。

・ブキャナンレポートは、日本をはじめとする諸外国にも取り入れられた住宅供給政策に関する報告書である。H24問9

※ブキャナンレポートは各道路の役割分担を明確にすることで、都心部への交通の集中や住宅地区内の通過交通などを解消させることができるという報告書です。誤答肢

・国土交通省サイトの中の”環境と人に優しい交通まちづくりの取り組み”で交通政策の年表が掲載されていましたので引用します。ラドバーンと近隣住区論、ブキャナンレポートやボンエルフ、ハンプなどの関係性や順序がわかりやすくまとめられていますね。

参照:国土交通省hp

 

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モールの種類

・トランジットモールは、歩行者用の空間であるモールの形態の一つであり、一般の自動車の進入を排除して、路面電車やバス等の公共交通機関に限って走行を認めたものである。H28問11

正答肢です。人と交通形態に分けられる歩行者モールの分類は3つあって、完全に歩行者専用とする「フルモール(例:くずはモール、道頓堀ガーデンロード)」、歩行者専用通路と自動車道路(速度抑制の手法をとった)を明確に分離した「セミモール(例:横浜元町商店街)」と設問の「トランジットモール(例:那覇国際通り商店街)」になります。

・フルモールとセミモールはこれまで生きてきた中で思い当たる節がありますが、トランジットモールは私はあまり記憶がありません。国土交通省サイトにある、海外のトランジットモールを分析している画像がわかりやすかったので引用したいと思います。

参照国土交通省hp(歩行者と路面電車の空間整備について)

 

・都心地区の商業活動を活性化させることを目的とした歩行者モールは、人と車の交通形態により[オープンモール]、[セミクローズドモール]、[クローズドモールに]分類される。H24問10

※記述は屋根の有無で分けられる歩行者モールの分類です。全く屋根が無い「オープンモール」、一部屋根がかかっている「セミモール」、完全に屋根に覆われている「クローズドモール」に分けられます。誤答肢
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リンク

計画分野では、他の項目の過去問題についても網羅しながら解説していますので合わせてご覧下さい。

一級建築士学科試験/計画分野/出題範囲の枠組みと分類をしました。