建築計画やマネジメントにまつわる横文字用語、
色々あってわかりにくいので図解しました。
毎年1問又は2問出題されていますが、
過去問題からの出題が
誤答肢になる場合も多いため、
まずは過去問題を抑えましょう。
プロジェクトマネジメント用語/一級建築士試験
プロポーザル方式・コンペ方式
国土交通省が示す設計者選定方式において、プロポーザル方式とは、提出された具体的な設案を審査し、最も優れた設計案を選ぶ方式である。R2問20
プロポーザル方式=設計する人を選ぶ
設計プランと共に
設計の考え方や実施方針などの大きな枠組みの部分をプレゼンし、
最も優れた設計者を選びます。
“ふさわしい設計者決めるのがプロポーザルの役目、
他はこれから詰めていきましょう。”
当初の新国立競技場のプロポーザルで
ザハ氏が最優秀に選ばれたのは
ザハ氏が一番ふさわしい設計者だと
認められたというだけです。
コスト面や技術面でのプラン修正をしていけば
よかったのに、実に残念な結果になってしまいました。
プロポーザル方式について国土交通省に詳しい解説がありました。
サブリース事業
賃貸住宅におけるサブリース事業は、賃貸管理事業者が建物所有者等から建築物を転貸目的として貸借し、自らが転貸人となり入居者に転貸するシステムによって行う転貸管理事業である。H28/問20
せっかくローンを組んで建てた
アパートの家賃収入が減額されて、
ローンが支払いきれない事案も出ている
など社会的に問題になっている事業です。正答肢
BCP
BCPは、企業が災害や事故で被害を受けても、重要な業務が中断しないこと、中断しても可能な限り短い期間で再開すること等、事業の継続を追求する計画である。H28/問20
BCPはBusiness Continuity Planの略で事業継続計画と表現されています。正答肢
国土交通省に詳しい記述があります。
CSRとCRE
CSRは、企業が所有する不動産について、経営戦略的な視点に立って見直しを行い、不動産投資の効率性を最大限向上させるという考え方である。H28/問20+H25/問20
※上記はCRE(Corporate Real Estate)についての記述です。
CSRとはCorporate Social Responsibilityの略で
企業が利益の追求だけでなく、法令順守や社会、
環境や利害関係に対して責任ある行動をとる必要があるという考え方。
(直訳すると”会社の社会的責任(義務)”なのでそんな感じになります。)誤答肢
これは近年だけでも誤答肢として2回出てきていますので、良く覚えておいた方が良いと思います。
PFIとBTO,BOT,BOO
BOTは、公共サービスに係る建築物を民間が建設して一定期間運営し、期限終了後に行政に移管する仕組みのことである。H26/問20
BOTはBuild Operate and Transferの略で直訳すると
建てて、運用して、そして移管する。
まさしくそんな感じですね。正答肢
公共事業において、BTO方式とは、民間事業者が資金調達を行って施設を建設し、完成直後
に公共に所有権を移転し、当該民間事業者に一定期間、維持管理及び運営を委ねる方式である。R2問20
BOTに対してBOTはBuild Own Operateの略で
建設して所有して運営する、ということで
建てた後すぐ公共に所有権を移すというのが特徴です。
よって正答肢
SPC
PFI事業におけるSPCは、ある特定の事業を実施することを目的として設立される会社で、PFI事業以外の投資は行わず、PFIの契約期間が終了すれば解散するものである。H28/問20
PFIはPrivate Finance Initiativeの略で
民間の資金と経営能力・技術力(ノウハウ)を活用し、
公共施設等の設計・建設・改修・更新や維持管理・運営を
行う公共事業の手法です。H23/問20でも出てきます。
よって正答肢
SPCはSpecial Purpose Companyの略で特定目的会社と訳します。PFIとSPCの関係がわかりにくかったので調べてたところ、
一般財団法人地域総合整備財団が運営する自治体PPP/PFI推進センターのサイトに説明が書かれていたので気になった方はチェックしてください。
・PFI事業において、VFMとは、重要な概念の一つで、支払いに対して最も価値の高いサービスを供給するという考え方のことである。R2問20
正答肢です。
JV
建築プロジェクトにおけるSPC(特定事業目的会社)は、複数の建設業者が特定のプロジェクトのために組織する共同企業体である。
記述はJV(Joint Venture)のことで共同企業体と訳します。
JVは会社が集まって事業を行うだけなのに対して、
SPCは会社が集まって別の会社を
設立しているというところが大きく違います。
ということでSPCなのに共同企業体と書いてあったら
バツがつけられるということですね。誤答肢
内閣府にドンピシャの内容が
書いてありました。
Q2-6:SPCとJV(共同企業体)は、どの点が異なるのでしょうか。
Answer
PFI事業で設立するSPC(特別目的会社)の法的性質は民法上の法人です。一方、建設工事等で設立するJV(共同企業体)は、複数の事業者が共同で事業を実施する(例えば建設工事の施工を行う)ことに合意して結合した事業組織体で、法的性質は明確には規定されていませんが、一般に民法上の組合とされているため(平成10年4月14日最高裁判所判決)、JV自体では法人格を持つことができません。
フィージビリティ・スタディ
フィージビリティ・スタディは、計画されている内容の実現の可能性について、都市計画などの上位計画との整合性、技術的な課題、採算性等を検討するものである。H27/問20+H22/問20+H30/問19
フィージビリティは実現可能性という意味でスタディが検討だとするとそんな感じです。正答肢
デュー・デリジェンス
デュー・デリジェンスは、建設プロジェクトを進めるに当たって、目的、方法、予算などを検討しながら事業全体の骨格を決めることである。H27/問20+H23/問20+H30/問19
デュー・デリジェンスは事業・法務・財務などのほか
人事などについて多角的な調査することをいいます。
M&A予定対象を調べたりします。
(直訳は”当然の努力”。M&Aするのだから
調査するのは当然の努力だ、そんな感じでしょうか?)誤答肢
コンソーシアム
コンソーシアムは、二つ以上の個人、企業、団体、行政機関等で組織され共通の目標に向かって協同する団体の事である。H27/問20
コンソーシアムはラテン語で提携、共同、団体という意味です。
「産官学揃って、まちづくりという
共通の目標に向かって頑張りましょう!」
という感じでしょうか。正答肢
コンカレントエンジニアリング
建設工事において、コンカレントエンジニアリングとは、設計から施工までの工程にかかわる全ての部門の人材が集まり、工程をオーバーラップさせて諸問題を討議しながら作業を進めていく方式である。R2問20
Concurrentは”同時”という意味です。正答肢です。
コストオン方式
コストオン方式は、一般に、建築主が専門工事業者を選定し工事費を決定したうえで、その工事費に元請の管理経費を加えて建築の元請会社に工事を発注する方式である。H27/問20+H24/問20
コストオン方式は建築主が施工会社の技術や
工事費を知り尽くした状態で契約するので、
元請会社はさぞ身が引き締まることと思います。正答肢
施工分離発注方式
工事発注における施工分離発注方式は、一般に、建築工事と各種設備工事に分ける等、工事請負契約を工事種別ごとに行う方式である。H24/問20
住宅でもごくたまにコスト削減の方法から、
分離発注方式を採用する場合もあります。
(私は経験したことはありませんが)
一つの元請業者と工事請負契約を結ぶことは
“一括発注方式”といいます。
住宅ではこちらのほうが一般的です。正答肢
LCM
LCMは、建築物の機能や効用の維持または向上を図りつつ、建築物をその生涯にわたって管理することであり、LCCを最大化することが大きな目的である。H26/問20
LCCとはライフサイクルコストのことです。
コストなのだから最小化する方が良いですね。誤答肢
ちなみにH23/問20では正答肢として登場します。
アセットマネジメント
不動産分野におけるアセットマネジメントは、不動産の所有者や投資家の代行として、テナント対応や建築物の維持管理、運営までを含めた一連の不動産業務を行うことである。H26/問20+H29/問20
アセットが資産のことなので、資産の運用業務のこととわかります。正答肢
VE(提案)
VE提案は、基本性能の維持を前提とした工事費提言の提案、工事施工者独自の施工技術の導入の提案などである。H25/問20
VEはValue Engineeringの略で
物やサービスの価値とそれらがもつ機能やコスト
との関わり合いを研究することで、
最終的に価値の向上をはかる手法です。
VE提案とはVEによる分析に基づく提案で、
基本性能は維持しながら、さらにコストダウンや
独自の施工技術の導入の提案をすることです。
正答肢(H30/問19ではVE提案の部分に
違う語句が入っていて誤答肢となっていました。)
プロジェクトの内容の確定度が低い設計初期段階では、VE(バリューエンジニアリング)の効果は低い。H22/問20
プロジェクトがガチガチに決まってからでは
できることは少なくなりますよね。
手戻りも少なくて済むので早い段階で取り入れた方が良いです。誤答肢
VM
VMは、建設投資の最適化を目的として、コスト縮減に係る提案を実現するために実施するものである。H26/問20
VMはValue Managementの略です。
VE(Value Engineering)と意味合いがよく似ています。
おそらくこのニュアンスの違いは
試験には出てこないと思います。正答肢
BIM
BIMは、設計、施工、維持管理までのコストや後記、品質情報などすべてを統合したデータを活用して業務を進める手法であり、一般に、三次元モデルを使って表現される。H25/問20
BIMはBuilding Information Modelingの略です。
近年では戸建住宅のような小規模木造でも実現されつつあります。正答肢
CM
CM(Construction Management)方式は、一般に技術的な中立を保ちつつ発注者の側に立つコンストラクションマネージャーが、設計・発注・施工の各段階において、設計の検討や工事発注方式の検討、工程管理、品質管理、コスト管理等の各種のマネジメント業務の全部または一部を行うものである。H24/問20
公共施設で出てくることが多いですが、
一般の人でもプロがそばにいてくれて、
様々な条件整理や管理、マネジメントまで
全部してくれると助かりますよね。正答肢
ブリーフィング、プログラミング
完成した設計内容を建築主に説明することを、英国ではブリーフィング、米国ではプログラミングといい、大規模化・複雑化するプロジェクトにおいて非常に重要である。H23/問20
プログラミングという名前なのに建築主に説明するのか、
という所で気付けますね。
本当は設計段階に入る前に、
設計者が各種条件整理をするために行うものです。誤答肢
また昨年度にも出題されています。
建築物の企画段階におけるブリーフィングは、一般に、発注者及び関係者の要求、目的、制約
条件を明らかにし、分析するプロセスであり、その成果物はブリーフと呼ばれている。
H30/問20正答肢
クリティカルパス
プロジェクトのスケジュール管理のためには、クリティカルパスを見極め、重点的に管理することが有効である。H22/問20
施工の方でも出てきますね。正答肢
性能発注方式
性能発注方式は、一般に、設計者が施工候補者に一定の性能基準を提示したうえで、技術提案を求めて施工者を選定する発注方式である。
※一般的には仕様をあらかじめ確定させて発注する”仕様発注”が多いですが、
“性能発注”では一定の性能基準を満たせば
自由に仕様を決めることができるのが特徴です。
建築計画用語/一級建築士試験
スケルトン・インフィル(S&I)
・住宅の二段階供給方式における「スケルトン」は、第二段階に対応する部分で、個別性の高い間仕切りや内装の部分を言う。H27/問13
記述は「インフィル」をさします。スケルトンは第一段階に対応しており、
その住宅の構造を一手に担う”箱”の部分です。
一般的にはシンプルなスケルトンに多様なインフィルを
使用する事で一人一人の要求にあわせながらも、
建物のメンテナンス、更新も楽にするような手法です。誤答肢
コートハウス
・コートハウスは、建築物や塀で囲まれた中庭をもつ住宅の形式であり、狭い敷地においてもプライバシーを確保しやすい。H26問13
正答肢です。
ストリート型住宅
・ストリート型住宅は、集合住宅の設置階部分において、居住者が日常生活の延長として、街並みの形成に参画できるような配慮を行うことによって、街路の活性化を意図した集合住宅の住戸形式をいう。H26問13
正答肢です。
デュアルリビング
・デュアルリビングは、廊下に面してリビングルームをもつ二棟の片廊下型住棟を向かい合わせに配置し、部分的にエレベーターホール棟で連結した住棟形式をいう。H26問13
記述はリビングアクセス形式になっている
ツインコリドール型住棟の事です。
デュアルリビングはその名の通り、
2つのリビングあるということで一つは家族用、
もう一つは接客用と別々のリビングを
使い分けるようになっています。誤答肢
ライトウェル
・ライトウェルは、住戸の奥行きが深い場合であっても、通風と採光を得ることができる計画手法である。H26問13
光庭とも呼ばれ、低層・中層の集合住宅などで
日の入りにくい中央部分にもうけることで、
通風や採光を改善させることができます。
製図試験でも出てきますね。正答肢
アフォーダンス
・アフォーダンスは、人間同士の距離のとり方自体がコミュニケーションとしての機能をもち、文化によって異なるとする考え方である。H25問16
アフォーダンスはアフォード(提供する)という意味の動詞ですが、
これを造語にしたものです。
環境や物が人間に行動を働きかける、提供するよ、
という理論で、たとえばドアノブのついたドアを見ると、
人はまずそれをつかみ押すか引くかして開けようとします。
これはドアノブが人間に行動を
働きかけているという考え方です。誤答肢
パーソナルスペース
・パーソナルスペースは、人間が身体のまわりにもっている、他の人間に侵入されたくない心理的な領域の事である。H25問16
・パーソナルスペースは、人の身体を囲んでいる心理的な領域のことであり、立位より平座位のほうが大きくなる。H22問17
平座位は床などに直に座った姿勢ですが、
立位よりもパーソナルスペースは小さくなります。
またスペースは男女でも違います。
よってH25問16正答肢、H22問17誤答肢
プレグナンツの法則
・プレグナンツの法則は、視界に複数の対象があるときに、これらをまとまりといて知覚したものを簡潔でよい形としてとらえる傾向のことをいう。H25問16
正答肢です。広告などの分野でも使われ、
一例をあげると丸が二つ近接して並んでいたら
その二つは内容がどうであれ
意味を関連づけて認識される傾向があります。
ソシオフーガル・ソシオペダル
・ソシオフーガルは、複数の人間が集まったときに、知らない人間同士が異なる方向に顔を向けているような状態をいう。H25問16
・ソシオペタルは、複数の人間が集まったときに、異なる方向に身体を向けて他人同士でいようとするような位置関係をいう。R1問1
ソシオペダルは交流を活発にする位置関係で、
病院の待合などはお互いに対面しないような
座席になっていることが多いですが、
そちらはソシオフーガルといいます。
よってH25問16は正答肢、R1問1は誤答肢
黄金比
・直前の隣接する2項の和が次の項となるような数列(フィボナッチ数列)を順次作成していくと、その連続する2項の比率は黄金比に近づく。H25問17
正答肢です。
コンバージョン
・コンバージョンは、既存建築物の用途変更・転用のことであり、都市部においては事務所ビルを集合住宅に改修した例もある。H22問17
正答肢です。
木割り
・木割りは、我が国の伝統的な建築において、各部構成材の比例と大きさを決定するシステムである。H25問17
※正答肢です。代表的な木割書の一つに”匠明”というものがあります。
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