一級建築士学科/計画分野/過去問集

一級建築士学科試験/計画/建築士の職責・規範・業務まとめ(毎年2問出題)

建築士の職責や規範、業務内容の設問は、毎年設問1と設問18の2問出ています。過去問を確実に抑えつつ、聞いたことがないものは自身の良心に従って判断して解ける問題が多いです。

一級建築士学科試験/計画/建築士の職責・規範等設問の過去問題まとめ(毎年2問出題)

 

建築士の職責・規範

向上心を持ち質の向上に努める

・建築士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して建築物の質の向上に寄与するように、公正かつ誠実にその業務を行う必要がある。H23問1

・建築士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、建築物の質の向上に寄与するように、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない。H27問1

※語尾が違うだけですね。正答肢

・一級建築士、二級建築士及び木造建築士は、設計及び工事監理に必要な知識及び技能の維持向上に努めなければならない。H24問1

正答肢です。誤答肢になりえない文章ですね。

・一級建築士、二級建築士及び木造建築士は、国土交通大臣の免許を受け、一定規模以上の建築物の設計、工事監理その他の業務を行う者で、常に品位を保持し、業務を行うに当たっては、公正さ、誠実さが求められる。H24問1

※一級建築士は国土交通大臣免許ですが、他は都道府県知事免許です。誤答肢

目次に戻る 

環境負荷の低減を考える

・建築における省エネルギーへの取り組みは、社会的課題であり、建築物の新築時においては、用途や規模にかかわらず「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」に基づく省エネ措置に関する届出を行う必要がある。H23問1

※義務付けはは300㎡以上(第二種特定建築物)となっています。誤答肢

・建築物の計画における環境負荷の低減策の検討に当たっては、既存施設を改修し活用することより、既存施設を解体し新たな建築をつくることを優先して検討することが重要である。H22問1

※環境負荷の低減をするためには無駄な資材、ごみを生じさせないようにしないといけないので、まずは既存施設の改修を検討することが必要です。誤答肢

・サスティナブル(持続可能)な建築の計画に当たっては、自然、風土、地域性
場所性等の認識が重要である。H22問1

※建物を末永く利用していくためには、建築時、運用時とも省エネルギー、省資源でリサイクルが可能なのに加えて、さらに土地固有の自然、地域性についての配慮が欠かせません。正答肢

・自然エネルギーを活用する建築においては、建築物の形態や配置、開口のとり方や断熱等、建築の基本的な構成に配慮することが重要であるH22問1

※普通のことが書かれています。正答肢

目次に戻る 

設計にあたって十分な分析、検討をする

・建築物の長寿命化を図るために、建築物の完成後も継続的に適正な維持管理が行われるように計画の初期段階から配慮する必要がある。H23問1

・集合住宅の計画に当たって、当該地域の生活様式を含めた類似建築物の使われ方等に関する調査を行い、その分析結果を活用した。H25問1

・コミュニティ施設の計画に先立ち、建築主の要請に応じ、施設が提供するサービス、運営方法等を検討する会議に参加した。H25問1

※良い計画をするために事前に情報を集めたり、検討するのはとても大切なことです。3問とも正答肢

・診療所の規模計画において、コーホート要因法を用いて待合室を利用する単位時間当たりの外来患者数を予測し、待合室の床面積を算定した。H25問1

※コーホート要因法は将来の人口を求める方法なので違います。ただしコーホート要因法など学習できていなくても他の設問が明らかに間違いが無かったので消去法で回答できます。誤答肢

目次に戻る 

総合的な知見で設計する

・建築設計にかかわる者は、建築が近隣や社会に及ぼす影響を自ら評価し、良質な社会資本の充実と公共の利益のために努力することが重要である。H22問1

・建築設計にかかわる者は、依頼者の要請に応えるとともに、当該建築物の利用者及び社会に対する公益性に配慮して、公正な立場で業務を遂行することが重要である。H24問1

・建築計画を行うに当たって、建築の目的や意図に応じて、構造、設備、防災等の様々な専門分野の技術を総合的に調整した。H25問1

・建築物の使い方、架構方式、設備方式、材料、施工方法等、計画段階から施工段階に至る多面的な要求の分析を行い、分析から得られた知見を様々な条件を考慮して総合し、一つの具体的な建築空間を提案する。H26問1

・設計案が提供する性能の検討に縮尺模型やシミュレーションモデルを用いる場合、そこで示されるデータが実際の事物や現実のどのような側面に対応しているかを確認する。H26問1

・設計案の検討中に生じた問題については、既に決定した事項に対しても、その是非の再検討を行い、必要に応じて、設計案を修正する。H26問1

・建築士は、設計を行う場合においては、設計に係る建築物が法令又は条例の定める建築物に関する基準に適合するようにしなければならないとともに、設計の委託者に対し、設計の内容に関して適切な説明を行うように努めなければならない。H27問1

※これらは全て正答肢です。昔何かの記事で”建築の設計者はアーティストというよりもオーケストラの指揮者のようなもので人や環境、法令や社会、経済性などの問題全てに折り合いをつけた上で最終的には独自の作品を産み出す”という内容の記述をみて、妙に納得した記憶があります。

・建築関連5団体によって制定された「地球環境・建築憲章」(2000年)におい て、「建築はそれ自体完結したものとしてでなく、地域の、さらには地球規模の環境との関係においてとらえられなければなりません。」と示されている。H24問1

正答肢です。本当に示されているのかはわかりませんが、明らかに間違ってなさそうな文章の場合とりあえず保留にしておいて他の設問を注視します。

目次に戻る 

建築士の規律

・建築士は、違反建築物の建築等の法令違反行為について、指示、相談等の行為をしてはならない。H27問1

・建築士は、建築物に関する調査又は鑑定の業務であれば、その業務に関して 不誠実な行為をしても、建築士法の規定による懲戒処分の対象とはならない。H27問1

※調査や鑑定も建築士の業務です。(職務の責任を問う問題でこのような問い方をしている時点で誤答肢だと判断できます)誤答肢

目次に戻る 

建築士の業務内容

設計業務

・実施設計段階においては、主に、建築主から提示された要求と様々な条件とを対応させてどのような方法によって空間化するかを検討し、それに続く、基本設計段階においては、主に、設計意図を工事施工者等に伝える図面を作成する。H26問1

※基本設計→実施設計の順番です。誤答肢

・工事施工段階において、設計意図を正確に伝えるための質疑応答、説明等を建築主を通じて工事施工者に対して行う業務(工事監理としての標準業務かどうかの正誤問題)H24問18

※工事監理者の業務ではなく設計者が行う業務です。誤答肢

目次に戻る 

工事監理業務

・工事監理者は、工事施工者の行う工事が工事請負契約の内容に適合しているかについて、確認対象工事に応じた合理的な方法により確認し、適合していない箇所がある場合は、工事施工者に対して是正の指示を与え、従わないときは、その旨を建築主に報告する。H23問18

・工事監理者は、工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、直ちに工事施工者に対してその旨を指摘し、設計図書のとおりに工事を実施するように求め、工事施工者がこれに従わないときには、その旨を建築主に報告しなければならない。H26問18

・発注者は、監理業務において、建築士が行う「建築士法で定められた工事監理者が行わなければならない業務」以外の業務についても監理業務の契約において定め、委託することができる。H23問18

※建築士法で定められた工事監理者が行わなければならない業務とは、

  • 工事と設計図書との照合・確認
  • 工事が設計図事や行われていないと認めたときの工事施工者への是正の指示
  • 工事施工者がこの指示に従わないときの建築主への報告
  • 工事監理が終了したときの文書(工事監理報告書)による建築主への報告

です。またその他の必要な業務についても、監理業務の契約において定め、委託できます。

・工事監理者は、「工事と設計図書の照合及び確認」を行うに当たり、一般に、設計
図書に定めのある方法による確認のほか、目視による確認、抽出による確認、工事施工者から提出された品質管理記録の確認等、確認対象工事に応じた合理的方法とすることができる。H22問18

・工事監理の具体的で詳細な実施方法(工事と設計図書との照合及び確認の具体的な対象、方法や業務の範囲)は、建築士法では定められていない。H29問18

※確認のためだけに毎日現場に張り付いては仕事になりません。色々な確認方法で判断します。共に正答肢

・設計図書の内容を把握し、設計図書に明らかな、矛盾、誤謬、脱漏、不適切な納まり等を発見した場合には、設計者に報告し、必要に応じて工事施工者に確認する。(工事監理の標準業務内容を問う正誤問題)H28問18

※不適切な内容を発見した時は、まず建築主で、必要な場合は建築主を通じて設計者に確認をする。誤答肢

・設計図書の定めにより、工事施工者が作成し、提出する施工図(躯体図、工作図、製作図等をいう。)、製作見本、見本施工等が設計図書の内容に適合しているかについて検討し、建築主に報告する(工事監理の標準業務内容を問う正誤問題)H28問18

・工事施工者の行う工事が設計図書の内容に適合しているかについて、設計図書に定めのある方法による確認のほか、目視による確認、抽出による確認、工事施工者から提出される品質管理記録の確認等、確認対象工事に応じた合理的方法により確認を行う。(工事監理の標準業務内容を問う正誤問題)H28問18

・工事と設計図書との照合及び確認の結果、工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、直ちに、工事施工者に対して、その旨を指摘し、当該工事を設計図書のとおりに実施するよう求め、工事施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告する。(工事監理の標準業務内容を問う正誤問題)H28問18

・工事監理の着手に先立って、工事監理体制その他工事監理方針について建築主に説明する業務(工事監理としての標準業務かどうかの正誤問題)H24問18

・工事と設計図書との照合及び確認を全て終えた後、工事監理報告書等を建築主に提出する業務(工事監理としての標準業務かどうかの正誤問題)H24問18

・設計図書の定めにより、工事施工者が作成し、提出する施工図(躯体図、工作図、製作図等)、製作見本、見本施工等が設計図書の内容に適合しているかについて検討し、建築主に報告する業務(工事監理としての標準業務かどうかの正誤問題)H24問18

・「工事監理」、工事と設計図書との照合及び確認の結果報告等」及び工事監理の結果報告」は、建築士法における、いわゆる建築士の独占業務」に該当する。H29問18

・建築士事務所が行う監理業務には、一般に、「工事請負契約の目的物の引渡しの立会い」と「工事費支払いの審査」が含まれる。H29問18

・工事監理業務においては、一般に、「善良な管理者の注意義務(善管注意義務)」が求められており、この義務を怠り損害が生じた場合には、契約に明記されていなくても過失責任が問われることがある。H27問18

※善管注意義務は[他人の大切な物を扱っているので、自分の物以上に注意して見ないといけませんよ]というような義務です。正答肢

・工事監理者は、建築士の設計によらなければならない建築物の工事を行う場合に、建築主が選定しなければならない建築士である。H25問18

※建築士が必要な建築物では必ず必要です。正答肢です。

・一級建築士の設計によらなければならない建築物の工事において、設計施工一貫の工事であれば、工事監理者を置く必要はない。H26問18

※そのような特別ルールはありません。誤答肢

目次に戻る 

契約・約款

・建築設計業務、監理業務等の契約において、報酬の変更、再委託の条件、著作権
の扱い、契約の解除等の諸条項については、通常、建築設計・監理等業務委託契約約款において示される。H22問18

正答肢です。

・建築士事務所の開設者が、その業務に関して請求することのできる報酬については、国土交通大臣がその基準を定めている。H22問18

正答肢です。

・建築設計業務及び監理業務の契約には、設計と工事監理とを一括して契約を行う場合と、設計と工事監理の契約を分けて行う場合があり、後者の場合、エ事監理を設計契約とは異なる建築士事務所の開設者と契約することができる。H23問18

※設計だけ、工事監理だけ、の契約もあれば、基本設計だけ、実施設計だけ、という契約もできます。正答肢

・設計受託契約には、建築物の設計に関わる著作権の取扱いに関する事項を定めることができる。H27問18

正答肢です。

・建築士事務所の開設者は、設計受託契約を締結したときは、遅滞なく、「作成する設計図書の種類」、「設計に従事することとなる建築士の氏名」、「報酬の額と支払の時期」等について記載した書面を委託者に交付しなければならない。H27問18

正答肢です。

目次に戻る 

重要事項説明

・建築設計業務及び監理業務の契約を締結しようとする場合において、建築主が専門知識のある宅地建物取引業者の場合には、重要事項説明を省略することができる。H23問18

※どんな人が相手でも必ず必要です。誤答肢

・建築士法に定められた、設計又は工事監理の契約を締結する際に行う重要事項(業務の内容及びその履行に関する事項)の説明等は、管理建築士以外の建築士が行ってはならない。H22問18

※建築士であれば、管理建築士でなくても大丈夫です。

・一級建築士事務所において、建築士法で定める重要事項の説明については、管理建築士のほか、当該建築士事務所に属する一級建築士も行うことができる。H26問18

正答肢ですが、問い方が少しいやらしいと思います。別に一級建築士でないといけないわけではありません。こういう微妙な問い方をするものはとりあえず保留して他の設問を注視してください。

目次に戻る 

建築事務所・管理建築士

・建築士は、建築士事務所としての登録を受けないで、他人の求めに応じ、報酬を得て、設計又は工事監理の業務を行ってはならない。H26問18

・建築士は、他人の求めに応じ報酬を得て、建築物に関する調査及び鑑定のみを業として行う場合であっても、建築士事務所を開設して業務を行う必要がある。H23問1

正答肢です。

・管理建築士は、その建築士事務所の業務に係る技術的事項を総括する者である。H25問18

正答肢です。

・建築士事務所の開設者は、管理建築士を兼務することはできない。H27問18

※個人で設計事務所を開設している人もいるので、間違いだとわかります。管理建築士は建築士免許取得後3年の業務実績と管理建築士講習を受けることでなれます。誤答肢

目次に戻る 

各種技術者

・施工管理技士は、施工技術の向上を図るため、建設業者の施工する建設工事に従事し又はしようとする者を対象として行う技術検定に合格した者である。H25問18

正答肢です。

・監理技術者は、主任技術者を補佐するために、工事請負者が工事現場に置かなければならない専任の技術者である。H25問18

※監理技術者は主任技術者の補佐ではありません。国土交通省九州地方整備局がアップしている情報がわかりやすかったので引用します。

参照:国土交通省九州地方整備局

 

目次に戻る 

用語

・「アカウンタビリティ」は、一般に、業務や研究活動についての説明する責任」のことをいう。H28問1

正答肢です。

・「談合」は、一定の利益を業界全体にもたらすことを目的とするもので、同業種の業者が資本を結合し、共同企業体を設けることも含む。H28問1

※記述はジョイントベンチャー(JV)です。談合は複数の入札業者が事前に入札価格や落札価格の打ち合わせをして、入札案件ごとに落札する業者を事前に決めることにより、競争原理が働かず不当な高い価格で受注できるようにすることです。誤答肢

・「公益通報」には、通報先や状況によって、「内部通報」、「行政機関への通報」及び「外部通報」の三つの種類がある。H28問1

正答肢です。

・「コンプライアンス」は、一般に、「法令遵守」と訳され、法令・条例等の遵守に加えて企業倫理等の遵守も含む。H28問1

正答肢です。

・「公益確保の責務」は、技術者の倫理的義務の一つであり、公衆の安全、健康及び福利を最優先に考慮すること」をいう。H29問1

正答肢です。技術士法第四十五条の二 技術士等の公益確保の責務の中で、”技術士又は技術士補は、その業務を行うに当たつては、公共の安全、環境の保全その他の公益を害することのないよう努めなければならない。“と書かれています。

・「リスクマネジメント」は、危機事態が生じた後に速やかに実施するものであり、被害の最小化、被害の拡大防止、二次被害の防止等が目的となる。H29問1

※危機が生じた後だけでなく危機を生じさせないためのマネジメントでもあります。誤答肢

・「モラルハザード」は、保険の領域から派生した概念で、近年では、一般に、倫理観の欠如」と訳され、企業等が節度なく利益を追求する状態をいう。H29問1

正答肢です、がモラルハザードは様々な意味があるので問題に出てきた場合は、他の選択肢を優先して考えた方が良いと思います。モラルハザードをざっくりと説明すると、安全が保障されたがゆえに最低限の危機管理すら怠るような状況です。例えば保険の領域では”自動車保険未加入だった人がそれまでは安全運転を心掛けていたのに、保険に加入した途端わざと危険な運転をして事故を引き起こそうとする状態、または事故してもかまわないというような心理状態になること(倫理観の欠如)”を指します。

・「不遵守行為」は、個人及び組織を含めて意図的に法令や条例等に従わない行為をいう。H29問1

正答肢です。

目次に戻る 

リンク

計画分野では、他の項目の過去問題についても網羅しながら解説していますので合わせてご覧下さい。

一級建築士学科試験/計画分野/出題範囲の枠組みと分類をしました。