様々な施設の計画方法は毎年1~2問の出題されています。
これまで細々と出題されていた施設計画を
施設毎に集めたので過去問学習が
しやすいのではと思っています。
一級建築士学科試験/計画/公共施設他施設の設問の過去問題まとめ(毎年1~2問出題)
市庁舎
・議会関連諸室(議場、委員長室、議員控室等)の床面積の合計は、一般に、庁舎全体の床面積の合計の10%程度となるようにする。H23問14
正答肢です。
・届出の受理や証明書の発行等、市民と接する窓口事務部門の床面積の合計は、一般に、庁舎全体の床面積の合計の30%程度となるようにする。H23問14
議会関連諸室、庁舎窓口とも10%が一般的です。誤答肢
・来庁者の70~80%が利用する窓口事務部門は、一般に、メインエントランスホールに接したわかりやすい場所とする。H23問14
正答肢です。
・議場は、行政部門とは別組織であり、大空間が必要であることから、一般に、庁舎の最上階または別棟とすることが望ましい。H23問14
正答肢です。市庁舎の行政部分と切り離しておく必要があります。
図書館
・図書館において、貸出用のカウンターの高さを、子供や車いす使用者に配慮して、床面から85cmとした。H27/問8
子供や車いす使用者に配慮すると70~80cmとなります。誤答肢
・図書館の計画に当たり、閉架式書庫の内部にブラウジングルームを設け、BDSによって、入室管理を行うことができるようにした。H26問17
ブラウジングルームとは
一般の人のための閲覧室の事ですが、
閉架式書庫は一般の人が入れないため
設置しても意味がありません。誤答肢
・図書館の開架室における書架の間隔について、車いす使用者の利用と通行に配慮して、225cmとした。H25問7
書架の間隔は通路120cm+書架45cmの165cmで
車椅子が一台通り抜けできます。
225cmあると車いす通しの
すれ違いも可能です。正答肢
・図書館において、書架のない閲覧室(4人掛で100席)の床面積を、180㎡とした。H22問7
閲覧室は一般的に2㎡から3㎡程度を
目安とします。
ただし内部に書架を設けず
テーブルに四人掛けとする場合、
少し狭い1.8㎡程度で大丈夫です。正答肢
・資料検索のための利用者開放端末(OPAC)についは、来館者の利便性を考慮して、分散させずに館内の入り口付近に集中配置した。H24問14
館内を散策していてふと、
資料を検索したくなった時に
入り口まで戻るのは大変です。
なるべく分散配置しておくほうが良いです。誤答肢
・開架閲覧室の入口については、ブックディテクションシステム(BDS)を採用し、利用者が私物を自由に館内に持ち込むことができるようにした。H24問14
以前は盗難の恐れがあることから、
利用者がカバンなど私物を持ち込むことを
制限していましたがBDSがあることで
チェックを受けていない
図書をもって外に出ようとすると
ブザーがなるように変わったため
施設側も管理がしやすくなり、
利用者側にとっては心置きなく私物を
持ち込むことができるようになりました。正答肢
・レファレンスカウンターについては、貸出・返却カウンターとは別に、開架書架群の近くに設けた。H24問14
正答肢です。
・開架閲覧室については、見通しをよくするためにワンルームとし、家具等を用いて利用対象者別やテーマ別に分節した。H24問14
正答肢です。私が知っている図書館は全てこんな感じです。
美術館
・美術館の計画において、自然採光を利用した展示室に光量不足を補うための照明として、高演色蛍光灯を用いた。H26問15
正答肢です。
・美術館の計画において、収蔵品に付着した害虫等による被害を最小限に抑えるため、燻煙室を収蔵庫からできるだけ離れた位置に配置した。H24問17
害虫の被害を最小限に抑えるためには、
燻煙室と収蔵庫をできるだけ
近づけなければいけないですよね。誤答肢
・美術館の計画におけるホワイトキューブは、展示作品を阻害するような装飾や色を排除した展示空間である。H23問17
正答肢です。
博物館
・博物館の保存、修復のための調査・研究部門は、研究対象である収蔵品の移動を最小限に留めるために、調査・研究部門と隣接して設ける計画とした。H28問15
収蔵品を不必要に移動させないのが
望ましいです。正答肢
・博物館の収蔵部門は、収蔵庫内の保存環境を一定に保つため、前室を設ける計画とした。H28問15
廊下から直に収蔵庫の出入り口があると、
出入り口を開けた時に大きく環境が変化
してしまいますので、
前室によるワンクッションが必要です。正答肢
競技場及びコート
・幅150cmの屋内廊下に面して設けた障害者等が利用する居室の出入口は、有効幅員を90cmとした。R2/問4
屋内廊下は最小で120cm以上ですが150cm以上あると
車いすが回転できます。
なお居室出入口の有効幅員は80cm以上です。よって正答肢
・ オストメイト用設備を有する便房において、 汚物流しの近くに着替え台を設けた。R2/問4
正答肢です
・ 車椅子使用者用の観覧席は、 複数の車椅子使用者が利用できる専用スペースとして、異なる場所に分散して2箇所設けた。R2/問4
正答肢です
・屋内階段において、 高齢者が段差の存在を知覚できるように、踏面と段鼻との輝度比を1.0としたR2/問4
段差を知覚させるために輝度比は高い方が良いです。
ただし数値は1.5~2.0が望ましいです。よって誤答肢
・サッカースタジアムの計画において、観客の退出時や避難時の群集事故を防止するため、動線を「分離する」、「単純化する」、「長くする」等の工夫を行い、群集全体の流動性を妨げないようにした。H22/問4
正答肢です。
テーマパークでも休日は
ロープで誘導させたうえ、
通路をくねくねと蛇行させて
長くするように工夫しています。
・スポーツ施設の配置計画において、屋外サッカー競技場は、競技のフィールドの長軸を南北にとることが望ましい。H25/問5
これはよく出る問題です。
東西方向に長いと朝夕、
逆光でなんにも見えない状態になる
チームがでてきて不公平になってしまいます。正答肢
・屋外のサッカー競技場は、一般に、冬期の風向きによる競技への影響を最小限とするため、競技のフィールドの長軸を、東西の方向に計画することが望ましい。H30/問4
他の3つの設問を知らなくても
この過去問を知っているだけで
正解できました。誤答肢
・公共体育館の計画において、成人用バスケットボールコートを二面配置するため、床面の内法寸法を、40 m*50 mとした。R2問8
45m*35m以上あればよいです。正答肢です。
・屋内の公式試合用の硬式テニスコートについて、ネット上部の天井高を、13 mとした。R2問8
正答肢です。コート後方の壁は5m程度あればよいです。
・競技場の観客席の固定座席の計画において、座席の幅( 1 人分の間口)を 45 cmとし、前後間隔(椅子の背の間隔)を 85 cmとした。R2問8
正答肢です。競技場という設問ですが、
この後に出てくる劇場の座席の必要間隔も一緒の数字です。
劇場・コンサートホール
・劇場において、定員600人の固定式の客席部分の面積(通路を含む。)を、400㎡とした。H28問15
観客1人あたり、0.5~0.8㎡で計算します。正答肢
・劇場において、座席の幅(1人分の間口)を55cmとし、前後間隔(背もたれ相互の間隔)を95cmとした。H27/問8
座席の幅は45cm以上、
前後間隔は80cm以上必要です。
また前席の最後部と
後席の最前部のあきは、35cm以上必要です。正答肢
・車いす使用者用客席・観覧席の数(可動席スペースを含む。)は、施設内容や規模に応じ、客席・観覧席総数の0.5%から1%以上とする。H28/問9
・車いす使用者用客席・観覧席は、少なくとも同時に2以上の車いす使用者が利用できる専用スペースとして、固定位置に確保する。H28/問9
共に正答肢です。
客席等は0.5%~1%以上を確保、
また少なくても2以上とし、
車いす使用者が選べるように
分散配置にしておくことが望ましいです。
・客席・観覧席の出入り口から車いす使用者用客席・観覧席へ至る客席・観覧席内の通路は、有効幅員を120cm以上にするとともに、区間100m以内ごとに車いすが転回することができる140cm角以上のスペースを設ける。
劇場の客席や競技場の観覧席で
出入り口から
車いす使用者用客席・観覧席までの
通路の有効幅員は120cm以上とし、
区間50m以内ごとに140cm角以上の
転回スペースを設けます。誤答肢
・客席数1,600席のコンサートホールの計画において、音響が安定しているシューボックス型を採用した。H27問15
・コンサートホールの計画において、演奏者と観客の一体化を図ることを意図して、客席が演奏者を取り囲むシューボックス型の空間形式を採用した。H22問14
コンサートホールは
シューボックス型とアリーナ型とありますが、
シューボックス型は音響が安定するのが特徴で、
アリーナ型は観客席が舞台を取り囲む形で、
客席と演者の一体感が生まれます。
よってH27問15正答肢、H22問14誤答肢
・劇場の計画において、客席と舞台の一体感を高めるために、プロセニアムをもたないオープンステージ形式を採用した。H26問15
正答肢です。
なお劇場のステージ形式は
舞台機構が簡単で
客席と舞台が同じ空間にある
オープンステージ
舞台機構が複雑で
プロセニアムを通じて
客席と舞台が別れた空間にある
プロセニアムステージ
両者の間をとった
アダプタブルステージ
があります。
・劇場の計画において、演目に応じて客席と舞台の関係を変化させることができるように、プロセニアムステージ形式を採用した。H23問13
記述はアダプタルステージです。
プロセニアムステージ形式は
舞台と客席との境に額縁状の
プロセニアムアーチを設け、
観客の視線の外に装置を備えて、
大掛かりな舞台構成を
作り出すことができます。誤答肢
・プロセニアム形式の劇場において、舞台の床面から、プロセニアムの開口の高さを8mとし、フライタワー内のすのこの高さを22mとした。H24問7
フライタワー内のすのこが
観客席から見えないようにするためには、
舞台の床面からプロセニアムの
間口の高さの2.5倍以上必要とされます。
今回の場合間口の高さが
8mであれば20m以上は必要です。正答肢
・劇場において、車いす使用者用客席スペースを出入り口に近い部分に設け、車いす1台あたりのスペースを幅90cm奥行120cmとした。H22問7
正答肢です。
通常幅90cm奥行120cmで大丈夫ですが、
大きなリクライニング式の
車いす等の使用者にも対応するため、
奥行き140cm以上のものがあると
なお良いです。
・劇場における舞台の上手は、客席から見て舞台の右側のことである。H22問17
正答肢です。
・劇場の計画に当たり、台詞を主体とする演劇の見やすさを考慮し、可視限界距離を20mとして客席の配置を計画した。H26問17
演劇や小規模な演奏などの場合、
出演者の表情や
細かい身振りが鑑賞できるのは
15m程度で設問の可視限界距離で
第1次許容限度と呼ばれる距離は22m、
身振りが見える距離の
第2次許容限度と呼ばれる距離は38m
までとします。正答肢
・プロセニアム形式の劇場の計画において、一階の各座席から舞台を見下ろした時のふ角を5から15度までの範囲に保ちつつ、全ての座席から舞台の先端が見えるようにしたH25問13
正答肢です。最大でも30℃は越えないようにします。
・サイトライン(可視線)は、客席・観覧席の各々の人が、前列の人の頭又は肩を越して視焦点(舞台は競技場)を見ることができる視野の限界線のことである。H28/問9
正答肢です。
車いすの人は客席の前列にある
手すりなども視界の妨げになるため
サイトラインに配慮した設計が必要です。
・劇場の搬出入のためのサービスヤードにおいて、ウィング式(荷台の側面と屋根面を一体として上方に開くことができるもの)の大型トラックが停車するスペースの、床から天井までの高さを4mとした。H28問15
最低5mは必要です。誤答肢
ホテル
・リゾートホテルの大浴場において、洗い場のカランの間隔を、隔て板を受けなかったので60cmとした。H26問8
60cmだと大きな人同士だと
肩が触れそうな幅しかありません。
リゾートホテルのカランの間隔は
90cm程度が望ましいです。誤答肢
・シティホテルの計画において、各階単位での改修を考慮するとともに、階高を低く抑えるために、客室ごとに分離したPS(設備縦シャフト)とはせずに、集中PS(設備縦シャフト)を採用した。H25問13
設備の竪配管を平面的に
一か所に集めると、
メンテナンスは容易ですが、
各場所への横引きも多くなるため、
階高を抑えることはできません。誤答肢
・大規模なシティホテルの計画において、客室用のエレベーターの台数を120室に1台とした。H24問13
正答肢です。100~200室に1台を目安とします。
・シティホテルにおいて、結婚披露宴を想定した100人収容の宴会場の床面積を、180㎡とした。H23問6
一人当たり1.5㎡から2.5㎡程度で考えます。正答肢
・都市部に計画する事務所とホテルからなる複合建築物において、事務所の基準階の階高を4.2m、ホテルの客室の基準階の階高を3.3mとした。H23問6
事務所ビルの基準階天井高を
2.9m程度確保すると
階高は4.0m程度必要です。
またホテルの客室階の階高は
一般に2.8から3.6 m 程度です。正答肢
・高層ホテルの計画において、非常用エレベーターは、その近くにリネン室等のサービス諸室を配置し、サービス用エレベーターとして利用することとした。H23問13
非常用エレベーターは
消防隊の消火活動の支援を目的
として設置されますが、
ホテルでは平常時には
その近くにリネン室などを配置し、
サービス用として
利用することが多いです。正答肢
・シティホテルの一般用のフロントカウンターの高さを、客側の床面から85cmとした。H22問6
フロントカウンターは
床面から110cm程度は必要です。
また車いす使用者用は70cm程度です。誤答肢
レストラン一人あたり面積
・洋食レストランにおいて、客席部分(50席)の床面積を、80㎡とした。H22問7
レストラン一席あたり
1.0から1.5平方メートルが標準的
と考えられます。
このあたりは製図試験でも
出てくる数字なので、
覚えておきたいところです。正答肢
商業施設・物品販売店舗
・商業施設において、高さ4 m の直階段に沿って設けるエスカレーターの最大勾配を30度とした。H24問7
正答肢です。
ちなみに
- 定格速度30 m /分以下
- 揚程6 m 以下
などの条件を満たす場合と
勾配は35°まで大丈夫になります。
・延べ面積50,000㎡の百貨店の計画において、売場面積(売場内の通路を含む。)を延べ面積の55%とした。H24問13
正答肢です。
・物品販売店舗の計画において、陳列棚の棚板の高さを、商品の取りやすさを考慮して、床面から70~140cmとした。24問13
成人にとって一番取りやすい高さは
70~150cm前後です。正答肢です
・大規模量販店の計画において、売り場の客用通路の幅員は、主要な避難通路を3,0mとし、それ以外の通路を1,8mとした。H28/問8
正答肢です。
その他施設
・研究所の計画における電磁シールドルームは、空気中の浮遊粉じんの量を一定値以下とするために設ける部屋である。H23問17
記述はクリーンルームです。
電磁シールドルームは名前の通り、
電磁波の流出入を防ぎます。誤答肢
・小規模なコミュニティ施設の計画において、施設の夜間利用を想定して、夜間専用の出入口を設け、専用カードキーで利用できる計画とした。H22問14
夜間利用の場合は
事前に認めた特定の人間だけ
施設を利用させたりするので、
専用カードキーがあると便利です。正答肢
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