一級建築士学科試験/計画/バリアフリー・高齢者対応設問の過去問題まとめ
バリアフリーに関しては
国土交通省から様々な資料が出されていますので
リンクなどを貼ってわかりやすく解説します。
建築物移動等円滑化基準イラスト
バリアフリー関連の学習に先立って国土交通省のパンフレットを見てから学習を始めると良いです。
ちなみに令和2年の製図試験を受けられる方は
上記の記事のほかコチラをご覧になった方が良いと思います。
かなりのボリュームですが、
設計の参考になること間違いなしです。
劇場・観客席
・車いす使用者用客席・観覧席の数(可動席スペースを含む。)は、施設内容や規模に応じ、客席・観覧席総数の0.5%から1%以上とする。H28/問9
・車いす使用者用客席・観覧席は、少なくとも同時に2以上の車いす使用者が利用できる専用スペースとして、固定位置に確保する。H28/問9
・車椅子使用者用の観覧席は、複数の車椅子使用者が利用できる専用スペースとして、異なる場所に分散して 2 箇所設けた。R2問4
全て正答肢です。
国土交通省のサイト内にある
“(高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準劇場、競技場等の客席・観覧席を有する施設に関する追補版16P)”
というPDFに記載がありました。
スペースの寸法は
“車いす使用者用客席・観覧席の間口は車いす1台につき 90㎝以上とし、奥行きは120㎝以上とする。”
それと
“通常の車いすよりも大きなリクライニング式の車いす等の使用者にも対応するため、奥行き140cm以上の車いす使用者用客席・観覧席も設けることが望ましい。”
ということです。
・客席・観覧席の出入り口から車いす使用者用客席・観覧席へ至る客席・観覧席内の通路は、有効幅員を120cm以上とするとともに、区間100mごとに車いすが転回することができる140cm角以上のスペースを設ける。H28/問9
誤答肢です。
上述のサイトで
“客席・観覧席の出入口から車いす使用者用客席・観覧席へ至る客席内の通路の有効幅員は、120cm以上とし、区間50m以内ごとに140cm角以上の転回スペースを設ける。”
と記載がありました。
先ほどのリンクの中で
絵が書かれていてわかりやすかったので
そちらを引用します。
スロープ・階段バリアフリー
・病院の階段において、色彩の調和を図るため、段鼻に設けた滑止めと踏面は類似の色のものとした。H27/9
・屋内階段において、高齢者が段差の存在を知覚できるように、踏面と段鼻との輝度比を 1.0 とした。R2/4
・高齢者が利用する施設の階段において、高齢者が段差の存在を近くできるように、踏面と段鼻の輝度比を2.0とした。H23/8
同じ色だとどこまでが踏面かわからなくなるので
階段を踏み外す危険性が高くなります。
輝度比1.5から2.0必要です。H27は誤答肢、R2とH23は正答肢
・「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」に基づく移動等円滑化経路を構成する傾斜路においては高さ200mm の段差に対して勾配を1/10とし、手すりを設けた H26問9
移動等円滑化経路の中の傾斜路は
勾配を1/12以下としなければならないです。
ただし高さが16 CM 以下の場合には1/8以下
とすることができます。誤答肢
・車いす使用者が利用する屋外の傾斜路の勾配を1/25とし、手摺は設けなかった。H25問4
正答肢です。屋外の傾斜路は勾配が1/12を超えるか,
また高低差が16 CM 超えるもので
かつ勾配が 1/20を超える傾斜がある部分に手すりが必要です。
よって勾配が1/25の場合には手すりを設けなくても良いです。
・屋内の階段に代わる歩行者の傾斜路の勾配を、1/12とした。H25問4
正答肢です。建物移動等円滑化基準(誘導基準ともに)では
1/12勾配、それ以外は1/8です。
・階段に代わる歩行者用の傾斜路は建築基準法施行令により勾配を1/8とし表面は粗面とするかまたは滑りにくい材料で仕上げなければならない。H25問4
正答肢です。建物移動等円滑化基準(誘導基準ともに)の事
なのかどうかで正誤が変わりますので注意が必要です。
・階段を昇るときの安全性を考慮し、段鼻を出さないように蹴込み板を設け、蹴込みを20mmとした。H25問4
正答肢です。降路の安全性を考慮して段鼻を突き出さないように、
蹴込み板を設け、蹴込み寸法は20 mm程度までとします。
・高齢者が居住する戸建て住宅の改修において、階段の手すりについては、両側に手すりを設置する余裕がなかったので、昇る時の利き手側に手すりを設けた。H23/8
足を踏み外したときに危険なのは下りる時なので、
手すりがどちらかしか付けられない場合は
下りるときに利き手側に手すりがくるようにします。誤答肢
・博物館における階段において、両側に手摺を設けるに当たり、手摺の端部については、水平に延長したうえで服の袖が引っ掛からないように壁側に曲げた。H24/8
手摺の端部壁か下に向けておきます。正答肢
・手すりは、階段の上端で水平に延長する部分を 30 cmとして、踊場にも連続させて設置した。R2問9
45cm以上延長する必要があります。よって誤答肢です。
・手すりを上下に 2 本設置するに当たり、下段の手すりの高さを段鼻から 60 cmとした。R2問9
正答肢です。
・点状ブロックを、階段手前 30 cmの位置に敷設した。R2問9
正答肢です。
・階段の有効幅員は、手すりの幅 10 cmはないものとみなし、140 cmとした。R2問9
正答肢です。
廊下のバリアフリー
車いす利用者に配慮した廊下の幅員は
国土交通省のこちらの資料が分かりやすかったです。
・同一レベルの床面において、床に段差があるように見間違えることを防ぐために、床仕上げの材料及び色彩を同じものとした。H25問8
階段の場合は違いを感じさせるために色、素材などを変えますが、
段差のない廊下などは違いをつけると却って危険です。正答肢
・廊下の有効幅員を、車椅子のすれ違いを考慮して、1,800mmとした。H26問9
正答肢です。車いすが歩行者とすれ違う場合は1,200として、
車いす同士だと1,800mm必要です。
・図書館の開架室における書架の間隔について、車いす使用者の利用と通行に配慮して、225cmとした。H25問7
正答肢です。
・道路と敷地内通路との段差を、車いす使用者の通行に配慮して、3cmとした。H23問7
道路と敷地内通路との段差は2センチ以下にする必要があります。誤答肢
・駅舎の通路において、視覚障がい者誘導用線状ブロックを、通路壁面から1m以上離して敷設した。H22問8
正答肢です。
・車いす使用者の利用する便所の出入り口を引き戸とし、その有効幅を95cmとした。H22問6
・.幅 150 cmの屋内廊下に面して設けた障害者等が利用する居室の出入口は、有効幅員を 90 cmとした。R2問4
共に正答肢です。建物移動等円滑化基準で80cm、
建築物移動等円滑化誘導基準で90cm必要です。
ちなみにエレベーターの出入り口の有効幅も同じです。
トイレ・浴室等水回りのバリアフリー
水回り関連のバリアフリーはコチラ、
建築物移動等円滑化誘導基準を満たした
水回りの設計手法についての記載がありましたので引用します。
・浴室の計画において、浴槽の縁の高さについては、浴槽の跨ぎやすさを考慮して、洗い場の床面から5cmとした。H25問8
だいたい40cm~45cmが良いです。
可動の移乗台があるとさらに良いです。誤答肢
・浴室と脱衣室の計画において、急激な温度変化によって血圧が大きく変動するヒートショックを防ぐために、浴室と脱衣室に暖房設備を設置した。H25問8
冬場のヒートショックは社会問題です。正答肢
・客室の出入口の前後に、140cm角の水平な床のスペースを設けた。
正答肢です。
・客室内の浴室の出入口の有効幅員を、85cmとした。
建築物移動円滑化基準では浴室出入り口は80cm以上です。正答肢
・車いす使用者が利用する宿泊施設の客室内において、家具の周辺や水回り等については、車いすの回転を考慮して、直径110cmのスペースを確保した。H24/8
転回するために最低直径150cmは必要です。誤答肢
・住宅の台所において、車いす使用者の利用を考慮して、調理台、流し台、レンジおよび冷蔵庫をL字型に配置した。H24/8
できるだけ移動距離が長くならないよう、L型やU型にしたいところです。正答肢
・車いす使用者が利用する洗面所において、洗面器の上端の高さは、床面から65cmとしたH22問8
正答肢です。洗面器の下端で65cm必要です。洗面器の上端高さは床面から75cm程度です。
・車いす使用者が利用する固定された吊り戸棚の天端までの高さを、床面から130cmとした。H23問8
車いす使用者が利用する戸棚の上端は座面から90cm以下、
床から130cmまでで納めます。なお、
流し台の下端は600mm以上開けて車いすが入るようにします。正答肢
・多目的トイレにおいて、内法寸法を2,000mm×2,000mmとし、オストメイト用の流しや車いす使用者が利用できる洗面台を設置した 。H26問9
正答肢です。
・公民館の便所において、腰掛便座の便房における便器洗浄ボタンは、視覚障がい者がみつけやすいように、ペーパーホルダーの直上に設けた。R1問9
正答肢です。
・オストメイト用設備を有する便房の汚物流しに設ける水栓は、湯温調整付きレバーハンドル型混合水栓とした。H29問9
正答肢です。
・オストメイト用設備を有する便房には、ストーマ装具や関連の小物等を置くことができる手荷物置き台(カウンター)を設置した。H29問9
正答肢です。
・オストメイト用設備を有する便房において、汚物流しの近くに着替え台を設けた。R2問4
正答肢です。
・車いす使用者用便房に設置する洗面器の鏡は、幅35cm×高さ45cmの大きさとし、車いす使用者の利用に配慮し傾斜させて設置した。H29問9
鏡が小さすぎます。誤答肢
・車いす使用者用便房に設置する手すりは、便器の側壁側にL型手すりを設けるとともに、他方には可動手すりを設け、それらの水平部はいずれも便座の座面から25cmの高さとした。H29問9
正答肢です。
・車いす使用者が利用する体育館に設けるシャワー室に、150cm×150cmのシャワーブースを設け、シャワー用の車いすを用意した。H23問8
正答肢です。
・ベッドの高さはマットレス上面で車椅子の座面と同程度とし、ベッドサイドキャビネットの高さはマットレス上面から10cm程度高くした。
正答肢です。
エレベータ―車いすバリアフリー関連寸法
エレベーターの車いす寸法についても
詳しく書かれています。
・延べ面積2,000㎡の集合住宅の共用エレベーター(トランク付)において、かごの寸法は幅140cm×奥行き135cmとし、かごの出入口の有効幅は90cmとした。H22問8
正答肢です。
・公共施設の出入口において、視覚障がい者の利用を考慮して、音声誘導装置を自動ドア(引戸)の直上に設置した。H24/8
正答肢です。他にも誘導ブロックを床に敷いたりします。
・駅のエレベーターにおいて、エレベーターの乗降口から見える位置に、聴覚障がい者が文字により定員超過の確認をすることができる過負荷表示灯を設けた。
正答肢です。この問題もたとえ知っていなくても、
文面を見ているだけで問題ない計画だと感じられます。
・エレベーター内に設ける車椅子使用者対応の操作盤の行先階数ボタンの位置を、エレベーターかごの床面から1000mmとしたH26問9。
正答肢です。エレベーターのかご内の壁面に
専用の操作盤をかごの床面から1000ミリの高さに設けて
点字による表示をします。できれば両側の壁にあった方が良いです。
・ホテルのエレベーターにおいて、エレベーターの籠内の階数ボタン等の点字表示は、ボタンが縦配列であったので、それぞれのボタンの右側に設けた。R1問9
点字表示はボタンの左側が良いとされています。よって誤答肢
住宅・授乳室関連バリアフリー
・住宅において、壁に設置するコンセントの取付け高さは、高齢者や車いす使用者が利用しやすいように、床面から40cmとした。
正答肢です。普通は床から20cmくらいのところなので、
車いすの人や高齢者は差しにくいです。
そのため床から40cm以上は欲しいです。
・ベッドの高さはマットレス上面で車椅子の座面と同程度とし、ベッドサイドキャビネットの高さはマットレス上面から10cm程度高くした。
正答肢です。
・百貨店の授乳室において、出入り口の扉はスライド式とし、前室である共用スペースには哺乳瓶による授乳のための椅子を設置し、母乳による授乳のためのスペースにはカーテンによる仕切りを設けた。
正答肢です。
ユニバーサルデザインについて
バリアフリーと共に
出てくることも多いユニバーサルデザイン。
バリアフリーとの違いは、
バリアフリーは”高齢者や障害者のためのデザイン”
であるのに対し、
ユニバーサルデザインは
“全ての人が使いやすいデザイン”
であるということです。
詳しくは国土交通省から出されている資料を
読むとわかりやすいです。
コチラからどうぞ
・ユニバーサルデザインは、全ての人を対象としたものであり、障がいの有無、年齢や体型の違い、身体機能の差等に関係なく、可能な限り誰もが利用できるデザインをいう。R1問1
正答肢です。
集合住宅の改修計画
・北側に階段室をもつ階段室型の 5 階建て集合住宅において、バリアフリー改修のため、北側に廊下棟を増築し、ここに着床するエレベーターを設置するとともに増築した廊下に面して各住戸の新しい玄関を設置した。R2問13
正答肢です。
分譲集合住宅の共用部分において、形状の著しい変更を伴わない大規模修繕工事について、区分所有者数及び議決権の各過半数の決議を経て行うこととした。R2問13
正答肢です。
リンク
計画分野では、他の項目の過去問題についても網羅しながら解説していますので合わせてご覧下さい。
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] 一級建築士学科試験/計画/バリアフリー計画まとめ […]