毎年別々に出てくる事が多い
細かな部位の設問をまとめて覚えられるようにひとつにまとめました。
一級建築士学科試験で出題される部位別設計や設計関連用語の過去問題をまとめました。
部位別設計
住宅室内
・住宅において、ドアノブの高さを床面から90cmとした。H24問6
正答肢です。
・住宅において、台所の調理台の高さを、床面から85cmとした。H24問6
正答肢です。最近は90cmとする方も増えてきました。
・電気器具等のコードに足を引っかけて転倒することを防ぐために、マグネット式のコンセントを採用した。H25問8
正答肢です。
・住宅において、壁に設置するコンセントの取付け高さは、高齢者や車いす使用者が利用しやすいように、床面から40cmとした。
正答肢です。普通は床から20cmくらいのところなので、車いすの人や高齢者は差しにくいです。そのため床から40cm以上は欲しいです。
・ベッドの高さはマットレス上面で車椅子の座面と同程度とし、ベッドサイドキャビネットの高さはマットレス上面から10cm程度高くした。
正答肢です。
浴室等水回り
浴室の計画において、浴槽の縁の高さについては、浴槽の跨ぎやすさを考慮して、洗い場の床面から5cmとした。H25問8
だいたい40cm~45cmが良いです。可動の移乗台があるとさらに良いです。誤答肢
浴室と脱衣室の計画において、急激な温度変化によって血圧が大きく変動するヒートショックを防ぐために、浴室と脱衣室に暖房設備を設置した。H25問8
冬場のヒートショックは社会問題です。正答肢
・客室内の浴室の出入口の有効幅員を、85cmとした。
建築物移動円滑化基準では浴室出入り口は80cm以上です。正答肢
・住宅の台所において、車いす使用者の利用を考慮して、調理台、流し台、レンジおよび冷蔵庫をL字型に配置した。H24/8
できるだけ移動距離が長くならないよう、L型やU型にしたいところです。正答肢
・車いす使用者が利用する洗面所において、洗面器の上端の高さは、床面から65cmとしたH22問8
洗面器の下端で65cm必要です。洗面器の上端高さは床面から75cm程度です。
・車いす使用者が利用する固定された吊り戸棚の天端までの高さを、床面から130cmとした。H23問8
車いす使用者が利用する戸棚の上端は座面から90cm以下、床から130cmまでで納めます。なお、流し台の下端は600mm以上開けて車いすが入るようにします。正答肢
階段
・病院の階段において、色彩の調和を図るため、段鼻に設けた滑止めと踏面は類似の色のものとした。H27/9
・高齢者が利用する施設の階段において、高齢者が段差の存在を近くできるように、踏面と段鼻の輝度比を2.0とした。H23/8
同じ色だとどこまでが踏面かわからなくなるので階段を踏み外す危険性が高くなります。輝度比1.5から2.0必要です。H27/9は誤答肢、H23/8は正答肢
・階段を昇るときの安全性を考慮し、段鼻を出さないように蹴込み板を設け、蹴込みを20mmとした。H25問4
段鼻をあまり突き出さないようにけこみ板を設け蹴込み寸法は20mmにして、最大でも30mmまでが良いです。正答肢
・吹抜け空間において、段板の側面を見せるために、側桁階段とした。H25問4
記述はささら桁階段です。側桁階段は踏板(段板)を両側の親板が挟み込む形になるので段板の側面は見えません。誤答肢
・踏面35cm、蹴上14cmで計画していた階段を、踏面に余裕を持たせるために踏面を41cmに広げ、昇降のしやすさを考慮して、蹴上げを11cmとした。H23問7
・事務所の階段について、昇降のしやすさに配慮し、踏面寸法を T 蹴上げ寸法を R とした場合、T +2 R =45cm程度となるように計画した。H25問7
・階段の蹴上げを15cm、踏面を32cm、蹴込みを1cmとした。H29問8
一般的に踏面寸法が大きくなれば蹴上寸法を小さくします。
踏面寸法を T 蹴上げ寸法を R とすると一般に
G +2 R の値が63cm程度(55cm以上65 cm以下とすることもある)が
適当だと言われています。
よってH23問7正答肢、H25問7誤答肢、H29問8正答肢
・階段上端部と連続する床については、視覚障がい者が段を認識できるように、段の
手前5cmの位置に線状ブロックを敷設した。H29問8
手前5cmでは階段に近すぎて把握できません。30cm、最低15cmくらい手前に敷設します。
スロープ
・「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」に基づく移動等円滑化経路を構成する傾斜路においては高さ200mm の段差に対して勾配を1/10とし、手すりを設けた H26問9
移動等円滑化経路の中の傾斜路は勾配を1/12以下としなければならないです。 ただし高さが16 CM 以下の場合には1/8以下とすることができます。誤答肢
・車いす使用者が利用する屋外の傾斜路の勾配を1/25とし、手摺は設けなかった。H25問4
屋外の傾斜路は勾配が1/12を超えるかまた高低差が16 CM 超えるもので かつ勾配が 1/20を超える傾斜があるがある部分に手すりが必要です。よって勾配が1/25の場合には手すりを設けなくても良いです。
・屋内の階段に代わる歩行者の傾斜路の勾配を、1/12とした。H25問4
正答肢です。建物移動等円滑化基準(誘導基準ともに)では1/12勾配、それ以外は1/8です。
・階段に代わる歩行者用の傾斜路は建築基準法施行令により勾配を1/8とし表面は粗面とするかまたは滑りにくい材料で仕上げなければならない。H25問4
正答肢です。建物移動等円滑化基準(誘導基準ともに)の事なのかどうかで正誤が変わりますので注意が必要です。
手すり
・階段の両側の壁に手すりを設けるに当たり、その手すりの端部は、階段の上端では水平に45cm延長させ、下端では斜め部分も含めて段鼻から45cm延長させた。H29問8
正答肢です。
・階段に上下2本の手すりを設けるに当たり、その上段の手すりの高さを80cmとし、下段の手すりの高さを60cmとした。H29問8
正答肢です。
・高齢者が居住する戸建て住宅の改修において、階段の手すりについては、両側に手すりを設置する余裕がなかったので、昇る時の利き手側に手すりを設けた。H23/8
足を踏み外したときに危険なのは下りる時なので、
手すりがどちらかしか付けられない場合は
下りるときに利き手側に手すりがくるようにします。誤答肢
・事務所ビルにおいて、階段に設ける手摺の高さを、段の先端から85cmとしたH24問6
正答肢です。事務所ビルにおける階段に設ける手すりの高さは踏面の先端から80cmから85cm程度とします。
エレベーター/エスカレーター
・乗用エレベーター(定員24人)は、かごの内法寸法が間口2,150mm×奥行1,600mm のものを採用した。H29問7+H24問7
・延べ面積2,000㎡の集合住宅の共用エレベーター(トランク付)において、かごの寸法は幅140cm×奥行き135cmとし、かごの出入口の有効幅は90cmとした。H22問8
乗用エレベーター定員24人のかごの内法寸法は
間口2000mmから2150 mmで奥行1600mmから1750 mm 程度必要です。共に正答肢
・駅のエレベーターにおいて、エレベーターの乗降口から見える位置に、聴覚障がい者が文字により定員超過の確認をすることができる過負荷表示灯を設けた。
正答肢です。この問題もたとえ知っていなくても、文面を見ているだけで問題ない計画だと感じられます。
・エレベーター内に設ける車椅子使用者対応の操作盤の行先階数ボタンの位置を、エレベーターかごの床面から1000mmとしたH26問9。
エレベーターのかご内の壁面に
専用の操作盤をかごの床面から1000ミリの高さに設けて
点字による表示をします。
できれば両側の壁にあった方が良いです。
・商業施設において、高さ4 m の直階段に沿って設けるエスカレーターの最大勾配を30度とした。H24問7
正答肢です。エスカレーターの勾配は原則として30°以下ですが、
定格速度30 m /分以下揚程6 m 以下などの条件を満たす
場合に勾配は35°までなら大丈夫です。
廊下・開口部
・客室の出入口の前後に、140cm角の水平な床のスペースを設けた。
正答肢です。
・建築物の主要な出入口の有効幅員を1,500mmとし、その他の出入口の有効幅員を1,000mmとした。H29問7
・車いす使用者の利用する便所の出入り口を引き戸とし、その有効幅を95cmとした。H22問6
建築物移動円滑化基準では出入り口は80cm以上を求めていますが、
理想は主要な出入り口は1200mm以上でそれ以外を900mm以上とします。
共に正答肢
・同一レベルの床面において、床に段差があるように見間違えることを防ぐために、床仕上げの材料及び色彩を同じものとした。H25問8
階段の場合は違いを感じさせるために色、素材などを変えますが、
段差のない廊下などは違いをつけると却って危険です。正答肢
・廊下の有効幅員を、車椅子のすれ違いを考慮して、1,800mmとした。H26問9
正答肢です。車いすが歩行者とすれ違う場合は1,200として、
車いす同士だと1,800mm必要です。
軒・屋根
・金属板により屋根を葺く場合、一般に、一文字葺より瓦棒葺のほうが、屋根勾配を緩くすることができる。H23/問4
正答肢です。瓦棒葺だと1.5寸でも大丈夫です。一文字葺などの横葺は3寸程度までです。
・組物は斗(ます)と肘木との組合せをいい、肘木が壁から外に二段に出ている組物は舟肘木と呼ばれている。H30/問2
設問は二手先(ふたてさき)のことです。舟肘木は一番シンプルな船形になっていて柱と桁の間にかませます。誤答肢
・瓦葺きは、仏教の伝来とともに伝わり、各地で様々な試行が行われ、江戸時代において桟瓦葺きが考案されている。H30/問2
正答肢です。
・垂木は、一般に、唐様(禅宗様)では放射状に配置され、和様では平行に配置されている。H30/問2
正答肢です。
・桔(はね)木は、梃子(てこ)の原理を利用して、長く突き出ている軒先を支えるために、軒裏から小屋組内に取り付けられる材をいう。H30/問2
正答肢です。伝統建築の屋根は本当に複雑です。
その他
・日本の伝統的な町家においては、屋内の主要な通路として、
道路から裏庭まで達する細長い土間を設けた通り庭形式と呼ばれる間取りが多い。H27/問13
正答肢です。
・多人数の成人が使用する洗面所において、隣り合う洗面器の中心間距離を850mm とした。H29問7
正答肢です。
・木造軸組工法の住宅において、真壁式は、一般に、大壁式に比べて、防寒・防音性に優れている。H25問17
大壁式だと外壁部分の柱が120mmであれば
断熱材も120mmはいりますが、
真壁式だと105mm程度しか入りません。
よって防寒や防音性は劣ります。誤答肢
・和室において、床の間に向かって、左側に書院、右側に床脇を設けたものを、本勝手という。H25問17
正答肢です。ちなみにこの並びが逆になったものは逆勝手と呼ばれます。
・建築部品などの呼び寸法は、一般に制作寸法とは異なる。
H24/問4
正答肢です。住宅では窓が呼び寸法で呼ばれることが多いです。
・パネル状ののものが並んで面をなす構成材群(畳・天井パネル等)は、一般にシングルグリッドにしたがって配列すると構成面材の互換性が高くなる。
H24/問4
正答肢です。
・一般に、特定の需要や特定のビルディングシステムを対象とした建築部品をクローズド部品といい、不特定多数の建築物を対象とした建築部品をオープン部品という。
H24/問4
正答肢です。余談ですが、最近の建築はオープン部品のみを使いながら
特別な空間を作るという流れがありますね。
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