良く言われるエコ加湿
『濡れタオル干し』に本当に加湿効果があるのか
どうかを自宅で実験し、
グラフにして、加湿効果の有無を調べたところ
結構効果があったので記事にしました。
濡れタオルの加湿効果が本当にあるのか実験しました。
私は普段、
注文住宅の設計を仕事としていますが、
特に冬場の加湿対策について、
お客様から良くご相談を受けます。
「そんな時は濡れタオルを干しておくと良いですよ。」
と何となく言っていたのですが、
「本当に良いのか?」
自分の中で何も根拠を持っていない事に気づいたので、
『濡れタオルがある寝室はどのくらいの湿度になっているか?』
を調べることに。
早速インターネットで検索して
一通り見て回りましたが、
“(何となく)加湿効果がありました!”
“濡れタオルを干すと少しのどが楽になりました!ということで効果がありそうです!”
など、感想はありますが
目に見える情報が無かったので
住宅実務者らしく?
わかりやすいグラフにして
比較してみることにしました。
以下のような前提条件としています。
加湿効果を比較するための前提条件
- 濡れタオルを干した寝室と同じ時間の納戸の温湿度と併せて比較
- 濡れタオルはタライとセットにして夜にベタっと濡らして放置
- 納戸はほとんど使用せず、寝室は寝るだけの用途
さらに
前提条件について補足説明しておきます。
前提条件1、家族は21時に就寝。部屋の暖房は最小限。
家族は4人。
子供がまだ小さいので、
子供は毎日21時前後に就寝しはじめます。
大人も24時には就寝しています。
寝室は20時30分くらいにエアコン暖房をつけて、
30分くらいで消して、朝まで無暖房です。
納戸はこの期間まったく暖房もしていませんし、
利用していません。
前提条件2、こだわりの濡れタオルの干し方
濡れタオルはこのように吊っています。
ただタオルを濡らしただけでは乾きも早いので
タオル下に水を少し張ったタライを置くことで、
タオルが常に湿り続けるように工夫しました。
それでも、このまま放置したままだと
少し濡れ足りていない部分も出てくるので、
毎夜20時くらいにタオルをひたひたに濡らしました。
(タオルを絞らなくても良いという点もありがたいです。)
タライに水を張っているだけでも
ほんの少し加湿効果はあると思いますが、
タオルのように表面積が
大きいものを濡らしたほうが、
より加湿しやすいと考えます。
設置上の注意点は
窓や壁、カーテンに近づけすぎない事です。
あまりに近すぎると、
壁のカビ付着や窓結露、
壁内結露の原因につながります。
私は2つの窓のカーテンレールにヒモを渡して、
そのヒモにハンガーをかけてタオルを吊るすことで、
部屋の真ん中付近にくるようにしています。
前提条件3、気温や室温、外気温をデータロガーで計測
仕事柄、温湿度データロガーを2台持っていますので、
寝室と納戸に置きました。
また、外気温のデータも別で取っているので、
どのような天気や気温だったかがなんとなくわかるように、
外気温もグラフに入れています。
スポンサーリンク【グラフで一目瞭然】濡れタオルの加湿効果!
以上のような条件で計測したデータをグラフにしたものがコチラです。
水色の点線で囲まれたところが両部屋の湿度
です。
まずはコチラから見ていきます。
期間中濡れタオルをかけた寝室の方が相対湿度が高いという結果が・・・
濃い青が寝室の湿度、
薄い青が納戸(=誰もいない、何も対策していない部屋)の湿度
ですが、
全体的に濃い青、
つまり寝室のほうが湿度が高いです。
納戸の方はだいたい50%を切っており、
期間中最高で53%程度でしたが、
寝室はほとんど50%を超えていて、
期間中最高で58%まで上がりました。
あまり加湿しすぎても結露の問題が起きるということもあり、
50~60%くらいの湿度がちょうど良い
といわれていますので、
まさにその”ちょうど良い環境”になっているといえます。
“湿度”について少し専門的な話になりますが、
ここでいう湿度は“相対湿度”を指します。
相対湿度についての詳しい説明はここでは省きますが、
空気中に同じ水分量が含まれている場合でも、
部屋の温度が高いほど相対湿度は低くなります。
相対湿度について詳しく知りたい方は、
で詳しい説明がありますのでそちらをどうぞ。
このことを頭の片隅においていただいて、
今度は先ほどの
グラフの赤色の部分(温度)
をご覧ください。
寝室のほうが室温と相対湿度の両方が高いということは、濡れタオルの効果があるということ
次に
濃い赤が寝室の温度、
薄い赤が納戸(=誰もいない、何も対策していない部屋)の温度
ですが、
若干ではありますが、
全体的に濃い赤(寝室)のほうが室温が高いです。
室温が高いと、
同じ水分量であっても相対湿度は低くなるにも関わらず、
寝室のほうが相対湿度が高い
ということで濡れタオルは加湿効果があるといえます。
人間がいるだけでも湿度は上昇するため、
全てタオルのおかげということはありませんが、
昼間誰もいない状態でも
寝室のほうが納戸より湿度が高かったです。
余談ですが、
もう一度グラフを見ていただいて、
12月7日と8日の朝9時頃、
寝室の室温(濃い赤)と湿度(濃い青)が
一時的にガクンと下がっていますが
これは奥さんが部屋の寒気のために窓を開けたからです。
窓を開けたことで部屋の室温と湿度の両方が
逃げていったということです。
また
夜の21時頃から寝室の湿度の上昇率が上がったのは
濡れタオルを浸しなおしたことや
家族の呼吸による湿度上昇が原因であると考えられます。
グラフはいろいろと見えてくるので楽しいです。
スポンサーリンク断熱・気密性能が高い家では衣服の室内干しも効果的!
より多くの加湿を目指す方法としては
5L程度あるといわれる洗濯後の衣服たちが持つ水分量を
加湿に使う手もあります。
ただし『冬、外がどれだけ寒くてもおウチの中は20℃以上の快適室温』
という高気密・高断熱のおウチ専用の方法になります。
外気が乾燥していれば、
それより暖かいおウチの中はもっと乾燥しているはずです。
サーキュレーターで風を当てながら室内干ししてやれば、
洗濯物は早く乾き、室内は潤い・・・
といいことずくめです。
洗濯物干しの加湿効果については
コチラの記事で詳しく書いています。
またグラフをご覧いただくとわかりますが、
我が家の寝室は毎夜30分の暖房だけで
朝まで18℃以上の室温が保てる、
少しだけ断熱性能の良い住宅ですが、
そんな我が家の光熱費を別の記事でご紹介しています。
『家の気密や断熱・光熱費』に興味のある方はコチラもどうぞご覧ください。
“濡れタオルのメリット・デメリット”について、私なりに感じたこと
初めにいろいろとインターネット検索をしているときに、
“濡れタオルのメリット・デメリット”について
書いている記事がけっこうありました。
メリットは”お金がかからない・簡単”ということで、
これはごもっともだと思います。
一方、デメリットは”タオルが臭くなる、すぐ乾く”
という点が多かったのですが、
1~2日タオルを干しっぱなしにしたところで
臭いは出ませんでした。
タオルを変えるのも簡単です。
さらに今回試した濡れタオル装置は
長く部屋の湿度を
保ってくれるのでありがたいです。
というわけで、私的にはデメリットは無かったです。
結論:冬の寝室の加湿は濡れタオルでも十分な効果があった。
リビングなど広い空間ではわかりませんが、
閉じた空間だと、濡れタオルでも十分効果がありました。
湿度を50~60%程度で保ってくれるので、
結露の心配もそれほどありませんし、
なんといっても簡単、無料ですから、
お困りの方はまずは試してみてください。
ちなみに冬場の加湿方法は色々あります。
それぞれのメリット・デメリットをまとめましたので
気になった方はこちらも併せてご覧ください!
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